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ルルカの手料理は美味い。
特にディアが手伝うようになってからさらに手間暇を掛けられるようになったらしく、その美味しさに磨きがかかっている。
ただ、そんな美味い料理でも3人からジッと見られながらでは何とも食べ辛い。
「…………王都のパンでも食べるか?」
「うむ。頂こう」
なぜか偉そうに言うディアだが、その手は既にこちらに差し出されている。
「ロザリナも」
「頂きます」
「ルル…………」
「私は結構です」
「まだあるから遠慮する必要はないぞ」
「い・り・ま・せ・ん」
「お、おう…………」
なぜか迫力満点に断られた。
「それで冒険者ギルドでのツトムさんの悪い噂というのは?」
「聞こえていたのか。いや、別に悪い噂と決まったわけではないのだが」
「どうなの? ロザリナ」
これまたなぜか俺の発言を無視して勝手に話が進んでいく。
俺は君達のご主人様のはずなんだが…………
「そのような悪い噂など聞いたことがありません。
ありませんが…………私も毎日ギルドに通ってるわけではありませんので何とも…………」
ロザリナがギルドで指導するのは数日置き、武闘大会の時には休んだようにあくまでこちらの都合を優先させている。
ギルドから給料や報酬が出てるわけではないので、それに伴う責任も発生しないのは当然のことだ。
「ただ、私が指導している子達に限れば、そのようなことはないと断言できます。
指導するたびにツトム様の凄さと偉大さを言い聞かせておりますので」
「んん?」「え?」「モグモグ…………」
冒険者達の俺に対する妙な態度は、ひょっとしてロザリナが俺のことを過度に持ち上げてるせいなんじゃ…………
「ロザリナ、他の冒険者に俺のことを言う必要はないからな。
その…………ほら、指導受ける側もロザリナから剣を教わりたいのであって、俺のことを聞きたいわけではないだろうし」
はっきりと噂になってるのはオマエのせいだ! とは言えなかった。
ロザリナに悪気がないことはわかっているし。
「皆熱心に聞いてくれますよ。
何と言ってもツトム様は壁外ギルドのトップですし、この国随一の魔術士なのですから。
続きを聞きたいと希望する子もいるぐらいです」
それはロザリナが俺のことを熱心に語るから続きが気になってるだけなんじゃ…………
もはや卵が先か鶏が先か、みたいな感じになってしまっているぞ。
「ロザリナはツトムさんのことをそんなに持ち上げてどうしたいの?」
そこは俺も気になるな。
パンを食べ終わって物欲しそうにこちらを見るディアと視線を合わせる。
夕食後のはずなんだがまだ食べるの?
「それはもちろんツトム様の覇道をお手伝いしたいと思いまして」
「「は、覇道っ?!」」「…………♪」
驚き過ぎて思わず、いつの間にやらそっと差し出されていたディアの手に2個目の王都のパンを置いてしまったヨ!
「ロ、ロザリナ。俺は覇道を歩むつもりなんて毛頭ないぞ」
俺が歩みたい道は、年上美女達とのイチャイチャラブラブハーレム道だ。
極稀に俺の中の血が騒ぐことがあるにはあるが、覇道なんてモノとは無縁のはずなのだ。
大体その覇道の手伝いというのが、若手冒険者に俺のことを喧伝することだなんて、やってることが地味過ぎるだろう!
まぁそういった地道な活動というのは大事なのかもしれないけどさ。
「しかしツトム様が目指しているのは魔道を極めることだと、以前に仰っていました」
「それは私も聞いたわね」「モグモグ…………」
確かに随分と前にテキトーにそんなことを言ったような気もするが…………
「極めた魔道で何ができるのか見定めたい、とも仰っていました。
これまでのツトム様の凄まじい戦果と併せて考えるに、私はそれを覇道を歩まれることだと推察しました」
なぜそうなる?!
ロザリナの言う『覇道』が具体的に何を指すのかよくわからないが…………
これが魔術士の頂点を極める的なことであるなら、そんな思いもあることは事実なのでそれほど的外れなことではない。
しかし『覇道』と聞いて一般的に思うことは、国そのものをどうにかしようとする血生臭い印象だよな。
まして俺は姫様に仕えている。
今はまだ壁外ギルドの一部に留まっているが、この噂が広がって軍務卿の耳にでも入ったらかなりマズイ事態にならないか?
国王派に姫様討伐の絶好の口実を与えてしまうかもしれない。
ここは大事になる前に何とかロザリナの考えを修正しないと…………
「い、いいか、ロザリナ」
「はい」
「魔道を極めることは一朝一夕で叶うことではない。
生涯を懸けても尚辿り着けないかもしれない、まさに神々の領域を目指す行いなんだ。
わかるか?」
「申し訳ありません。私にはとても…………」
「(またおかしなことを言い始めたわね)」
「モグモグ…………」
自分でも何を言ってるのかわからないが!
「ロザリナも自分に置き換えて考えてみるといい。
その手に握る一振りの剣を極めて神域を目指す果てしなき修練の道程を」
「…………ハッ?!」
「そんなことは不可能だ。と、人は言うだろう。
それは愚かなことだ。と、人に笑われるかもしれない。
だがしかしっ! そこを目指して一歩を踏み出さなければ永遠に辿り着けはしないのだ。
わかるか?」
「はい!」
「(えっ?! 今のでわかったの??)」
「モグモグ…………」
「なら、そのような困難な道を歩む者のことを軽々に他人に話すべきではない。
ロザリナならもう理解しているな?」
「はい。私が間違っておりました」
「(ロザリナも相変わらずねぇ)」
「…………」
「うん。わかってくれたならそれでいい」
何とかなったか!!
そしてディア! 無言でまた手を差し出してくるんじゃない! 3個目は出さないからな!
特にディアが手伝うようになってからさらに手間暇を掛けられるようになったらしく、その美味しさに磨きがかかっている。
ただ、そんな美味い料理でも3人からジッと見られながらでは何とも食べ辛い。
「…………王都のパンでも食べるか?」
「うむ。頂こう」
なぜか偉そうに言うディアだが、その手は既にこちらに差し出されている。
「ロザリナも」
「頂きます」
「ルル…………」
「私は結構です」
「まだあるから遠慮する必要はないぞ」
「い・り・ま・せ・ん」
「お、おう…………」
なぜか迫力満点に断られた。
「それで冒険者ギルドでのツトムさんの悪い噂というのは?」
「聞こえていたのか。いや、別に悪い噂と決まったわけではないのだが」
「どうなの? ロザリナ」
これまたなぜか俺の発言を無視して勝手に話が進んでいく。
俺は君達のご主人様のはずなんだが…………
「そのような悪い噂など聞いたことがありません。
ありませんが…………私も毎日ギルドに通ってるわけではありませんので何とも…………」
ロザリナがギルドで指導するのは数日置き、武闘大会の時には休んだようにあくまでこちらの都合を優先させている。
ギルドから給料や報酬が出てるわけではないので、それに伴う責任も発生しないのは当然のことだ。
「ただ、私が指導している子達に限れば、そのようなことはないと断言できます。
指導するたびにツトム様の凄さと偉大さを言い聞かせておりますので」
「んん?」「え?」「モグモグ…………」
冒険者達の俺に対する妙な態度は、ひょっとしてロザリナが俺のことを過度に持ち上げてるせいなんじゃ…………
「ロザリナ、他の冒険者に俺のことを言う必要はないからな。
その…………ほら、指導受ける側もロザリナから剣を教わりたいのであって、俺のことを聞きたいわけではないだろうし」
はっきりと噂になってるのはオマエのせいだ! とは言えなかった。
ロザリナに悪気がないことはわかっているし。
「皆熱心に聞いてくれますよ。
何と言ってもツトム様は壁外ギルドのトップですし、この国随一の魔術士なのですから。
続きを聞きたいと希望する子もいるぐらいです」
それはロザリナが俺のことを熱心に語るから続きが気になってるだけなんじゃ…………
もはや卵が先か鶏が先か、みたいな感じになってしまっているぞ。
「ロザリナはツトムさんのことをそんなに持ち上げてどうしたいの?」
そこは俺も気になるな。
パンを食べ終わって物欲しそうにこちらを見るディアと視線を合わせる。
夕食後のはずなんだがまだ食べるの?
「それはもちろんツトム様の覇道をお手伝いしたいと思いまして」
「「は、覇道っ?!」」「…………♪」
驚き過ぎて思わず、いつの間にやらそっと差し出されていたディアの手に2個目の王都のパンを置いてしまったヨ!
「ロ、ロザリナ。俺は覇道を歩むつもりなんて毛頭ないぞ」
俺が歩みたい道は、年上美女達とのイチャイチャラブラブハーレム道だ。
極稀に俺の中の血が騒ぐことがあるにはあるが、覇道なんてモノとは無縁のはずなのだ。
大体その覇道の手伝いというのが、若手冒険者に俺のことを喧伝することだなんて、やってることが地味過ぎるだろう!
まぁそういった地道な活動というのは大事なのかもしれないけどさ。
「しかしツトム様が目指しているのは魔道を極めることだと、以前に仰っていました」
「それは私も聞いたわね」「モグモグ…………」
確かに随分と前にテキトーにそんなことを言ったような気もするが…………
「極めた魔道で何ができるのか見定めたい、とも仰っていました。
これまでのツトム様の凄まじい戦果と併せて考えるに、私はそれを覇道を歩まれることだと推察しました」
なぜそうなる?!
ロザリナの言う『覇道』が具体的に何を指すのかよくわからないが…………
これが魔術士の頂点を極める的なことであるなら、そんな思いもあることは事実なのでそれほど的外れなことではない。
しかし『覇道』と聞いて一般的に思うことは、国そのものをどうにかしようとする血生臭い印象だよな。
まして俺は姫様に仕えている。
今はまだ壁外ギルドの一部に留まっているが、この噂が広がって軍務卿の耳にでも入ったらかなりマズイ事態にならないか?
国王派に姫様討伐の絶好の口実を与えてしまうかもしれない。
ここは大事になる前に何とかロザリナの考えを修正しないと…………
「い、いいか、ロザリナ」
「はい」
「魔道を極めることは一朝一夕で叶うことではない。
生涯を懸けても尚辿り着けないかもしれない、まさに神々の領域を目指す行いなんだ。
わかるか?」
「申し訳ありません。私にはとても…………」
「(またおかしなことを言い始めたわね)」
「モグモグ…………」
自分でも何を言ってるのかわからないが!
「ロザリナも自分に置き換えて考えてみるといい。
その手に握る一振りの剣を極めて神域を目指す果てしなき修練の道程を」
「…………ハッ?!」
「そんなことは不可能だ。と、人は言うだろう。
それは愚かなことだ。と、人に笑われるかもしれない。
だがしかしっ! そこを目指して一歩を踏み出さなければ永遠に辿り着けはしないのだ。
わかるか?」
「はい!」
「(えっ?! 今のでわかったの??)」
「モグモグ…………」
「なら、そのような困難な道を歩む者のことを軽々に他人に話すべきではない。
ロザリナならもう理解しているな?」
「はい。私が間違っておりました」
「(ロザリナも相変わらずねぇ)」
「…………」
「うん。わかってくれたならそれでいい」
何とかなったか!!
そしてディア! 無言でまた手を差し出してくるんじゃない! 3個目は出さないからな!
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