Monologue-君に言えなかったコト-

エドガー

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逆巻くユメ

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・・・夢を見る

まるで時が逆流するように朝日は沈み月が昇る。
朝凪は水平線の向こうに吸い込まれ、冷たい海風が吹く。
おはようと言うはずだった朝のプラットホームに影が差し、またねと別れた電車が戻ってくる。

あの人もそう・・・



「おはよう!」
「おはよ。」
「なんだよ、いつも暗い返事して。」

夢の中のカレ、青谷タケルはバングアップした髪を揺らして私の顔を覗き込む。彼にとって私は気心の知れた近所に住む幼馴染で妹みたいなものらしい。その妹が彼の覗き込む目から視線を逸らすとため息を一つ吐いてあからさまに不貞腐れた顔をする。

タケルにそんな顔をしてほしいワケじゃない。でもタケルへの想いに気付いてしまった自分には感情を抑えるだけで精一杯で。タケルの双眸から私の気持ちが伝わるのが怖くて。

近づきたいけど悟られたくない。そんなジレンマがタケルの表情に影を差す。



「なぁカオリ?」

タケルが小さな声で私の名前を呼ぶ。人目を気にして声を掛ける彼に、少しドキッとする自分を隠して首を傾げるとタケルが早口に言葉を続ける。

「お前はオレのことその・・・どう思ってるワケ?」
「え?」

タケルの方を見ると日に焼けた肌が見てわかるほど紅潮しているのがわかる。今度は私が彼の目を見つめると彼は不機嫌そうに視線を逸らす。

「私は・・・好きだよ。」

好きだ。ずっと好きだった。
幼馴染なんて関係に一度だって満足したことなんてない。
妹なんていう想われ方に嬉しく思ったことなんてない。
私はずっとタケルを一人の異性としてずっと好きだった。だから・・・

「私はタケルのことが好き。好きだよ・・・。」

言葉と一緒に想いが瞼から溢れだす。溢れたものはもう元には戻せない。涙も、言葉も、想いも。
タケルがきっと困っている。そう思っても止められないこの激情の渦は私を飲み込む。

その激流に彼が蜘蛛の糸を垂らす。

「オレも好きだ。お前がこんなにもオレのことを好きでいてくれて嬉しいよ。」


糸は一筋の光となって私を照らした。タケルと私の想いは一つだった。そんな夢のようなハッピーエンドを迎えて私の夢は醒める。

濡れた枕といつもの目覚まし時計の騒音が夢を泡に変える。
これはフィクション。叶わないと知っている私がつくるユメ。彼に届かない私の想いをせめて夢の中では・・・夢の中だけでも届けたい。






「おはよう!」
「おはよ。」
「なんだよ、いつも暗い返事して。」

デジャブにちょっとした期待を抱きながらも覗き込むタケルの瞳から目を逸らす。
でも分かってる。夢と決定的に違うこと。それは・・・私がタケルのことを好きだと言えないこと。タケルとの関係の一線を踏み越える勇気がないこと。何より戻れなくなるという恐怖が私とタケルの間に立ちはだかる。

私の夢はいつも希望の朝日が沈み、寂莫の月が灯る。
それは吐き出した心の底に押し込めた想いを巻き戻せる、なかったことにできる世界。

好きだと言えるのはあの世界だけ。
彼に触れられるのはこの世界だけ。

もどかしくも今日も彼のそばに・・・
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