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三章 パーティ活動
072 拠点の変更
ユーチェの拳銃も完成して1週間……
「飽きた~~~!!」
夕食の席で、プックが急に叫んだ。
「何が飽きたんだ?」
「箱や! 人数増えたから、倍作らなアカンねんで!?」
「あぁ~……」
現在プックの仕事は、弾倉の追加。サブマシンガン、アサルトライフル、自動式拳銃の弾倉を各20個がノルマだったのに、ユーチェが欲しがったから増えてしまったのだ。
「飽きたと言われても、プックの仕事だし……」
プックは鍛冶師。シモンはスポンサーなので、納期は守ってもらわないといけないのだ。
「シモンはんとユーチェ、ぜんぜん仕事してないの知ってるで?」
「いや、ほら? この辺、獣も魔獣もほとんど狩り尽くしてるからやるだけ無駄だし……それなら訓練したほうがいいだろ??」
「訓練も弾がもったいないってすぐ終わるやろ!」
「いや、お金出してるの……」
「女王様や! シモンはんたちは食っちゃ寝してるだけや!!」
でも、現在のスポンサーはコルネーリア女王。シモンの言い訳はプックには通じない。
「はぁ~……じゃあ、どうしたいんだ?」
「久し振りにプーシー4号を思う存分ブッ放したい! それもモンスターに……挽肉にしてやるんや~。わははははは」
「「こわっ……」」
プック、かなり溜まっていた模様。その顔が邪悪だったので、シモンとユーチェは恐怖に震えるのであったとさ。
プックを満足させるには、この村にいては無理。シモンは地図を広げてユーチェに相談したら、他の魔獣出没地域も疎開地になっていたから食料になった可能性が高いらしい。
「ホンマか?」
「ホンマやって! プックさん、目が怖い~!!」
ただ、ユーチェの言葉はプックの信用に足りない。粗忽者とか言われてたもん。
「となると……迷宮に行くしかないか。入口の迷宮街に行こう」
シモンが方針を告げると、ユーチェを睨んでいたプックの目はシモンに向いた。
「なんでや? どうせ七層に行くなら、出口の迷宮街に行くべきちゃうんか??」
「それがな~……プックには言ってなかったんだけど、たまに勇者パーティが現れるんだって」
これは時々王都から届く情報。どうやら勇者パーティは七層を拠点としていて、シモンがやって来るのを手ぐすね引いて待っているとのこと。
そこから六層の出口の迷宮街に行ったり、七層の入口の迷宮街に行ったりとウロウロしているらしい。
「めちゃくちゃ恨まれとりますな~」
「ああ。だからずっと動かなかったんだよ。勇者パーティが八層に行ったとしても、しばらくは動かないほうが良さそうだ」
「なんや。意外と考えておるんやな~」
「鉢合わせしたら怖いもん」
シモンは情けないことを言っているが、プックとユーチェも同意見。1キロは離れていないと戦うこともできないからだ。
なので、シモンの案で賛成。入口の迷宮街に拠点を移すことが決定するのであった。
旅支度をした数日後、シモンたちは馬車に乗って旅立つ。その時、村に住むエルフたちが大々的に見送りに来ていたから、めっちゃ恐縮していた。「エルフの英雄~!」とか言って涙ながらに追いかけて来たんだもん。
ちなみに馬車は、コルネーリア女王が貸してくれたとのこと。それも高級馬車なので、揺れはほとんどない。プックの愛馬プリンと、もう一頭の馬で引いてくれている。
プリンはしばらくプックのことを見ていなかったから、完全に忘れていたけど……
行きは全て野宿だったが、今回は道中の村や町で一泊。どこに泊まっても全てタダなので、シモンたちは恐縮というか、コルネーリア女王の力にちょっと引いていた。全てを見透かされているみたいで怖かったみたい。
そうして5日後には、入口の迷宮街に到着。牧場に馬と馬車を預けて、本日の宿ではなく、すでに用意されていた鍛冶場付きの屋敷に案内された。
「お待ちしておりました」
「う、うん……これ、俺たち見張られてないか?」
「女王様、怖いわ~」
「それだけエルフは2人に感謝してるんどすよ」
その屋敷はエルフのメイド付きなので、シモンとプックは国家権力に監視されているみたいで怖い。元近衛兵のユーチェにはこの恐怖は伝わらないみたいだ。
とりあえず旅の疲れを取るために2日は休んでから迷宮に向かおうと思っていたが、メイドにお世話されるのは心安まらないのか、2日目は夕方前に街に繰り出した。
「初めて来た時とは違って、活気がありますな~」
「ああ。みんな戻って来たんだな~」
迷宮街は、疎開地から戻った住人が歩いているので、プックとシモンはあの日が嘘みたいだと歩く。そうして適当に選んだ酒場に入ったら、酒を頼んで乾杯だ。
「やっぱこれだよな~」
「ホンマに。騒がしい酒場のほうがあーしたちには合ってんな」
久し振りの喧騒が、シモンとプックは感慨深い。いつもエルフに囲まれていたから、酔うに酔えなかったらしい。プックは毎日タダ酒を大量に飲むのは、さすがに気が引けたんだとか。
「それより、明日から迷宮に潜るんどすよね? 準備とかせんでええんどすか?」
2人が懐かしむ顔してガブガブ飲んでいるので、ユーチェはちょっと心配みたいだ。
「日帰りの予定だから、特に何も準備する必要ないかな? せいぜいお弁当ぐらい??」
「なんや~。しばらく潜ってるんやと思ってたどす~」
「パーティメンバーも増えたんだから、無茶するワケないだろ。まずはフォーメーションなんかを確認してからだ。ところでユーチェって、迷宮は初めてか?」
「いえいえ。20年ぐらい前に、近衛兵になるならレベル上げしないといけないとパパに言われて、連れて来てもらったどす」
シモンは世間話程度に質問したら、プックと一緒に固まった。
「どないしたんどす?」
「いや……20年前って、いくつだったのかと思って……」
そう。年齢問題だ。
「ちっさい頃じゃないどすよ? いい加減働かないとと思って……何歳やったかな? 20代半ばぐらいにどす」
「あーしがハッキリ聞く! いまはいくつや!!」
シモンは濁して聞いたけど、プックか割り込んだ。
「確か……50代??」
「50代でそれ!?」
「それってどういう意味どすか?」
「正確にはわからないのかよ……」
「一桁なんて誤差どすから、みんな覚えてまへんで?」
ユーチェ、プーシーユーの中で一番年上。それも倍も違うのに、この中で一番幼く感じるからプックは激しくツッコミ、シモンは「エルフって……」と呆れ返るのであったとさ。
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