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ふと、目を覚ますと、視界に自分のものとは違う髪の色が入ってきた。
白いシーツの上に広がるのは濃い蜂蜜を思わせる金と闇夜を思わせる漆黒の髪。
自分に寄り添うようにしている相手に目をやれば、伏せられた瞼に、髪と同じ金の長い睫、肌理の細かく美しい白い肌に、薄い唇。
まるで陶磁器人形の様に美しい顔がこちらを向いて、小さく寝息を立てていた。
気持ちよさそうに寝ている相手を眺めながら、今自分が置かれている状況を思い出そうとする。
・・・確か酔っ払いに絡まれてたところを助けたはず。
そのまま別れうようとしたら、後をつけられたら怖いから、と半ば強引に宿泊しているという宿に連れてこられたのだ。
そこまでは思い出すことが出来たが、何故自分まで同じベッドに寝ていたのかが思い出せない。
起こしてしまわないようにそっとベッドから抜け出す。カーテンの隙間から外を見ればまだ日は昇りきっておらず、街は未だ眠りに包まれていた。
ベッドの中で相手が身じろいだ気配に振り返れば、起きたわけではなく、寝返りをうっただけだったようだ。さらけ出された肩にそっと上掛けを掛けてやると、改めて自分の姿を確認する。
下はきちんと穿いているがシャツはほとんどのボタンが外され肌が露出していた。胸元だけではなく目につく所に散った赤い痕に思い切り顔を顰める。
なんでこんなことになったのか。よく覚えていないが(昨夜はだいぶ酒が入っていた)、自分からしたわけではないと思いたい。
思考がいまいちしっかりしないのは酒に酔ったときに似ているが、二日酔いとは違う気だるさがあった。もしかしたら薬でも盛られたのだろうか。
しかし、事後の痕跡は無く、あるのは自分の肌に散った赤い痕だけだった。
取り合えず、一線を越えてはいないのだけは確かだ、と自分に言い聞かせ、乱れた衣服を整えると、そのまま部屋を出ようとした。
「・・・ん」
ふと、相手が起きた気配を感じドアノブに手をかけたまま振り返る。
「お目覚めですか?お嬢さん」
「あ・・・」
起き上がった、相手の身体から上掛けが滑り落ち、上半身が朝の冷たい空気に晒された。
早朝の空気に晒された肌が粟立ち、肌を滑り落ちた上掛けを引き寄せるのを見ながら静かに続ける。
「お迎えを呼んでおきますので、それまでに出れるようにしていてくださいね?」
慇懃にさえ聞こえる声でそういうと、部屋を後にした。相手は何も言わない。
あるいは、何も言えないのか。
ただ、その部屋を去っていく自分の背中を見つめているのだけは感じた。
白いシーツの上に広がるのは濃い蜂蜜を思わせる金と闇夜を思わせる漆黒の髪。
自分に寄り添うようにしている相手に目をやれば、伏せられた瞼に、髪と同じ金の長い睫、肌理の細かく美しい白い肌に、薄い唇。
まるで陶磁器人形の様に美しい顔がこちらを向いて、小さく寝息を立てていた。
気持ちよさそうに寝ている相手を眺めながら、今自分が置かれている状況を思い出そうとする。
・・・確か酔っ払いに絡まれてたところを助けたはず。
そのまま別れうようとしたら、後をつけられたら怖いから、と半ば強引に宿泊しているという宿に連れてこられたのだ。
そこまでは思い出すことが出来たが、何故自分まで同じベッドに寝ていたのかが思い出せない。
起こしてしまわないようにそっとベッドから抜け出す。カーテンの隙間から外を見ればまだ日は昇りきっておらず、街は未だ眠りに包まれていた。
ベッドの中で相手が身じろいだ気配に振り返れば、起きたわけではなく、寝返りをうっただけだったようだ。さらけ出された肩にそっと上掛けを掛けてやると、改めて自分の姿を確認する。
下はきちんと穿いているがシャツはほとんどのボタンが外され肌が露出していた。胸元だけではなく目につく所に散った赤い痕に思い切り顔を顰める。
なんでこんなことになったのか。よく覚えていないが(昨夜はだいぶ酒が入っていた)、自分からしたわけではないと思いたい。
思考がいまいちしっかりしないのは酒に酔ったときに似ているが、二日酔いとは違う気だるさがあった。もしかしたら薬でも盛られたのだろうか。
しかし、事後の痕跡は無く、あるのは自分の肌に散った赤い痕だけだった。
取り合えず、一線を越えてはいないのだけは確かだ、と自分に言い聞かせ、乱れた衣服を整えると、そのまま部屋を出ようとした。
「・・・ん」
ふと、相手が起きた気配を感じドアノブに手をかけたまま振り返る。
「お目覚めですか?お嬢さん」
「あ・・・」
起き上がった、相手の身体から上掛けが滑り落ち、上半身が朝の冷たい空気に晒された。
早朝の空気に晒された肌が粟立ち、肌を滑り落ちた上掛けを引き寄せるのを見ながら静かに続ける。
「お迎えを呼んでおきますので、それまでに出れるようにしていてくださいね?」
慇懃にさえ聞こえる声でそういうと、部屋を後にした。相手は何も言わない。
あるいは、何も言えないのか。
ただ、その部屋を去っていく自分の背中を見つめているのだけは感じた。
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