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2話旅たちの日
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アルマイト王国、それは大陸の東に位置する王国である。その中にある、王立アルマイト学園で一方的な暴力が行われていた。
「クソが!無能が俺にたてつきやがって。身の程をしれ!」
「ガハッ……!なんでだよ、畜生……!」
身長が180センチはあるであろう大柄な男が、か弱そうな黒髪の少年に対して容赦なく溝内に蹴りをくらわす。
少年はあまりの衝撃に嘔吐しそうになるが何とか耐えることができた。しかし、男の攻撃はそれだけでは終わらない。蹲っている少年に対し、容赦なく蹴り続ける。
「ガッ……、クソ、まだだ」
「いい加減ウザイんだよ!!とっととくたばりやがれ!!」
少年は何とかその場に立ち奮闘しようと試みる、だがダメージで体は思うように動かない。
「手間取らせやがって、お前のような無能がAクラスの僕に勝てるわけがないだろうが。無能は無能らしく地面に這いつくばっとけばいいんだよ」
―――――無能
それはアルマイト学園において、『無』のクラスの事を指す。
―――――全てを燃やし尽くし、世界を無に還す『火』
―――――全てを洗い流し、世界を無に還す『水』
―――――全てを吹き飛ばし、世界を無に還す『風』
―――――全てを照らし、世界を無に還す『光』
―――――全て飲み込み、世界を無に還す『闇』
―――――全てが始まり、世界の終着点『無』
各魔法の属性から名を借り、それぞれ火・水・風・光・闇・無のクラスと6つに分けられている。
5つのクラスは平等であり、切磋琢磨しあう学友である―――――が、無のクラスだけは違う。才能が無いと判断された者だけが集まる、言わば無能者のゴミ捨て場。
暴行を受けていた少年、ルイス・キンバリーも無のクラスに所属している。
(クソ……!なんでこんな事になったんだよ……)
*
ルイス・キンバリーはアルマイト王国にある小さな農村に暮らす夫婦のもとで生を受けた。決して裕福な家庭とは言えなかったが、幸せな生活を営んでいた。
――――仲のいい両親
――――仲のいい友達
――――仲のいい幼馴染
農村の人達と幸せな時間がずっと続けばいい、そうルイスは願っていた。しかし、その生活も彼が12歳の時に終わりを告げる。
アルマイト王国では、12歳になると魔力の儀と言われる、魔術師になれるかどうかの適性検査が行われる。
――――魔術師、それは物理法則を超越し世界の理を操る者達。
魔術師の適性を持っている者は少ない。100人の中に1人でも魔術師としての適性があれば良い方である。例外として魔術師同士の夫婦からは比較的に適性を持った子供が生まれやすい。
小さな農村でも、魔力の儀は行われた。
広場の真ん中にある台座に置かれた直径10センチ程の水晶に手を添えるだけで済む簡単な儀式だった。60代に入るだろう村長が魔力の儀を進めていく。順番に列に並んでいる同年代の子供達が水晶に手を添え、次々に適性無しと判断されていく。
適性が無いとわかっても、子供達はあまり落ち込んでいない。そもそも適性持ちが希少なのはわかりきっていた話だ。今更落ち込む事でも無かった。
そして、いよいよルイスの番である。そっと水晶に手を添えた瞬間、透明な光が辺りを照らす。
「こ、これは!適性持ちじゃと!」
村長は驚きのあまり声を荒げる。それも仕方がないだろう。十数人しかいない子供達の中に、適性持ちがいるのだから。
「おお!ルイス、適性持ちかよ!」
「いいなぁ~」
「この村から魔術師様の誕生だ!」
子供達は自分の友達が適性持ちとわかり、羨ましがる者や、憧れを持つ者など感情のままはしゃいでいる。
しかし村の大人たちは仕切りに顔を曇らしている。特に両親は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「お父さん、お母さん、何でそんな悲しそうな顔をしてるんだよ。これで僕は魔術師だぜ。英雄譚に出てくる魔術師様と同じなんだ!」
ルイスは自分に魔術の才能がある事を両親に褒めてもらいたいだけだった。それなのに何故そこまで悲しそうな顔をしているのかがわからない。
辛い表情をしている両親だったが意を決し、父親が震える声で真実を述べようと口を開く。
「ルイス、適性がある者は……」
「魔術師様達が通うアルマイト学園に通わなければならないのじゃ」
ルイスの父親の言葉を遮り、村長は冷淡に事実を述べる。
「ダスティ、それ以上言わなくてよい。あとは全てワシが言おう。アルマイト王国の魔術適性がある者は全て国が管理する事になっておる。将来有望な魔術師を輩出するためじゃ。これはアルマイト王国に住む国民の義務なのじゃ。ルイス、お前も明日にはこの村を出て行ってもらう事になる。」
これ以上ダスティに負担を掛けないようにし、恨み役は自分が請け負うために村長は冷たい言葉をかけていく。周りの大人達は村長の様子を見て、その事を理解する。
しかし、まだ幼いルイスにはその様なことはわかりもしなかった。
「じゃあこの村から出て行かなくちゃならないのかよ!」
「そうじゃ、今から支度をしないと間に合わぬな」
「イヤだ!この村で皆と一緒過ごしたい」
「それは無理なことじゃ。これは国の決定じゃ」
「村長は僕がこの村にいらないって言うのかよ!」
ルイスはこれから訪れるであろう自分の未来を否定したかった。
ただ一言、この村にいてもいんだという言葉を欲しかっただけだ。そのせいで、村長に対して乱雑な言葉を使ってしまっている。勿論、ルイスはその言葉が貰えれば村長には謝るつもりだった。。
しかし、村長から発せられた言葉はルイスを絶望に叩き落とす。
「…………ああ、そうじゃ。ルイス、お前はこの村から出て行け。お前の様な子供が一人いなくなろうが全然痛手では無いからのう。子供一人を匿って国に反逆罪として捕まるか、国に従うだったら普通後者を選ぶじゃろう。ルイス、頼むからこの村の為に出て行ってくれ」
「……そうかよ!そんなに出て行って欲しかったら、こんな村出てってやるよ!僕はこの村の邪魔者だからな!」
*
早朝、昨日の内に旅の準備を終えていたルイスは誰にも見つからないように村を旅出そうとしていた。両親に最後の挨拶を済ませたが、村長に感情的に当たってしまったことに対する謝罪ができていなかったのは心残りだった。
しかし、ルイスは自分がこの村に残ってしまったら両親や村の人々に迷惑をかけてしまうとわかっている。
村の入り口を通り抜け、深々と一礼をする。今までの感謝を込めて深々と。礼が終わりそのままアルマイト学園に向かおうとした時である。
「待つのじゃ、ルイスよ」
「な!村長!」
旅立とうとしていたルイスを村長は引き止める。隠れて旅立てると思ったルイスは、驚きのあまり動揺を隠せていなかった。
「何で村長が此処に!?」
「何年お主の事を見てきたと思っておる。行動も筒抜けじゃ」
「そうかよ、それで僕に何の用?」
「渡しておかなくてはならぬ物があったからじゃ」
村長は懐から手の平程の薄い板を取り出す。
「これはステータスプレート、本来は魔力の儀が終わってから全ての子供に渡す予定だったのじゃが……何処かのアホが走り去ってしまったからのう」
「アホですみませんね、アホで。それでこれを僕にくれるのか?」
「そうだから此処におるのじゃろう」
そう言う村長はルイスにステータスプレートを手渡し、そしてそのまま手を強く握りしめる。大切なモノを取られないようにする子供のように。
「本当だったらルイスと共にこのまま幸せに過ごしたかった。だが無理なのじゃ。力のないジジイで済まぬ。国には逆らえぬのじゃ」
村長は本心をありのままに伝える。このまま一生会えなくなるかもしれない、そうなっても後悔しないように、ただただ思いを伝える。
「ルイスは子供の頃から頑張りモノじゃった。文句を言わずに大人の手伝いをしてくれる。そんな姿を今まで見ておった。そんな頑張りモノのルイスが辛い思いをするのは、ワシだって嫌じゃ。それでも唯の平民にとって国は絶対なのじゃ。逆らってワシだけが処罰されるのは良い、しかしお主まで処罰させるかもしれないと思ったら……何としてでもこの村を旅足せなくてはならいと思った。そのせいで昨日は辛く当たり過ぎてしまった。その事を許してほしい」
「許すよ、許すに決まってるよ!村長。いや、お爺ちゃん!!僕こそ昨日はごめん。全然お爺ちゃんの気持ちを考えられていなかった!」
ルイスにとって村長は祖父にあたる。今まで村長の仕事がある時は、村人の前では村長と言わせていた。
ルイスはお爺ちゃんと叫んだ。つまり、今は村長に対してではなく1人の家族として接しあっている証拠だった。
「僕もお爺ちゃんから離れたくない!ただ僕がこの村にいたら迷惑が掛かるのはわかってるんだよ。それでも、それでも離れたくない!」
「ワシもじゃ、ルイス!」
お互いの気持ちが高ぶり厚い抱擁を交わす二人。時間にしては一瞬だが、お互いの気持ちを通じることができた。
「行ってくるよ、お爺ちゃん」
「……ルイスも達者でのう」
「うん、お爺ちゃんこそ体調に気を付けてね」
「当り前じゃ、お主が帰ってきたときにワシがいなくてどないする」
いよいよ旅たちの時である。最後にルイスは声高と叫ぶ。
「今まで本当にありがとうございました!絶対にお土産を持って帰ってくるから!」
「たんと良い土産を期待しておくわ。だから絶対に帰ってくるのじゃぞ!」
そのままルイスは前を向き、歩き始める。絶対に村に帰ってくると決意して。
*
歩き始めて数時間が経ち、昼食を取るために休憩をしていた時である。
(そういえば自分のステータスを見てなかったよな)
ふと、ルイスは強さに興味が湧いてくる。思春期真っ最中であるルイスは、自分がおとぎ話に出てくるような英雄を妄想してしまうお年頃である。興味が湧いてしまったら我慢をすることはできない。
ステータスを見るために、合言葉を口ずさむ。
「ステータス・オープン」
=== * ===
名前:ルイス・キンバリー
年齢:12歳
Lv:4
HP:25
MP:54
ATK:12
INT:19
DFE:7
RES:23
DEX:12
AGI:14
LUK:0
スキル:『農業:Lv3』…農業に関する技術が向上する。『無属性魔術:Lv1』…無属性の魔力を扱うことができる
ユニークスキル:『無の勇者:Lv1』…無属性魔術の消費MPを10%減・INT10%増加
「クソが!無能が俺にたてつきやがって。身の程をしれ!」
「ガハッ……!なんでだよ、畜生……!」
身長が180センチはあるであろう大柄な男が、か弱そうな黒髪の少年に対して容赦なく溝内に蹴りをくらわす。
少年はあまりの衝撃に嘔吐しそうになるが何とか耐えることができた。しかし、男の攻撃はそれだけでは終わらない。蹲っている少年に対し、容赦なく蹴り続ける。
「ガッ……、クソ、まだだ」
「いい加減ウザイんだよ!!とっととくたばりやがれ!!」
少年は何とかその場に立ち奮闘しようと試みる、だがダメージで体は思うように動かない。
「手間取らせやがって、お前のような無能がAクラスの僕に勝てるわけがないだろうが。無能は無能らしく地面に這いつくばっとけばいいんだよ」
―――――無能
それはアルマイト学園において、『無』のクラスの事を指す。
―――――全てを燃やし尽くし、世界を無に還す『火』
―――――全てを洗い流し、世界を無に還す『水』
―――――全てを吹き飛ばし、世界を無に還す『風』
―――――全てを照らし、世界を無に還す『光』
―――――全て飲み込み、世界を無に還す『闇』
―――――全てが始まり、世界の終着点『無』
各魔法の属性から名を借り、それぞれ火・水・風・光・闇・無のクラスと6つに分けられている。
5つのクラスは平等であり、切磋琢磨しあう学友である―――――が、無のクラスだけは違う。才能が無いと判断された者だけが集まる、言わば無能者のゴミ捨て場。
暴行を受けていた少年、ルイス・キンバリーも無のクラスに所属している。
(クソ……!なんでこんな事になったんだよ……)
*
ルイス・キンバリーはアルマイト王国にある小さな農村に暮らす夫婦のもとで生を受けた。決して裕福な家庭とは言えなかったが、幸せな生活を営んでいた。
――――仲のいい両親
――――仲のいい友達
――――仲のいい幼馴染
農村の人達と幸せな時間がずっと続けばいい、そうルイスは願っていた。しかし、その生活も彼が12歳の時に終わりを告げる。
アルマイト王国では、12歳になると魔力の儀と言われる、魔術師になれるかどうかの適性検査が行われる。
――――魔術師、それは物理法則を超越し世界の理を操る者達。
魔術師の適性を持っている者は少ない。100人の中に1人でも魔術師としての適性があれば良い方である。例外として魔術師同士の夫婦からは比較的に適性を持った子供が生まれやすい。
小さな農村でも、魔力の儀は行われた。
広場の真ん中にある台座に置かれた直径10センチ程の水晶に手を添えるだけで済む簡単な儀式だった。60代に入るだろう村長が魔力の儀を進めていく。順番に列に並んでいる同年代の子供達が水晶に手を添え、次々に適性無しと判断されていく。
適性が無いとわかっても、子供達はあまり落ち込んでいない。そもそも適性持ちが希少なのはわかりきっていた話だ。今更落ち込む事でも無かった。
そして、いよいよルイスの番である。そっと水晶に手を添えた瞬間、透明な光が辺りを照らす。
「こ、これは!適性持ちじゃと!」
村長は驚きのあまり声を荒げる。それも仕方がないだろう。十数人しかいない子供達の中に、適性持ちがいるのだから。
「おお!ルイス、適性持ちかよ!」
「いいなぁ~」
「この村から魔術師様の誕生だ!」
子供達は自分の友達が適性持ちとわかり、羨ましがる者や、憧れを持つ者など感情のままはしゃいでいる。
しかし村の大人たちは仕切りに顔を曇らしている。特に両親は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「お父さん、お母さん、何でそんな悲しそうな顔をしてるんだよ。これで僕は魔術師だぜ。英雄譚に出てくる魔術師様と同じなんだ!」
ルイスは自分に魔術の才能がある事を両親に褒めてもらいたいだけだった。それなのに何故そこまで悲しそうな顔をしているのかがわからない。
辛い表情をしている両親だったが意を決し、父親が震える声で真実を述べようと口を開く。
「ルイス、適性がある者は……」
「魔術師様達が通うアルマイト学園に通わなければならないのじゃ」
ルイスの父親の言葉を遮り、村長は冷淡に事実を述べる。
「ダスティ、それ以上言わなくてよい。あとは全てワシが言おう。アルマイト王国の魔術適性がある者は全て国が管理する事になっておる。将来有望な魔術師を輩出するためじゃ。これはアルマイト王国に住む国民の義務なのじゃ。ルイス、お前も明日にはこの村を出て行ってもらう事になる。」
これ以上ダスティに負担を掛けないようにし、恨み役は自分が請け負うために村長は冷たい言葉をかけていく。周りの大人達は村長の様子を見て、その事を理解する。
しかし、まだ幼いルイスにはその様なことはわかりもしなかった。
「じゃあこの村から出て行かなくちゃならないのかよ!」
「そうじゃ、今から支度をしないと間に合わぬな」
「イヤだ!この村で皆と一緒過ごしたい」
「それは無理なことじゃ。これは国の決定じゃ」
「村長は僕がこの村にいらないって言うのかよ!」
ルイスはこれから訪れるであろう自分の未来を否定したかった。
ただ一言、この村にいてもいんだという言葉を欲しかっただけだ。そのせいで、村長に対して乱雑な言葉を使ってしまっている。勿論、ルイスはその言葉が貰えれば村長には謝るつもりだった。。
しかし、村長から発せられた言葉はルイスを絶望に叩き落とす。
「…………ああ、そうじゃ。ルイス、お前はこの村から出て行け。お前の様な子供が一人いなくなろうが全然痛手では無いからのう。子供一人を匿って国に反逆罪として捕まるか、国に従うだったら普通後者を選ぶじゃろう。ルイス、頼むからこの村の為に出て行ってくれ」
「……そうかよ!そんなに出て行って欲しかったら、こんな村出てってやるよ!僕はこの村の邪魔者だからな!」
*
早朝、昨日の内に旅の準備を終えていたルイスは誰にも見つからないように村を旅出そうとしていた。両親に最後の挨拶を済ませたが、村長に感情的に当たってしまったことに対する謝罪ができていなかったのは心残りだった。
しかし、ルイスは自分がこの村に残ってしまったら両親や村の人々に迷惑をかけてしまうとわかっている。
村の入り口を通り抜け、深々と一礼をする。今までの感謝を込めて深々と。礼が終わりそのままアルマイト学園に向かおうとした時である。
「待つのじゃ、ルイスよ」
「な!村長!」
旅立とうとしていたルイスを村長は引き止める。隠れて旅立てると思ったルイスは、驚きのあまり動揺を隠せていなかった。
「何で村長が此処に!?」
「何年お主の事を見てきたと思っておる。行動も筒抜けじゃ」
「そうかよ、それで僕に何の用?」
「渡しておかなくてはならぬ物があったからじゃ」
村長は懐から手の平程の薄い板を取り出す。
「これはステータスプレート、本来は魔力の儀が終わってから全ての子供に渡す予定だったのじゃが……何処かのアホが走り去ってしまったからのう」
「アホですみませんね、アホで。それでこれを僕にくれるのか?」
「そうだから此処におるのじゃろう」
そう言う村長はルイスにステータスプレートを手渡し、そしてそのまま手を強く握りしめる。大切なモノを取られないようにする子供のように。
「本当だったらルイスと共にこのまま幸せに過ごしたかった。だが無理なのじゃ。力のないジジイで済まぬ。国には逆らえぬのじゃ」
村長は本心をありのままに伝える。このまま一生会えなくなるかもしれない、そうなっても後悔しないように、ただただ思いを伝える。
「ルイスは子供の頃から頑張りモノじゃった。文句を言わずに大人の手伝いをしてくれる。そんな姿を今まで見ておった。そんな頑張りモノのルイスが辛い思いをするのは、ワシだって嫌じゃ。それでも唯の平民にとって国は絶対なのじゃ。逆らってワシだけが処罰されるのは良い、しかしお主まで処罰させるかもしれないと思ったら……何としてでもこの村を旅足せなくてはならいと思った。そのせいで昨日は辛く当たり過ぎてしまった。その事を許してほしい」
「許すよ、許すに決まってるよ!村長。いや、お爺ちゃん!!僕こそ昨日はごめん。全然お爺ちゃんの気持ちを考えられていなかった!」
ルイスにとって村長は祖父にあたる。今まで村長の仕事がある時は、村人の前では村長と言わせていた。
ルイスはお爺ちゃんと叫んだ。つまり、今は村長に対してではなく1人の家族として接しあっている証拠だった。
「僕もお爺ちゃんから離れたくない!ただ僕がこの村にいたら迷惑が掛かるのはわかってるんだよ。それでも、それでも離れたくない!」
「ワシもじゃ、ルイス!」
お互いの気持ちが高ぶり厚い抱擁を交わす二人。時間にしては一瞬だが、お互いの気持ちを通じることができた。
「行ってくるよ、お爺ちゃん」
「……ルイスも達者でのう」
「うん、お爺ちゃんこそ体調に気を付けてね」
「当り前じゃ、お主が帰ってきたときにワシがいなくてどないする」
いよいよ旅たちの時である。最後にルイスは声高と叫ぶ。
「今まで本当にありがとうございました!絶対にお土産を持って帰ってくるから!」
「たんと良い土産を期待しておくわ。だから絶対に帰ってくるのじゃぞ!」
そのままルイスは前を向き、歩き始める。絶対に村に帰ってくると決意して。
*
歩き始めて数時間が経ち、昼食を取るために休憩をしていた時である。
(そういえば自分のステータスを見てなかったよな)
ふと、ルイスは強さに興味が湧いてくる。思春期真っ最中であるルイスは、自分がおとぎ話に出てくるような英雄を妄想してしまうお年頃である。興味が湧いてしまったら我慢をすることはできない。
ステータスを見るために、合言葉を口ずさむ。
「ステータス・オープン」
=== * ===
名前:ルイス・キンバリー
年齢:12歳
Lv:4
HP:25
MP:54
ATK:12
INT:19
DFE:7
RES:23
DEX:12
AGI:14
LUK:0
スキル:『農業:Lv3』…農業に関する技術が向上する。『無属性魔術:Lv1』…無属性の魔力を扱うことができる
ユニークスキル:『無の勇者:Lv1』…無属性魔術の消費MPを10%減・INT10%増加
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