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第二章
25話 実力は五分
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井龍孝臣。
すべてにおいてバランスの優れたオールラウンダー。とくにバックハンドから織り成されるドライブショットは、彼の正確なコントロールによって、相手のシングルスサイドラインを攻める。オンラインのボールは大きく外に跳ね、それを拾うことは容易ではない。
『鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス』──攻めて攻めて攻めまくる、この男のテニスに防御はない。完膚なきまでに相手を叩きのめすのが、血の滲むような努力と研鑽を積んだ井龍のテニスなのである。
「正直なところ」
と、倉持が顔を歪めた。
「アイツに勝てるのは大神しかいねえんじゃねえかと思っちまうよ。あんなテニスされたら──」
「だろうな。見たところ如月にだって負けてねえだろうぜ」
蜂谷、と大神が声を張る。
少し上の観客席でノートをとっていた蜂谷が、ゆっくりと席を立つ。となりで観戦していた愛織も、つられてやってきた。
「どう見る」
「どうもこうも──井龍ってホントに同い年なのか? なんだよあの貫禄」
「まあ老けてるが、俺が言ってんのは顔じゃねえ。テニスだ」
「顔が老けてるとは言ってないだろ。オーラがすごいってことだよ。打球の重さと速さが、如月さんにそっくりだ」
といって蜂谷が目を細める。
愛織はコホコホ、と咳き込んでからちいさく微笑んだ。
「井龍くんは千秋を目標に、ずっと練習してきたみたいやから」
「そうらしいな。フォームやら打点やら、何から何まで如月千秋と似てる」
大神がつぶやく。
となりに立つ天城が試合から大神へと視線を移した。
「お、大神さん勝てますよねっ?」
「負ける気はねえが──実力は五分だろうな」
「なんや珍しいやん、大神が自信ないなんて」
「ないわけじゃねーよ。ただ、負けられねえのは向こうも同じ。どちらがどれだけ力を出しきれるかで勝負は決まる。つまり、やってみなきゃ分からねえってことだ」
一同は沈黙した。
いつでも『勝ち』を見据え、どんな相手にも勝てるという確信を持っている大神。しかし彼は根拠もなくそう説いているわけではない。彼のなかで、勝ちを確信するだけの根拠がなければ、今のように自信を濁す。
倉持は唇を噛みしめる。
(つまり、井龍に勝てるだけの確固たる根拠が、大神にはまだない──)
才徳レギュラー陣が重苦しい沈黙を漂わせるなか、唐突に愛織が
「伊織とは試合してへんの?」
と問うた。
ああ、と大神がぶっきらぼうに返す。
「そのくせ、青峰のS2とはやりやがった」
「えっ。──シングルス?」
「ああ」
「そう、……そうなんや」
「つーかなんであんなに試合嫌がるんスか、伊織さんって」
と、明前が背を反って愛織に問いかけた。
しかし彼女は複雑な表情を浮かべるばかりで、しばしのあいだ口ごもる。大神がちらと愛織を睨み付けた。
「如月となにか関係があんのかよ」
「千秋──千秋もあるやろね、少なからず。でも、たぶん一番の原因はうちなんやろな」
「あ?」
「伊織、シングルスのスランプやねん。今だけやのうてもうずっとやけど──」
「スランプ?」
「どうしてもシングルスとしてコートに立つと、身体がうまく動かんようになるねんて」
と、愛織がうつむく。
杉山は眉を下げた。
「それが、なんで自分のせいになんねん。その原因に心当たりでもあるんか」
「…………うーん」
と、彼女は困ったようにわらった。おそらく心当たりはあるのだろうが、言葉にするのは難しいらしい。
ただひとつ言えるんは、と愛織はつづけた。
「あの子ああ見えてけっこう寂しがり屋なんよ。せやから──才徳のみんなが伊織の居場所になってくれはったら、こない嬉しいことないなって」
「いやそら、もう仲間でんがな。なによりアイツもワイらのこと大好きやもん。なあ」杉山が天城を見る。
「そうですよ。その青峰のS2だって、杉山先輩の敵討ちみたいなものですから!」天城はにっこりわらった。
「そうなんや──ほんならホンマに、伊織んことよろしゅうに」
「嫁に出すお母さんみたいな物言いやな」
「似たような心境やわ」
愛織はすこし寂しそうにわらった。
そういえば、と蜂谷がノートから顔を上げる。
「七浦さんは転入したてだから、今年のセンバツは出ないとして──来年の関東ジュニアは出るんだろ。応援行くよ」
「どうやろ、もしかしたら出えへんかも」
「え。姉妹でダブルス出たらいいじゃない」
「うん、伊織に聞いてみよか」
といって愛織はくしゅん、とクシャミをひとつ。それを見た大神が、自分のブレザーを愛織の肩にかけて椅子に座らせる。
「見たところ、この三戦で決着がつきそうだ。終わるまでそこで大人しく座ってろ」
「優しいなぁ大神くん。……」
「アメリカじゃレディーファーストを徹底しねーと人権が危うかったからな。ただの習慣だ」
「ふ、千秋とは大違いね。伊織がなつくわけや」
「大神の場合は半分くらい餌付けも入ってるだろうけどな」
「あはは!」
茶目っ気たっぷりに言う倉持のことばに、愛織はめずらしく弾けるようにわらった。
その後。
大神の目算どおり、桜爛大附対愛染学園の三試合は、桜爛大附の選手たちの勝利で終わった。試合時間は平均三十分。都大会決勝戦にしてはひじょうに短い時間であり、愛染学園は桜爛相手にまるで歯が立たず、まるで赤子の手をひねるような試合展開であった。
「ほな、そろそろ戻ります。ブレザーおおきに」
「ああ。──七浦」
「うん?」
「また試合やろうぜ」
「……あはっ! うん是非、またよろしゅう」
愛織は丁寧にレギュラー全員にお辞儀をし、小走りで桜爛の陣へと戻っていった。
「ホント、双子でも中身はまったく違うな」倉持は肩をすくめる。
「おもろいよなぁ。いやしかし今日の試合はえらい見応えあったわ」杉山は伸びをした。
「さすが桜爛って試合だったね。けっこうノートもとれたし」蜂谷は満足げにわらう。
大神はすこしだけ遠くを見つめるような目をして、やがてコートに背を向けた。
「行くぞ」
「えっ、あ。おい大神っ。行くって──帰んのかよ!」
と、姫川が立ち上がる。
「……いや。無性にギョーザが食いたくなった」
大神はブレザーを片手に歩き出した。
すべてにおいてバランスの優れたオールラウンダー。とくにバックハンドから織り成されるドライブショットは、彼の正確なコントロールによって、相手のシングルスサイドラインを攻める。オンラインのボールは大きく外に跳ね、それを拾うことは容易ではない。
『鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス』──攻めて攻めて攻めまくる、この男のテニスに防御はない。完膚なきまでに相手を叩きのめすのが、血の滲むような努力と研鑽を積んだ井龍のテニスなのである。
「正直なところ」
と、倉持が顔を歪めた。
「アイツに勝てるのは大神しかいねえんじゃねえかと思っちまうよ。あんなテニスされたら──」
「だろうな。見たところ如月にだって負けてねえだろうぜ」
蜂谷、と大神が声を張る。
少し上の観客席でノートをとっていた蜂谷が、ゆっくりと席を立つ。となりで観戦していた愛織も、つられてやってきた。
「どう見る」
「どうもこうも──井龍ってホントに同い年なのか? なんだよあの貫禄」
「まあ老けてるが、俺が言ってんのは顔じゃねえ。テニスだ」
「顔が老けてるとは言ってないだろ。オーラがすごいってことだよ。打球の重さと速さが、如月さんにそっくりだ」
といって蜂谷が目を細める。
愛織はコホコホ、と咳き込んでからちいさく微笑んだ。
「井龍くんは千秋を目標に、ずっと練習してきたみたいやから」
「そうらしいな。フォームやら打点やら、何から何まで如月千秋と似てる」
大神がつぶやく。
となりに立つ天城が試合から大神へと視線を移した。
「お、大神さん勝てますよねっ?」
「負ける気はねえが──実力は五分だろうな」
「なんや珍しいやん、大神が自信ないなんて」
「ないわけじゃねーよ。ただ、負けられねえのは向こうも同じ。どちらがどれだけ力を出しきれるかで勝負は決まる。つまり、やってみなきゃ分からねえってことだ」
一同は沈黙した。
いつでも『勝ち』を見据え、どんな相手にも勝てるという確信を持っている大神。しかし彼は根拠もなくそう説いているわけではない。彼のなかで、勝ちを確信するだけの根拠がなければ、今のように自信を濁す。
倉持は唇を噛みしめる。
(つまり、井龍に勝てるだけの確固たる根拠が、大神にはまだない──)
才徳レギュラー陣が重苦しい沈黙を漂わせるなか、唐突に愛織が
「伊織とは試合してへんの?」
と問うた。
ああ、と大神がぶっきらぼうに返す。
「そのくせ、青峰のS2とはやりやがった」
「えっ。──シングルス?」
「ああ」
「そう、……そうなんや」
「つーかなんであんなに試合嫌がるんスか、伊織さんって」
と、明前が背を反って愛織に問いかけた。
しかし彼女は複雑な表情を浮かべるばかりで、しばしのあいだ口ごもる。大神がちらと愛織を睨み付けた。
「如月となにか関係があんのかよ」
「千秋──千秋もあるやろね、少なからず。でも、たぶん一番の原因はうちなんやろな」
「あ?」
「伊織、シングルスのスランプやねん。今だけやのうてもうずっとやけど──」
「スランプ?」
「どうしてもシングルスとしてコートに立つと、身体がうまく動かんようになるねんて」
と、愛織がうつむく。
杉山は眉を下げた。
「それが、なんで自分のせいになんねん。その原因に心当たりでもあるんか」
「…………うーん」
と、彼女は困ったようにわらった。おそらく心当たりはあるのだろうが、言葉にするのは難しいらしい。
ただひとつ言えるんは、と愛織はつづけた。
「あの子ああ見えてけっこう寂しがり屋なんよ。せやから──才徳のみんなが伊織の居場所になってくれはったら、こない嬉しいことないなって」
「いやそら、もう仲間でんがな。なによりアイツもワイらのこと大好きやもん。なあ」杉山が天城を見る。
「そうですよ。その青峰のS2だって、杉山先輩の敵討ちみたいなものですから!」天城はにっこりわらった。
「そうなんや──ほんならホンマに、伊織んことよろしゅうに」
「嫁に出すお母さんみたいな物言いやな」
「似たような心境やわ」
愛織はすこし寂しそうにわらった。
そういえば、と蜂谷がノートから顔を上げる。
「七浦さんは転入したてだから、今年のセンバツは出ないとして──来年の関東ジュニアは出るんだろ。応援行くよ」
「どうやろ、もしかしたら出えへんかも」
「え。姉妹でダブルス出たらいいじゃない」
「うん、伊織に聞いてみよか」
といって愛織はくしゅん、とクシャミをひとつ。それを見た大神が、自分のブレザーを愛織の肩にかけて椅子に座らせる。
「見たところ、この三戦で決着がつきそうだ。終わるまでそこで大人しく座ってろ」
「優しいなぁ大神くん。……」
「アメリカじゃレディーファーストを徹底しねーと人権が危うかったからな。ただの習慣だ」
「ふ、千秋とは大違いね。伊織がなつくわけや」
「大神の場合は半分くらい餌付けも入ってるだろうけどな」
「あはは!」
茶目っ気たっぷりに言う倉持のことばに、愛織はめずらしく弾けるようにわらった。
その後。
大神の目算どおり、桜爛大附対愛染学園の三試合は、桜爛大附の選手たちの勝利で終わった。試合時間は平均三十分。都大会決勝戦にしてはひじょうに短い時間であり、愛染学園は桜爛相手にまるで歯が立たず、まるで赤子の手をひねるような試合展開であった。
「ほな、そろそろ戻ります。ブレザーおおきに」
「ああ。──七浦」
「うん?」
「また試合やろうぜ」
「……あはっ! うん是非、またよろしゅう」
愛織は丁寧にレギュラー全員にお辞儀をし、小走りで桜爛の陣へと戻っていった。
「ホント、双子でも中身はまったく違うな」倉持は肩をすくめる。
「おもろいよなぁ。いやしかし今日の試合はえらい見応えあったわ」杉山は伸びをした。
「さすが桜爛って試合だったね。けっこうノートもとれたし」蜂谷は満足げにわらう。
大神はすこしだけ遠くを見つめるような目をして、やがてコートに背を向けた。
「行くぞ」
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