17 / 18
淡い記憶と白い騎士
邂逅
しおりを挟む
キジヌ一行は七宝帝帝国領域アルトロン銀河内惑星ミジトのエルバラドに来ていた。
高層ビルが立ち並ぶ都会的な街だ。
キジヌ達の本日の仕事は護衛の依頼だった。
依頼者はウィルコットという老人だった。
孫の元に出かけるために依頼してきたのだ。依頼料は十万ダール。
割に合う仕事ではなかったがそれはいつもの事だった。
「最近物騒だからねぇ」
そのために銀河を渡る為のタクシー代わりだった。
タクシーに護衛が付いているのだからやはり割に合っては無かった。
無事孫の元へ届けるとありがとうねぇと料金と冷凍ミカンをくれた。
冷凍ミカンを頬張りながらキジヌは言った。
「どうせながら街ん中ぶらぶらするかい?」
そういう訳でエルバラドで少し観光する事になった。
しかしエルバラドは都会ではあったが観光には向いてなかった。
しょうがないので買い物をする事になった。
スリーとキジヌは洋服店に行き、その後グレートジェントルマン号のパーツを物色していた。
キジヌは服に関して聞かれるのは得意ではあったがパーツの事はからきしだった。
しかも服を選ぶのよりも遥かに長いのである。
店に入ってからすでに三時間経っていた。
その二時間後漸く解放されたキジヌはやつれていた。対してスリーは元気そのものだった。
「いやー良い買い物したなぁ!」
「そうかい……私には良く判らなかったが……」
「おいおい冗談だろ?あのパーツなきゃうちの艦はなりたたないんだぜ?」
「そうかい……」
外は既に暗くなっていた。
「どっかで飯でも食って帰るか?」
「それも良いね……ん?霧が出てきたな……」
キジヌは荷物を降ろしスリーの手を引いた
。眼前に妙な者を見たのだ。其れは白い甲冑を着込んだ騎士だった。
「白騎士!」
スリーが叫んだ瞬間既に白い騎士は剣を抜いて間合いを詰めていた。
キジヌは瞬時にレンキを帯状に形成して刃を受け止めた。
刃と帯がチリチリと音を立てていた。レンキ同士の衝突音である。
「貴公がレンキ使い狩りか!当人もレンキ使いだとは思わなかったがね!」
白い騎士は答えない。瞬時にキジヌの指を狙い切り返してきた。
キジヌはこれを回避し、右拳で白い騎士の左脇を打った。
「空ではないらしいな!」
白い騎士が放った袈裟斬りを躱しながらキジヌは言った。
手応え的にダメージを与えることは可能だと判断できた。
それならば戦える。霧が段々と濃くなってきた。
白い騎士の刃と眼がレンキで紫色に光っていた。
白い騎士は再び距離を詰めてきた。
キジヌでは無く、スリーの方へ。
スリーもぼうっとしてた訳では無かった。
右腕を向けミサイルを放った。
白い騎士は刃を斬り上げてミサイルとスリーの腕を縦に割った。
それがスリーの狙いだった。
ミサイルの爆発の中からキジヌは飛び出し、レンキを籠めた拳を白い騎士の側頭部に打ち込んだ。
さすがに効いたらしい、白い騎士はグラリとよろめいた。
その瞬間をキジヌは見逃さなかった鼻っ面に一撃を叩き込んだ。
白い騎士は吹き飛び膝をついた。
「これで終わりかね?」
「いやここからが始まりだ」
キジヌの問いに白い騎士は初めて答えた。その声はわずかに聞き覚えがあった。
白い騎士は後方へと跳躍し深くなった霧へと消えて行った。
「スリー!大丈夫か!」
「あぁ腕一本やられただけだ。艦に戻れば替えがある。しかし恐ろしい相手だったぜ……ボス?」
「……いや済まない、少し考え事をしていた。一応デイビットに報告したほうが良いだろう」
そういうとキジヌは体内通信機をデイビットにつないだ。
霧は段々と晴れて行った。
高層ビルが立ち並ぶ都会的な街だ。
キジヌ達の本日の仕事は護衛の依頼だった。
依頼者はウィルコットという老人だった。
孫の元に出かけるために依頼してきたのだ。依頼料は十万ダール。
割に合う仕事ではなかったがそれはいつもの事だった。
「最近物騒だからねぇ」
そのために銀河を渡る為のタクシー代わりだった。
タクシーに護衛が付いているのだからやはり割に合っては無かった。
無事孫の元へ届けるとありがとうねぇと料金と冷凍ミカンをくれた。
冷凍ミカンを頬張りながらキジヌは言った。
「どうせながら街ん中ぶらぶらするかい?」
そういう訳でエルバラドで少し観光する事になった。
しかしエルバラドは都会ではあったが観光には向いてなかった。
しょうがないので買い物をする事になった。
スリーとキジヌは洋服店に行き、その後グレートジェントルマン号のパーツを物色していた。
キジヌは服に関して聞かれるのは得意ではあったがパーツの事はからきしだった。
しかも服を選ぶのよりも遥かに長いのである。
店に入ってからすでに三時間経っていた。
その二時間後漸く解放されたキジヌはやつれていた。対してスリーは元気そのものだった。
「いやー良い買い物したなぁ!」
「そうかい……私には良く判らなかったが……」
「おいおい冗談だろ?あのパーツなきゃうちの艦はなりたたないんだぜ?」
「そうかい……」
外は既に暗くなっていた。
「どっかで飯でも食って帰るか?」
「それも良いね……ん?霧が出てきたな……」
キジヌは荷物を降ろしスリーの手を引いた
。眼前に妙な者を見たのだ。其れは白い甲冑を着込んだ騎士だった。
「白騎士!」
スリーが叫んだ瞬間既に白い騎士は剣を抜いて間合いを詰めていた。
キジヌは瞬時にレンキを帯状に形成して刃を受け止めた。
刃と帯がチリチリと音を立てていた。レンキ同士の衝突音である。
「貴公がレンキ使い狩りか!当人もレンキ使いだとは思わなかったがね!」
白い騎士は答えない。瞬時にキジヌの指を狙い切り返してきた。
キジヌはこれを回避し、右拳で白い騎士の左脇を打った。
「空ではないらしいな!」
白い騎士が放った袈裟斬りを躱しながらキジヌは言った。
手応え的にダメージを与えることは可能だと判断できた。
それならば戦える。霧が段々と濃くなってきた。
白い騎士の刃と眼がレンキで紫色に光っていた。
白い騎士は再び距離を詰めてきた。
キジヌでは無く、スリーの方へ。
スリーもぼうっとしてた訳では無かった。
右腕を向けミサイルを放った。
白い騎士は刃を斬り上げてミサイルとスリーの腕を縦に割った。
それがスリーの狙いだった。
ミサイルの爆発の中からキジヌは飛び出し、レンキを籠めた拳を白い騎士の側頭部に打ち込んだ。
さすがに効いたらしい、白い騎士はグラリとよろめいた。
その瞬間をキジヌは見逃さなかった鼻っ面に一撃を叩き込んだ。
白い騎士は吹き飛び膝をついた。
「これで終わりかね?」
「いやここからが始まりだ」
キジヌの問いに白い騎士は初めて答えた。その声はわずかに聞き覚えがあった。
白い騎士は後方へと跳躍し深くなった霧へと消えて行った。
「スリー!大丈夫か!」
「あぁ腕一本やられただけだ。艦に戻れば替えがある。しかし恐ろしい相手だったぜ……ボス?」
「……いや済まない、少し考え事をしていた。一応デイビットに報告したほうが良いだろう」
そういうとキジヌは体内通信機をデイビットにつないだ。
霧は段々と晴れて行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる