【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)

高瀬ユキカズ

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もりもりさんの結婚

第448話 結婚式前編

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 もりもりさんが静かに名前を告げようとした時。

「私の名前はミラ――」

 お兄ちゃんがやって来て、もりもりさんを抱きしめた。

「おめでとう、ついにやったな」

 固い抱擁。ぎゅっと力を込めたあと、体を離してお兄ちゃんはもりもりさんの名前を口にしようとした。

「あのフレイムドラゴン・ロードを倒せるとはな。さすがミラ――んぐ、むぐ……」

 もりもりさんによって口を塞がれる。

「名前は私が」

「んぐ……い……いき……が……いきが……でき……な…………い……」

 もりもりさんの手の下で、お兄ちゃんは苦しそうに呻きながら、顔を真っ青にしていた。

 湊ちゃんと春日井君が近寄ってきて、もりもりさんに祝福の言葉を述べる。

「おめでとうございます。もりもりさん」
「もりもりさん、さすがです。おめでとうございます」

 もりもりさんはお兄ちゃんの口を塞いだまま、2人に頭を下げた。

「ありがとうございます。南波さん、春日井さん。みなさんのおかげです」

 コメント欄は視聴者からの祝辞にあふれている。

■おめでとう! もりもりさん!
■もりもりさん! さすがです! 結婚おめでとう! 
■ワールドランク1位を狙えるぞ。さすがの強さ。
■当然だ。もりもりさんは最強だ!
■もりもりさん! もりもりさん! もりもりさん! ビバ・もりもりさん!
■あのフレイムドラゴン・ロードを倒すなんて。完全にハルナっちを超えていました!
■おめでとうございます!
■必ず倒せると信じていました!!
■かっこよかったです。惚れました。
■まさに芸術
■この国の至宝です。あ、アメリカ人か……
■国籍なんて関係ないよ。まさに憧れの人となりました。これからも応援していきます。
■正統派のハンターだよな。おそらく世界で一番強い。
■誰もが納得の実力を兼ね備えています。おまけに美しい。
■ドラゴン討伐 (≧∇≦)b おめでとう
■♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥
■もりもりさん、最高~~!!

「視聴者のみなさんのおかげでもあります。応援ありがとうございました」

 もりもりさんは深く頭を下げ、顔を上げた。ドローンが近づいてきて、もりもりさんの顔をアップで映し出した。

 見惚れるほどに美しいもりもりさんは、女性の私からしても憧れてしまう美貌だ。黄金の鎧を着ていて、その鎧の胸元には金色の髪が垂れている。鎧の光沢とは異なり、透明感のある温かみのある輝きをしていた。

 激しい戦闘だったため、もりもりさんの肌は砂にまみれていた。だが、それでも逆に白さが際立っていて美しい。薄いブルーの瞳は宝石のような輝きで、引き込まれてしまいそうになる。顔を間近で見ると、すべてを忘れて見入ってしまう。ため息とともに、いつまでも見ていたいと思わせられる。

■美しい……
■まじまじとアップで見たの、初めてかも……
■これぞ、ご尊顔というやつか……
■ハルナっちのファンが乗り換えるな
■もりもりさんのチャンネルはないの?
■配信したら、絶対に人気が出るのに
■世界一美しいハンター
■ずっと見ていたい。
■こんなお顔だったのですね。戦っている時はわかりませんでした。
■女性の私でも結婚してほしい
■そうか、結婚してしまうのか……
■ああ、知らなければよかった。こんなに美しい女性がこの世に存在することを……

「それでは――」

 もりもりさんは「こほん」と、可愛らしく咳払いをする。

「みなさん! 結婚式をしますよ! 冬夜さんと!」

 美人のもりもりさんが茶目っ気のある口調で視聴者に告げた。
 口を押さえられていたお兄ちゃんはやっと解放され、ぶはーと息をした。お兄ちゃんはずっと呼吸を止められてしまっていた。

■その前に人工呼吸を
■筑紫冬夜が窒息死するところだった。
■酸素を供給してあげて。口から口へ。
■いや、誓いのキスの前にそれはまずい
■なら、ハルナっちの出番だ。兄ちゃんに酸素を。
■早く酸素を注入するんだ、ハルナっち。

 私はコメントに反応して呟く。

「……さすがにこんなことじゃ死なないでしょ。お兄ちゃんは、ワールドランク上位のハンターなんだから……」

 もりもりさんとお兄ちゃんは早くも式を挙げる場所を探している。この空間の中央付近で行うようだ。お兄ちゃんは腰に手を当て、もりもりさんは腕を絡ませていた。腕を組んで歩く2人は幸せの絶頂にいる。

 結婚式をするといっても、リハーサルもなければ打ち合わせもなかった。バージンロードもないし、教会の施設もない。

 私たちと視聴者を立会人とし、結婚を宣言するだけのようだ。

■結婚しちゃうのかあ
■ああ、もりもりさん。もっと出会うのが早かったなら……。俺にもチャンスがあったのだろうか……。
■ねえよ……
■ご結婚、おめでとうございます!
■おめでとう~
■ウェディングドレスが欲しかったな
■ドレス姿のもりもりさんが見たかった
■ダンジョンハンターだから、鎧でもいいけれど。
■でも、少し味気ないかも? なにかないのかな?

「ドレスの代わりに、このローブはどうでしょうか?」

 湊ちゃんは、自分が装備していたサジタリウス・ローブをもりもりさんの肩にかけた。通常状態では真っ白なこのローブだが、エンチャントを発動させている今は布の表面に虹色のエフェクトが流れている。

 マントのように羽織ったローブは7色が上から下へと変化していた。デジタル的な流れではあるが、戦闘中よりもこういったシーンには合っている。

「ありがとうございます。いいですね。気に入りました」

 もりもりさんは体をくねらせながら、ローブの様子を確かめていた。

 口を押さえられていたお兄ちゃんも、すっかり酸素を取り戻している。

「俺はこのままでいいよな? タキシードなんて持ってきていないし」

 お兄ちゃんが着ているのはシルバーのどこにでもある鎧だ。一般的な冒険者が装備している普通の鎧なのだが、特別なこの場では物足りない。

「ねえ、お兄ちゃん。私のアストラル装備一式はどうかな? これもエンチャントされているよ」

「春菜の?」

 まあとりあえず試してみるか、とお兄ちゃんは私の装備を身に着けた。アストラルの装備のエンチャントには2種類の発光方式がある。

「全身が真っ白になるホワイトモード。真っ黒になるブラックモード。どちらも、お兄ちゃんのお好みで」

 お兄ちゃんはエンチャントを発動させた。鎧全体が白く輝く。

「お、意外といいかもな。白か黒か、選べるわけだ」

 お兄ちゃんはホワイトモードとブラックモードの両方を試し、白を選択した。ブラックモードも悪くないのだが、ダンジョンが薄暗いため沈んで見えてしまったからだ。

(結婚式後編へ続く)
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