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魔物ハンターとサキュバス

藤堂(とうどう) 詩衣里(しえり) 身長169㎝ B79 W54 H76 Cカップ ③

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 振り返らずに走り去る雫さんを見て、私はホッとする。
 年上の人にあれだけ激しい言葉遣いをしたのは初めてかもしれない。
 でも、安心する私がいる。なぜだか、私は雫さんのことが少し……好きになっているみたいだ。

「やってくれたわね。何? メリナの催眠も聞かなかったって言うの?」
「うぅぅ、ぐっ!?」

 鳴り響くチャイムの音が頭の中で半鐘する。頭が割れるように痛い。
 それもそのはず逆らってはいけない命令に逆らってしまった。
 本来ならそれも許されないのになぜか今だけ逆らうことができたからだ。
 その代償は重く……私は崩れるようにその場に倒れた。
 その倒れた私に紗枝は首輪をつけた。
 
「来なさい。現実を見せてあげるわ」

 リードを引っ張りながら引きずられる。
 這いずるように動きながらたどり着いたのは体育館だった。
 
 私の知る限り、ここではインキュバスたちを足止めするために多数の生徒がいたはずだ。
 その人たちはもうインキュバスの手に落ちているのは想像できた。
 だけど……。

「学園長……」
「あっ、うっ、きゃんっ! いいですっ! もっと! もっと奥をお願いします!!」
「はは、いいメス豚だ!!」
「ひゃいいいいん!!」

 インキュバスの肉棒に群がる学園長が体育館のど真ん中で嬌声をあげていた。
 ずぼずぼと自身の身体で奉仕し、理性的なイメージはなく、だらしない顔をしている。
 
 インキュバスの体も女性の体にちんこが生えているような蠱惑的な体をしているが、完全にそちらも理性が跳んでいるように見える。
 これが……インキュバス。犠牲になるのが私でよかったわ。
 こんなのが美羽の体に群がると思うと吐き気がする。
 そう、思って目線をそらした先には……

「………………」
「くぅ! このサキュバスの体はいいな!」
「ああ! こんな上等なものは初めてだ!」
「壊すなよ? いや、壊してもいい。どれだけ耐えるのか気になってきた」
「了解! ムルト」

 そこにはうつろな目をして全裸で慰み者になっているメリナ様がいた。
 身体を一切動かすことなく、死んでいるのではないかと思えるほどに生気はなかった。

「ええ、この学園は全部。ムルト様のものになったわ」

 肉棒を慰めるメリナ様はただの性欲処理人形にしか見えない。
 私はただその光景を眺めるだけしかできない。そう、私にできることはもうない。
 
 ムルトが私たちに気付いてカツッカツッと歩く音を立てながら歩いてきた。
 
「さあ、君も僕の手ごまになるといい」

 頭を鷲掴みにされる。
 強く握りしめるのではなく、触れられる程度だけどそこから無数の情報が頭の中に流れ込んできて私の脳を上書きする。
 苦しみはない。痛みもない。ただ、何かが変わるという恐怖があるだけだった。
 ムルトに……ムルト様に忠誠をとどんどん変わっていく。
 
 その中で、心の中で、頭の中で最期まで残っている者がありました。

(雫……あとは任せるわ)  

 もう、抵抗するだけの力は私には残っていない。
 これから先、ムルト様にどんな風にしつけられるのかが楽しみになっている。
 
 だから、雫に任せることにして……私はムルト様に忠誠を誓った。
 
 
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