Monologue-君に言えなかったコト-

エドガー

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来店

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不揃いなネオンの看板の森を抜け、鉄橋を一つ渡る。それまでの喧騒がすっかりと消えた暗い路地裏を右に左にと思うままに歩いた。そして何度目かの角を曲がった先にランプがひとつ灯っているのをみつけた。煤けた壁に曇りガラスが嵌められ、淡い光がなぜだか温かい気がする。その明かりに吸い込まれ木製のドアを開けた。

カランコロン

「・・・いらっしゃいませ。どうぞ奥のカウンター席へ。」

間接照明に浮かび上がる店内にはテーブルと椅子のセットが2組と5人分のカウンター席だけで壁には絵やポスターなんかの装飾もなくBGMも流れていない。そんな静かな店のカウンター奥にボーイの格好をした男性が立っていた。

「ご注文は何にされますか?」

言われた通りの席に着くと店員さんが声を掛けてきた。近くで見るその人は私よりも幾分か若い好青年で、恐らく20代前半くらいだろう店員は注文を聞いてきた。しかし目の前にはメニューらしきものがない。そもそもここが何のお店かも分からず入ってしまったので何があるかも検討がつかない。ここは定番のコーヒーあたりを頼めばいいのだろうか。

「お客様は当店は初めてでございますか?でしたら私の方から簡単にご説明させていただきますが。」

長く沈黙していたせいかその店員は優しい声でそう言った。その言葉に甘えて私がこくりと頷くと、彼は微笑んで言葉を続ける。

「ここは恋路に迷われたお客様のお声を聴くお店です。胸に秘めて伝えることのできない言葉を僭越ながら私が代聴し、それに見合う対価をこちらがお支払します。」

ゆっくりとそれでいてはっきりと話す彼の言葉が上手く理解できないのは私が悪いのだろうか。ここでは客が自分の色恋沙汰を話し、店側がそれに対して金品を支払うらしい。そんな店があるはず・・・

カランコロン

すると新しい客が来店した。入ってきたその客はまだ高校生のようで、この辺では見かけないセーラー服を着た少女だった。


「いらっしゃいませ。どうぞお掛け下さい。」
「あの・・・ここって。」
「大丈夫ですよ。あなたのお話お伺いいたします。」

ドアの前で立ち尽くしていた少女の言葉に重ねて店員は言う。それを聞いた少女は安心したようで私と椅子2つ離れたところで腰を下ろした。




ここは不思議なお店。

言いたくても言えなかった想い。伝えたくても勇気がなかった告白。想いすぎて歪んでしまった愛。そしてそれは表に出なければなかったことと同じになってしまう。身が焦がれるほどの慕情や嫉妬はあなたが知らなければ、海底に眠る宝石と同じ。

今宵もこの店に口にできなかった想いを、いやそれ以上にあなたを愛していたという証しを残すために人はそのドアを開ける。

Monologue

それがこの店の名前であり店内で繰り広げられる悲しい恋の話。

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