銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~

ma-no

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三章 パーティ活動

079 プーシーユーの金銭事情


 ミノタウロスキングは割と余裕で勝てたのだが、固定シールドの片付けに手間取ったプーシーユー。しかし力持ちのプックの頑張りのおかげで、階層移動の扉は間に合いそうだ。

「2人とも、そっちじゃない。戻るぞ」
「「え??」」

 プックとユーチェは階層移動の扉に向かおうとしたが、シモンが止めたから同時に首を傾げた。

「目的は階層移動じゃないからな。そっちに行ったら、五層の地下4階に出てしまう。そうなったら、戻るのかなり時間が掛かるぞ」
「あぁ~」
「どゆことどす?」

 プックは一度経験があるから理解が早い。しかしユーチェは階層移動の常識を知らないから、シモンはあとで説明すると言って入口からボス部屋を出た。

「ちなみになんやけど、この扉を開けると迷宮ボスは復活してるん?」

 外に出たところでプックは気になることをシモンに聞く。

「階層移動の扉が閉まってたらな」
「てことは、ボスの魔石で稼ぎ放題ちゃうの?」
「やろうと思えばな。ただ、冒険者のマナー的にはあまりよくない。連続で戦っていたら、列ができたりするんだ」
「いまなら大丈夫ちゃう? 誰もおらんで??」
「俺もやりたいけど、弾が足りないだろ。そもそもここだとAランクパーティでも疲れるだろうから、連戦する人はめったにいないんじゃないかな?」

 プーシーユーの戦い方は、動かず銃を撃ちまくるだけ。普通の冒険者なら激しく動き回って剣を振り回したり怪我をするのだから、ボス戦の辛さは段違いだ。

「そりゃそうやな。あんまり疲れてないから、肉体労働の辛さ忘れてたわ~」
「ウチは緊張でヘトヘトどす~」
「ま、俺たちの場合は人数が少ないから、1回で充分な稼ぎになるだろ。早く帰ってベッドで寝ようぜ」

 シモンがまとめると、全員賛成。来た道を慎重に戻り、安全地帯で体を休めるのであった。


 その翌日は、モンスターを蜂の巣にしながらダンジョンを逆走。そうしていたら、前から冒険者が来る気配があったので、シモンは脇道にプックたちを連れて行った。
 しばらく待ち、もうそろそろいいかと元の道に戻ったら、その通路から少し進んだ場所で5人の男が立っていた。

「またお前たちか……」

 そのパーティは、プーシーユーにボコボコにされた風勢嚇麗ふうせいかくれいパーティ。シモンは警戒して、プックたちにも銃を構えるように指示を出した。

「待った! 敵意はない!!」

 すると、リーダーのダーンだけが両手を上げて前に出た。先日の怪我は、弾が綺麗に肩を貫通していたから回復魔法で簡単に治ったみたいだ。

「敵意はないだと? 下層では他の冒険者と接触を避けろと教えただろ。それなのに待ち伏せしていたのは、どういうことだ??」
「違うんだって! 五層のギルマスから伝言があるから、もしかしてと思って待ってたんだ」
「ギルマス??」

 どうやらダーンはギルマスから頼まれていたけど、シモンが英雄なんて信じていなかったから、伝える気すら起きなかった。
 だが、実力を知って……というか、会ったのに喧嘩して伝言もしていなかったと知られたら、ギルマスからの心証も悪くなると思ってシモンのことを追っていたのだ。

 ダーンの真意のほどはわからないシモンだが、ユーチェたちには銃を下ろさせて話を聞く。

「ギルマスはシモンが生きていると知って喜んでいた。あと、本当に勇者を追い返したのかと疑ってもいたぞ」
「またあのオッサンは……」
「冗談だ。と、言うように伝えてくれって」

 シモンが嫌そうな顔をするのはギルマスも想定内だったみたい。

「できたら、勇者対策にいい案があるなら教えてほしいとも言っていた」
「ああ~……俺が戻っているような噂を流しておけば、勇者パーティは怖がって長居はしないと思う。そう伝えておいてくれ」
「わかった……だが、勇者パーティが恐れることって、シモンはいったい何をしたんだ?」
「たいしたことじゃない。1キロ以上離れたところから何度も怪我を負わせただけだ」
「1キロ以上だと……」
「信じるか信じないかは、お前しだいだ。死なない程度に頑張れよ。じゃあな」

 ダーンたちが呆気に取られているなか、シモンは左手を振りながらプックたちを連れてこの場を離れるのであった。


 それからもモンスターを倒して逆走するプーシーユー。プックからは「何カッコつけてまんの~」とからかわれたり、ユーチェからは「カッコよかったわ~」と褒められて逆に恥ずかしいシモン。
 それは風勢嚇麗と離れてすぐのことだったので、あとは真面目に。2泊野営したら、無事、ダンジョンから脱出だ。

「久し振りの空どす~」
「この解放感は、他では味わえまへんな」
「毎回はキツイけどな」

 迷宮から出たプーシーユーはホッとしながら背伸びする。その足で冒険者ギルドを訪ねると、魔石を売り払って銀行部門の応接室に移動した。

「前回はゴタゴタしていたから分け前の話を忘れていたんだ。とりあえず俺とプックで迷宮踏破したヤツを先に分けよう」

 シモンは革袋をドスンと置いて、額が書かれた紙をプックに見せる。

「こんなに稼げてたんや……」
「踏破するならそれだけのモンスターを倒さないといけないからな。んで、分け前は俺が6、プックが4で構わないか??」
「4でも……たっか!? あーし、ほとんど役に立ってなかったのに、こんなに貰えまへんがな!」
「そうでもないぞ。ボスはプックがいないと倒せなかったんだからな」
「それでもシモンはんは、道案内に罠の解除、見張りもずっとしてくれてたや~ん」

 普通は5人で山分けする物だから、2人で分けたら超高い。だからプックは申し訳ないと受け取ってくれなかったので、シモン8のプック2という割合で決着した。

「次は、前回の練習と今回のダイブで稼いだ物な」

 この金額は先程より多いので、ユーチェが嬉しそうに見てる。山分けしたら、かなりの額だもの。

「3人でパーティを組むことになったんだから、給料制にしたほうがいいと思うんだ。特にプックは役割が違い過ぎるし」

 シモンの案は、手に入れたお金をパーティ資金として扱い、その中から一定額を各自に振り分ける方法だ。もちろん材料費はパーティ資金から捻出される。

「うん。ええんちゃう? 若干、あーしが楽してるみたいやけど」
「ウチもそれでかまいまへん。プックさんは整備とかもありますし」
「んじゃ、あとは給料の額だな」

 給料はCランク冒険者がひと月に稼ぐ額の1,5倍で決定。シモンだけは「リーダーだろ」と押し切られて2倍だ。

 こうしてパーティ通帳や個人の通帳を作ったプーシーユーは、さっそくパーティ資金からお疲れ様会をするのであった。
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