銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~

ma-no

文字の大きさ
70 / 150
二章 逃亡生活

070 パーティ結成


 勇者パーティが王都から消えてから2日。シモンたちは念のため岩場のベースキャンプに待機していたが、コルネーリア女王からもう大丈夫だと連絡が来たので隠し砦に戻った。

「シモンの策のおかげで、勇者パーティは王都から逃げ出したでありんす。いまは出口の迷宮街にいるらしいでありんす」
「あ、バレなかったんだ。早すぎると思ったんだけどな~」
「その時、勇者パーティは泥酔してたらしいでありんすからな」
「そんな時に撃たれると思ったらたまったもんやありまへんな。相当慌ててたんちゃうか? プププ」

 コルネーリア女王から報告を聞いていたら、プックが話に入って笑いが起こる。実際、勇者パーティは転がるように酒場の裏口から出て行ったと報告されていたから大笑いだ。

 ちなみにこの作戦は皆の合作。シモンが恐怖を染み込ませ、プックが銃声に近い音を出す方法を編み出す。
 あとはコルネーリア女王がシンプルでも恐ろしい文言を王都にいるエルフ兵に伝え、手紙を書かせて渡してもらったのだ。

 その兵士は「こんなので効くのかな~?」と思っていたけど、勇者パーティの慌てように興奮して連絡して来たらしい。
 でも、伝言はリレー形式だから、コルネーリア女王の耳に入る頃には熱のこもっていない箇条書きになっていたからまったく伝わっていない。


「さて……勇者パーティは近々この階層から出て行くでありんす。疎開も、もうええやろ。わらわも城に戻るが、シモンたちはどうするでありんす?」
「俺たちは~……」

 コルネーリア女王の報告が終わったら、これからの話。シモンはプックを見ると、任せるような仕草をしたから勝手に決める。

「もう少し村に残ろうと思います。勇者パーティの動きしだいで、俺たちも下層を目指します」
「そうでありんすか。ならば、この隠し砦を使うといいでありんす」
「こんなところ、いいんですか?」
「なに。エルフの英雄には、感謝が足りないぐらいでありんすよ」
「英雄はやめてくださいよ~」

 シモンが情けない声を出すと、再び笑いが起こる。それから少し世間話をしていたら、コルネーリア女王はユーチェを呼び寄せた。

「そうそう。この者を貰ってくれぬか?」
「お断りします」
「即答!? なんでや~~~」

 しかしとんでもないことを言われたので、シモンはノーサンキュー。ユーチェも崩れ落ちたよ。

「言い方が悪かったでありんす。仲間に入れてやってほしいんどす。また勇者パーティと戦うことになった場合には、ユーチェの力が必要でありんしょう?」
「まぁ……あの長距離射撃は俺だけではできないか……てか、本当に目的はそれだけですか?」
「意外と疑り深いでありんすな。正直言うと、英雄の隣にドワーフだけがいるのも、エルフとしては気持ちのいい物ではありんせん」
「あ、やっぱり仲が悪いんだ……」

 若いエルフはドワーフと絡んだことがないからそうでもないが、年寄りはけっこうな因縁があるらしい。そんな怖い話を聞かされたシモンは、ユーチェを返品したくてしたくて仕方がないのであった……


 コルネーリア女王たちはこれから疎開解除の連絡や帰還の準備があるらしいので、シモンたちは自室にて待機。ユーチェも連れ込んで、これからの話をする。

「まぁ……これからはパーティメンバーだ。よろしくな」
「なんでちょっとイヤそうなん?」
「そりゃ粗忽者そこつものやからやろ。あーしらに迷惑かけんなや」
「ガサツなドワーフに言われたくないどす!」
「誰がガサツやねん!」
「ケンカするなよ~」

 パーティ結成直後、早くも暗雲が立ち込める。コルネーリア女王から聞いた話が尾を引いてるのか、プックとユーチェはいつもより険悪だ。

「仲間になったんだから、俺のジョブのことも言っておくな。ジョブは狙撃手。スキルはこの弾丸ってのを出すことができるんだ。んで、プックのジョブは、この弾丸を使えるように道具を作ってくれる鍛冶師だ。そっちは?」
「あ、ウチも珍しいジョブで、【風使い】と言うどす。スキルは風魔法全般で、風を見ることも……コレは知ってるどすね」

 簡単な自己紹介をしたら、シモンは引っ掛かることがある。

「ところで弓以外にナイフを身に付けていたけど、それも使えるのか?」
「いえ。持ってるだけなんで、近接戦闘はからっきりどす。まぁ風魔法での防御はできるどすけどね」
「ふ~ん……風魔法以外に使える魔法はないのか?」
「残念ながら……エルフはある程度の魔法は使えるのどすけど、このジョブは風魔法一本だけになるというか……」

 ユーチェが急にシドロモドロになったので、プックは嫌な笑みを浮かべる。

「てことは、落ちこぼれってことかいな?」
「誰も落ちこぼれなんて言ってへんやん!」
「あんさんのお父ちゃん、いろんな魔法使って弓も剣も凄かったやん? ちゃうか??」
「パ、パパは、ほら? 剣士のジョブやし……」
「やっぱり落ちこぼれや~ん」

 プックが押し気味に攻めていると、シモンが間に入った。

「ケンカするな。てか、この中で一番落ちこぼれなの俺だから、落ちこぼれ落ちこぼれ言わないでくれ」
「シモンはんは! ……ホンマやな。魔法も使えないし近接戦闘もできまへんな」
「俺までなじるな。慰めろよ」
「あ……ゴメンな。みんなゴメン。言い過ぎたわ」

 プックはこのままでは2対1になってしまうと謝罪したが、ひとつ気になることが頭によぎった。

「遠距離2人と鍛冶師って……なんなんこのパーティ編成? とても迷宮を攻略するメンバーに見えへんな~」
「本当に酷いパーティだな……」
「ウチ、この中でやって行けるんやろうか……」

 暗雲は、ザーザー降りに。パーティ編成が偏り過ぎた上に非戦闘員までいるので、3人共に不安がのし掛かるのであった。


 全員が不安になることで、パーティとしてひとつになれたシモンたち。次はパーティ名で揉め出した。

「プーシー同好会でええでっしゃろ?」
「いや、もっとカッコイイ名前にしないか?」
「なんでや? みんなプーシーシリーズ使って戦うねんから、それでええやん」
「そもそもプーシーって、なんなんどす?」

 プックの名付けが変なんだもん。ユーチェはついて行けていないので、シモンが武器の名前について説明していた。

「ウチは!? 2人の頭文字だけじゃ、ウチがいないやないですのん!?」
「まぁ……あーしとシモンはんの力で作ってるから、入る余地はないで?」
「ウチも仲間やないの~~~」

 名付けのせいで暗雲は嵐に変化。また喧嘩に発展したのでシモンが間に入り、パーティ名はユーチェの頭文字も入れて、【プーシーユー】というワケのわからない名前に決まったのであったとさ。
感想 0

あなたにおすすめの小説

ポテチ ポリポリ ダイエット それでも痩せちゃった

ma-no
エッセイ・ノンフィクション
 この話は、筆者が毎夜、寝る前にボテチを食べながらもダイエットを成功させた話である。  まだ目標体重には届いていませんが、予想より早く体重が減っていっているので調子に乗って、その方法を書き記しています。  お腹ぽっこり大賞……もとい! 「第2回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしています。  是非ともあなたの一票を、お願い致します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~

ma-no
キャラ文芸
 某有名動画サイトで100億ビューを達成した忍チューバーこと田中半荘が漂流生活の末、行き着いた島は日本の島ではあるが、韓国が実効支配している「竹島」。  日本人がそんな島に漂着したからには騒動勃発。両国の軍隊、政治家を……いや、世界中のファンを巻き込んだ騒動となるのだ。  どうする忍チューバ―? 生きて日本に帰れるのか!? 注 この物語は、コメディーでフィクションでファンタジーです。登場する人物、団体、名称、歴史等は架空であり、実在のものとは関係ありません。  ですので、歴史認識に関する質問、意見等には一切お答えしませんのであしからず。 ❓第3回キャラ文芸大賞にエントリーしました❓ よろしければ一票を入れてください! よろしくお願いします。

お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は……

ma-no
キャラ文芸
 お兄ちゃんの前世が猫のせいで、私の生まれた家はハチャメチャ。鳴くわ走り回るわ引っ掻くわ……  このままでは立派な人間になれないと妹の私が奮闘するんだけど、私は私で前世の知識があるから問題を起こしてしまうんだよね~。  この物語は、私が体験した日々を綴る物語だ。 ☆アルファポリス、小説家になろう、カクヨムで連載中です。  この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。  1日おきに1話更新中です。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』