異世界転生しましたが、魔王も復活してヤンデレ勇者も転生してきました

KOUAN

文字の大きさ
14 / 40
転生者と勇者

5

しおりを挟む



スリザスが説明した通り、アストルムの結界は竜の爪で溝を作っただけではなく、内側には文字のような刻印があった。この刻印が結界を持続させるための働きをしているとスリザスは説明する。


「ロズの魔法は私でもわからない事が多くて、教えて魔法が暴走する事が怖かったんだ。
でも、あの『アイスクリーム』は魔法で作ったんだよね?」


「……やっぱりバレてたんだね」


「私も出し惜しみみたいになってごめん。ロズが繊細なコントロールができると分かれば、魔法について教える事を避ける必要もないからね」


謝る必要はなかったが、スリザスは少しスッキリした様子で背を伸ばした。
少しするとエリオとカストラも集まり、溝の前にロズが立ち、その後ろで見守る形になった。


「ロズ、楽しそうだね。今まで兄さんが教えるの渋ってたけど、僕もロズの魔法見るの楽しみ!」


後ろでカストラと手を繋ぎ、エリオは見守っている。カストラは溝がならされた箇所を青ざめた表情で見ていた。


「私も教えられる事は少ないけどね、
結界に大切なのは施される対象にかける、『法則』と『規制』。
それを文字として刻むのが魔術のやり方だけど、上位の『魔法』が使えるロズなら創造性と大量の魔力で補えるから省略になる。
疲れたりしたら、徐々に魔力を大気に放出させれば中断もできるから、無理はしないように」


最後の無理はしないように、と言ったスリザスの表情は険しかった。子供を心配する母親のようで、ロズはくすりと笑ってしまう。


「わかったわ。でも私がかけるのは『法則』『規制』、それに『罰則』よ!!』


手をかざし、アストルムの施した溝に沿って魔力を流す。アイスクリームを作る過程で、魔力に少し温かみがあり、どの程度の力が必要なのかコントロール出来るようになっていた。
スリザスの少しの怒りと、心配を含んだ視線が痛いが、『罰則』はロズにとって重要な役割を担っていた。


溝が赤い光を放ち、アストルムの文字をなぞっていく。少しずつ均された箇所を繋ぐように、鎖状の刻印が地面に焦げ目をつけるようにジリジリと浮かび上がる。
『法則』上書き。
『規制』家主カストラとそれに関わる人物以外の規制。
『罰則』家主カストラに害を与える者への懲罰。懲罰内容、麻痺と一週間の昏睡。
カストラの為に付加効果もいくつかイメージし、鎖状の刻印にする。


「こんなものかな」


ロズが魔法を終えようとした瞬間、頭で声が反響する。


(あげる)
(ここを護る力)
(勇者嫌い、カストラ好き)
(気をつけて、ロズを守ってあげる)
(勇者は本当は)
(どうしよう?)
(どう護ろう)


まるで子供が集まって好き勝手に話すような声達だった。
声が遠くなり、ロズが魔法を止めると、地面からモコモコと土が盛り上がる。
生き物のように蠢くと卵状に固まり、ピタッと止ま った。


「何、今の声」


ロズが呆気にとられ卵状の塊に触れると、ピシリとヒビが入る。
スリザス達は警戒し、カストラを庇うように後退していた。
卵はパラパラと殻が破れ、中の物体が露わになる。


「むー」


「何これ……」


現れたのは土の人形だった。
口が無いのでどこから声のようなうめきをあげたかはわからない。


「これは『ゴーレム』じゃないですか!!」


スリザスがいち早く反応し、人形を観察する。
危険は無いようなのでロズは肩の力を抜き、座り込む。やはり、スリザスの言う通り大量の魔力を消費するようで、倦怠感で体の力が抜けてしまった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!

キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。 だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。 「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」 そこからいろいろな人に愛されていく。 作者のキムチ鍋です! 不定期で投稿していきます‼️ 19時投稿です‼️

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

無表情な黒豹騎士に懐かれたら、元の世界に戻れなくなった私の話を切実に聞いて欲しい!

カントリー
恋愛
「懐かれた時はネコちゃんみたいで可愛いなと思った時期がありました。」 でも懐かれたのは、獲物を狙う肉食獣そのものでした。by大空都子。 大空都子(おおぞら みやこ)。食べる事や料理をする事が大好きな小太した女子高校生。 今日も施設の仲間に料理を振るうため、買い出しに外を歩いていた所、暴走車両により交通事故に遭い異世界へ転移してしまう。 ダーク 「…美味そうだな…」ジュル… 都子「あっ…ありがとうございます!」 (えっ…作った料理の事だよね…) 元の世界に戻るまで、都子こと「ヨーグル・オオゾラ」はクモード城で料理人として働く事になるが… これは大空都子が黒豹騎士ダーク・スカイに懐かれ、最終的には逃げられなくなるお話。 小説の「異世界でお菓子屋さんを始めました!」から20年前の物語となります。

主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。 ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。 これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。 そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ! そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――? おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!? ※小説家になろう・カクヨムにも掲載

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

処理中です...