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04 カーボエルテ王国 王都1
069 魔王討伐1
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「待ってください!」
タピオパーティに無理矢理加入させられた勇者クリスタが暗い顔をしながら準備していると、聖女オルガから待ったが入ったのでタピオが対応する。
「なんだ?」
「私も連れて行ってください!!」
必死に巨乳を揺らして説得するオルガ。しかしタピオの答えは決まっている。
「足手まといだ」
「確かに戦闘では邪魔になるかもしれません……しかし、勇者様の怪我を治せるのは私だけです!」
タピオは考える。
イロナブートキャンプでは、二度も勇者は死に掛けた。
これから先、イロナが無茶振りするのは確実。
それに聖女は巨乳。
勇者が怪我をする度に自分の回復アイテムを持ち出すのは少しもったいない。
勇者のためとかいって、本当は俺に気があるのでは? ぎゃっ!?
オルガの胸を見ながら考え事をしていたタピオは、イロナに「ドゴンッ!」と背中を叩かれて悶えているので、イロナが答えを言い渡す。
「よかろう。ついて来い」
「つつつ……いいのか?」
「勇者は弱いのだから薬箱は必要だろう」
イロナが許可を出した瞬間、オルガはキラキラした目になったが、理由を知ったらズーンと肩を落とす。これでも人々に癒しを与える聖職者なのに、薬箱扱いされたらそうなるよ。
同じように暗い顔をしているクリスタに肩を叩かれて、聖女オルガもタピオパーティに加入するのであった。
それから勇者パーティは荷物を再分配し、食料の半分はタピオパーティに。回復アイテムは全てタピオパーティに分配された。
これは、セーフティエリアは機能していることと、もうしばらくしたら転送魔法陣が使えるからの判断だ。
残る勇者パーティの引率は賢者ヨウニ。現在は魔法学校の校長をしているのだが、若い頃は前々勇者のパーティ入り、ダンジョン探索をしていた経験があったのでアドバイザーとして連れて来られていた。
上級職のほとんどは前勇者と共に旅立ったので、この老齢のヨウニしか頼りになる者がいなかったようだ。ただ、年齢に加えてブランクが長かったため、戦闘はあまり役に立たず、寄る年波には勝てないと気落ちしていた。
これ以上、地下について行く体力も気力もないので、ここに残る決断に至る。ぶっちゃけ、生きて帰れてラッキーだと思っている。
なので、先に地上に戻って国王に報告を入れるとしても、クリスタとオルガから出された箝口令は守ってくれるようだ。
転送魔法陣が機能したらすぐに帰還する勇者パーティを残し、タピオパーティは地下41階に進む。
睡眠時間を取ったこともあり、モンスターは復活しているがこの階層のモンスターはタピオとイロナの敵ではない。ただ、クリスタには強い敵であったので、イロナに群れに投げ込まれたりして怪我をしていた。
オルガはめちゃくちゃ驚いてイロナを糾弾していたが、睨まれてタピオの後ろに隠れる。その時、聖女の柔らかい物がタピオの腕に当たったのでだらしない顔になり、イロナに殴られてタピオも怪我をしていた。
先を進み、何度もクリスタが酷い目にあう姿を見たオルガは、タピオにこっそり相談を持ち掛ける。
「あの人、なんとかなりませんか?」
「俺には無理だ」
「このままでは、勇者様が死んでしまいます。タピオさんだけが頼みなんですよ~」
オルガがタピオの両手を取って上目遣いで懇願するので、タピオはデレーンとなるが……
「そんなことをするから俺まで怪我するんだぞ? ぐわっ!!」
イロナのせっかん。「ドゴーン!」と殴られて痛い思いをするタピオ。オルガは素でこんな小悪魔仕草をするので、タピオはたまったものじゃない。
ダメージを減らすためには、イロナを説得するしかないのだ。
「てか、あまり勇者に戦わせると、進む速度が遅くなるぞ」
「むっ……一理ある」
「それに聖女のMPも限度があるんだから、ここはセーフティエリアの手前だけを勇者担当にしたらどうだ?」
「うむ。妥当なところか……」
なんとかイロナが折れてくれたので、タピオはホッと胸を撫で下ろすが、感動したクリスタとオルガがタピオの腕に絡み付いて来たので、だらしない顔になった。
「ぎゃっ! なんで鎧がないところばかり狙うんだよ~」
「我というものがあるのに、デレデレしている主殿が悪いのだ」
イロナは嫉妬しているようだが、タピオは蹴られた所が痛すぎて気付けていない。クリスタとオルガはというと嫉妬には気付いているようだが、イロナのローキックの音が凄すぎたので怖くなっていた。
イロナブートキャンプの回数が減ったので、タピオパーティの攻略速度が上がり、さくさく地下へと進む。
その時、タピオが道を知っているかのように歩くので、クリスタとオルガの質問攻めにあっていた。だが、タピオは自分の情報になると口を閉ざすので、せっかく仲が良くなったと思った二人は、それ以上の質問はできなかった。
そうして地下59階、セーフティエリアに向かう階段の手前で、勇者はイロナに背中を押される。
「フフ……おあつらえ向きの奴じゃないか」
「オーガジェネラルにキング……」
「一度殺されかけた相手だ。復讐してやれ」
「はい!」
こうしてイロナに発破をかけられたクリスタは、一人でオーガの群れに突撃して行くのであった。
「あんなことを言ってますけど……」
「五匹だし、一人でなんとかなるんじゃないかな?」
「タピオさんもあっち側ですか~」
一人だけ超心配しているオルガを残して……
タピオパーティに無理矢理加入させられた勇者クリスタが暗い顔をしながら準備していると、聖女オルガから待ったが入ったのでタピオが対応する。
「なんだ?」
「私も連れて行ってください!!」
必死に巨乳を揺らして説得するオルガ。しかしタピオの答えは決まっている。
「足手まといだ」
「確かに戦闘では邪魔になるかもしれません……しかし、勇者様の怪我を治せるのは私だけです!」
タピオは考える。
イロナブートキャンプでは、二度も勇者は死に掛けた。
これから先、イロナが無茶振りするのは確実。
それに聖女は巨乳。
勇者が怪我をする度に自分の回復アイテムを持ち出すのは少しもったいない。
勇者のためとかいって、本当は俺に気があるのでは? ぎゃっ!?
オルガの胸を見ながら考え事をしていたタピオは、イロナに「ドゴンッ!」と背中を叩かれて悶えているので、イロナが答えを言い渡す。
「よかろう。ついて来い」
「つつつ……いいのか?」
「勇者は弱いのだから薬箱は必要だろう」
イロナが許可を出した瞬間、オルガはキラキラした目になったが、理由を知ったらズーンと肩を落とす。これでも人々に癒しを与える聖職者なのに、薬箱扱いされたらそうなるよ。
同じように暗い顔をしているクリスタに肩を叩かれて、聖女オルガもタピオパーティに加入するのであった。
それから勇者パーティは荷物を再分配し、食料の半分はタピオパーティに。回復アイテムは全てタピオパーティに分配された。
これは、セーフティエリアは機能していることと、もうしばらくしたら転送魔法陣が使えるからの判断だ。
残る勇者パーティの引率は賢者ヨウニ。現在は魔法学校の校長をしているのだが、若い頃は前々勇者のパーティ入り、ダンジョン探索をしていた経験があったのでアドバイザーとして連れて来られていた。
上級職のほとんどは前勇者と共に旅立ったので、この老齢のヨウニしか頼りになる者がいなかったようだ。ただ、年齢に加えてブランクが長かったため、戦闘はあまり役に立たず、寄る年波には勝てないと気落ちしていた。
これ以上、地下について行く体力も気力もないので、ここに残る決断に至る。ぶっちゃけ、生きて帰れてラッキーだと思っている。
なので、先に地上に戻って国王に報告を入れるとしても、クリスタとオルガから出された箝口令は守ってくれるようだ。
転送魔法陣が機能したらすぐに帰還する勇者パーティを残し、タピオパーティは地下41階に進む。
睡眠時間を取ったこともあり、モンスターは復活しているがこの階層のモンスターはタピオとイロナの敵ではない。ただ、クリスタには強い敵であったので、イロナに群れに投げ込まれたりして怪我をしていた。
オルガはめちゃくちゃ驚いてイロナを糾弾していたが、睨まれてタピオの後ろに隠れる。その時、聖女の柔らかい物がタピオの腕に当たったのでだらしない顔になり、イロナに殴られてタピオも怪我をしていた。
先を進み、何度もクリスタが酷い目にあう姿を見たオルガは、タピオにこっそり相談を持ち掛ける。
「あの人、なんとかなりませんか?」
「俺には無理だ」
「このままでは、勇者様が死んでしまいます。タピオさんだけが頼みなんですよ~」
オルガがタピオの両手を取って上目遣いで懇願するので、タピオはデレーンとなるが……
「そんなことをするから俺まで怪我するんだぞ? ぐわっ!!」
イロナのせっかん。「ドゴーン!」と殴られて痛い思いをするタピオ。オルガは素でこんな小悪魔仕草をするので、タピオはたまったものじゃない。
ダメージを減らすためには、イロナを説得するしかないのだ。
「てか、あまり勇者に戦わせると、進む速度が遅くなるぞ」
「むっ……一理ある」
「それに聖女のMPも限度があるんだから、ここはセーフティエリアの手前だけを勇者担当にしたらどうだ?」
「うむ。妥当なところか……」
なんとかイロナが折れてくれたので、タピオはホッと胸を撫で下ろすが、感動したクリスタとオルガがタピオの腕に絡み付いて来たので、だらしない顔になった。
「ぎゃっ! なんで鎧がないところばかり狙うんだよ~」
「我というものがあるのに、デレデレしている主殿が悪いのだ」
イロナは嫉妬しているようだが、タピオは蹴られた所が痛すぎて気付けていない。クリスタとオルガはというと嫉妬には気付いているようだが、イロナのローキックの音が凄すぎたので怖くなっていた。
イロナブートキャンプの回数が減ったので、タピオパーティの攻略速度が上がり、さくさく地下へと進む。
その時、タピオが道を知っているかのように歩くので、クリスタとオルガの質問攻めにあっていた。だが、タピオは自分の情報になると口を閉ざすので、せっかく仲が良くなったと思った二人は、それ以上の質問はできなかった。
そうして地下59階、セーフティエリアに向かう階段の手前で、勇者はイロナに背中を押される。
「フフ……おあつらえ向きの奴じゃないか」
「オーガジェネラルにキング……」
「一度殺されかけた相手だ。復讐してやれ」
「はい!」
こうしてイロナに発破をかけられたクリスタは、一人でオーガの群れに突撃して行くのであった。
「あんなことを言ってますけど……」
「五匹だし、一人でなんとかなるんじゃないかな?」
「タピオさんもあっち側ですか~」
一人だけ超心配しているオルガを残して……
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