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魔族生活の薦め
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しおりを挟む魔王の城から竜の背中に乗って、十分程。
クラルスまで最短での到着となった。上空から見る街の全体は、壁にぐるりと囲まれ中心には大きな通りがある。通りの脇には露店が並び、買い物客で賑わっていた。
竜が降りられる場所は街の外壁の外で、街の反対側には外交の為に舗装された道が果てしなく続いていた。その先は丘になっていて、道は見えなくなってる、
「この先を進んでゆけばエバーティムに着くのかな」
スリザスとエリオは元気だろうか。ロズは懐かしさを感じる丘に二人を思い出す。緩やかな風がロズのスカートを揺らし、草の匂いが鼻を掠める。
「この先にはモンスレクス国へ繋がります。エバーティムはその先の山岳を超えたさらに先に位置するので、地上から向かうのは難しいですね……。竜達でもモンスレクスの山岳を越えるのは困難ですから、ここよりエバーティムへ行くのなら海を渡る方法が一般的です」
「てことは、私エバーティムからかなり離れた場所まで来ちゃったって事!?」
エモーショナルな気分が一転し、ロズはくるりと振り返る。
竜は城へ帰る為、既に飛び立っていたので二人だけが残った。
「ロズ様の場合は竜の里へ向かう際に、転移魔術が施されたポイントより移動されたので、実感は薄いのかもしれませんが、かなりの距離を移動しているかと……」
転移魔術で移動した実感がなかったロズは、自身が想像していた以上に目覚めた場所から離れていた。
それと同時に塁から離れられた事に安堵し、残ったスリザスとエリオの身を心配する。
「ロズ様、顔色が優れませんが大丈夫ですか?」
「大丈夫。エバーティムで出会った二人の事を思い出してたの。転生して、遠くの場所にきて、魔王にも会って。この世界の事を知らないのに色々あるなーと思って」
緩やかな風が凪いで、一瞬だけ時が止まったように感じる。
陽の光に照らされ、ノワの藤色の髪の隙間から深いエメラルドグリーンの瞳がキラキラと反射していた。
「ロズ様?」
「ノワには話してなかったよね?私がここに来る前の話……」
ノワと並んで歩きながら、ロズはこの世界に来てからを振り返る。
初めての魔法。
出会った二人。
魔術と精霊にゴーレム。
美しい竜の夫婦。
そして勇者に魔王。
ノワは静かに、時々頷きながらロズの話に耳を傾ける。
ロズが話し終わる頃には街の入り口に到着し、外壁に設けられた門には竜の頭蓋骨が、通る者を選別するように見下ろしていた。
「ロズ様、この先は魔族が暮らし、働いている街です。魔法が禁止なのは勿論ですが、ロズ様からすると、刺激が足りないかもしれません。
ですが……この街で生きる者達の暮らしを感じて頂ければ嬉しいです」
柔らかく微笑んだノワは、門番に懐中時計に刻まれた紋章を見せてロズを招いた。
「ようこそ、魔都クラルスへ」
上空からはわからなかった活気が広がり、様々な種族が往来する。
刺激が足りないかもと話したノワの言葉は覆り、ロズの胸は高鳴った。
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