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第一章 ボーイ・ミーツ・ツーディーガールズ
熱血スポ根小説と化したガガガ戦記。中編
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そんなこんなで始まった、野球対決。
相手先発は北の国代表のユキ、右の本格派だ。そしてキャッチャーは側近のレイ。その他、それぞれのポジションにつく守護者達は全員がなかなかの高ランクだ。
「なかなか手強そうだね。」
「そうね。」
いつもふわふわした思考の楽天家のカナさえ認めるその実力。実際代表のユキは唯一のSランクであるミミにも負けず劣らずの実力者である。正直勝てる気がしない。
「それじゃあ、一番バッターのチロ。よろしくね。」
「はい?」
いやいや、ちょいと待ってくだせい。何故にあっしが一番打者やねん、ほんまに。
「まあ、何となく?それに凄い一番バッターがいるでしょ、チローっていう。」
「違うんだよなぁ、惜しいけど。」
名前は似てるが実力は天と地の差、月とすっぽんだ。俺に先陣を切るのは荷が重すぎる。
「でも、もうメンバー交換しちゃったから変えられないよ。」
「ちくせう。」
「でも、チロは足速いし適任だと私は思うよ。」
確かにそれなりには速いが大した程でもない。女子と走って負けるなんて事は無いが、ガガガ戦記に登場するキャラ達はみんなとんでもない身体能力を持っている。
いや、でももしかして走力という点では俺の右に出るものはいないのでは?
卓球や腕相撲でカナと対戦したことがあったが、全く歯が立たなかった。しかしそれらは走力とは関係ない。
カナ曰く、俺は足が速い。そう!それは!つまり!俺は少なくともカナよりは足が速いという事であり、Aランクでもかなりの強さを誇るカナより足が速いということは、俺の走力はガガガ戦記内でも屈指の速さだと言うことだ!!
自分自身、何の取り柄もない最弱の側近だと思っていたが、ようやく自身のアイデンティティを見つけ、安堵と共に沸き上がる情熱を胸に意気揚々と打席に向かっていった。
「プレイボール!!」
審判のコールと共に試合が始まった。チロは息を飲む。
ピッチャーのユキがワインドアップで大きく振りかぶる。その際、胸が強調され胸部のたわわに実った果実が揺れる。これは素晴らしい。
いかんいかん、集中せねば。
「おりゃっ!」
ユキが第一球を投じる。その速球は一瞬でミットに収まり、初心者であるチロはボールを目で追えず、何が起こったのか分からなかった。
「……嘘だろ。」
バックスクリーンに表示された球速は、161km/hだった。
「速すぎやろ、反則やて。」
あまりの驚きに大阪にも兵庫にも行ったことがないのに関西弁が出てしまった。特に何も無くても偽関西弁をよく話すが。
これは流石に速すぎて正攻法では敵わない、だが策はある。
ユキが二球目を投じる。それに合わせてチロはバントの構え。
「どんなに速くてもバントなら何とかなる。」
バントで転がせば、恐らくチロの足ならセーフになることができる。……しかしながらチロは100マイルのボールの球威に負け、バットを吹き飛ばされ手の痺れに悶えながらうずくまった。
「イイッ↑タイ↓テガァァァ↑」
痛さに耐えれず転げ回るが、回りの冷めた視線に気付き立ち上がる。しにたい。
気付けば、ツーストライク、もう後がない。とりあえず当てて転がすしかない。
ツーストライクにもかかわらず、相手はど真ん中ストレート。完全に舐めプである。
しかし、チロのスイングは奇跡的にボールに当り、何かいい感じに転がっていって、なんやかんや、てんやわんやで、内野安打になりそうな雰囲気になった。
「内野安打……行けるっ!」
全速力で塁間を駆ける、時の流れが遅く感じる。先頭打者の出塁は得点効率になんたらかんたら、ここは絶対セーフになってやる。
だが、チロの足は普通に遅くアウトでした。
「ごめんなさい、チロって何か雰囲気で足速そうと思ってたけどそうでもないのね。」
「うぐっ!」
やめろ、やめてくれ。何か自分が全否定されている気分になる。
「いや、でもでもチロには他にも良いところがあるから大丈夫よ。」
「ありがとうございます。カナちゃんマジ天使。」
「うふふ、よし!じゃあ一緒に皆を応援しよう。」
カナの一言でチロは目を覚ます。何も背伸びなんてしなくていい、自分は自分ができる事を精一杯やればいい。そんな当たり前の事に気づかせてくれた、カナちゃんマジ心のオアシス。俺も自分ができる精一杯で皆を応援しよう。
「がんばれー」
「がんばれー」
「ファイトー」
「かっ飛ばせー」
何かが足りない気がする。そんな応援だ。
「思ったんだけど、それぞれの呼び名を考えたらどうだろうか。」
「呼び名?」
「まあ、カナは考えをそのまま伝えられるからいいけど、何か呼ぶときにお前とか指差しだと嫌だし。」
「それに応援するときに掛け声だけじゃなく呼び名があると便利かなって。」
「確かに。」
「例えば、あんたは“カズ”とか。」
隣にいた一番強そうなヤンキーに話しかける。ちなみにカズとは漢字で書いて一だからだ。
「カズか、悪くねえな。」
「そしてあんたは“ジロ”あんたは“サブ”」
それぞれ強そうな順に名前をつける。最後に残った一番弱そうなやつは、
「うーん、まあ、なんとなく“タツ”でいいか。」
なんとなくそれっぽい名前をつける。まあ、おまけみたいなものだしええんちゃう。
「オッス、タツの兄貴。」
「タツの兄貴」
「タツ兄貴」
「おう。」
……まさかこいつがボスだったとは、人は見かけによらないな。
そしてヤンキーのライバルっぽいポジションのクールには“ライ”正義感が強いパッションは“ヒロ”とそれぞれ呼び名をつけた。
「ストライッ!バッターアウッ!!」
二番打者であったヒロが申し訳無さそうに帰ってくる。
「三振とは、かたじけない。」
「オッケ、オッケ。切り替えてこうぜヒロ。」
「ヒロ?」
次のバッターは我らがリーダー、カナだ。ただカナといえど100マイルの速球を打つのは難しいのではないか。
「おりゃ!」
「えいっ!」
「オオー!!センター前!!」
100マイルの速球をいとも容易く打ち返したカナ。いやー、さすがですわ。
「うっふん、いくわよ。」
そして次の打者は身長二メートルを越える恵体。鍛え上げられた肉体。名付けたあだ名は”ボス“そのボスが打席に向かっていった。
相手先発は北の国代表のユキ、右の本格派だ。そしてキャッチャーは側近のレイ。その他、それぞれのポジションにつく守護者達は全員がなかなかの高ランクだ。
「なかなか手強そうだね。」
「そうね。」
いつもふわふわした思考の楽天家のカナさえ認めるその実力。実際代表のユキは唯一のSランクであるミミにも負けず劣らずの実力者である。正直勝てる気がしない。
「それじゃあ、一番バッターのチロ。よろしくね。」
「はい?」
いやいや、ちょいと待ってくだせい。何故にあっしが一番打者やねん、ほんまに。
「まあ、何となく?それに凄い一番バッターがいるでしょ、チローっていう。」
「違うんだよなぁ、惜しいけど。」
名前は似てるが実力は天と地の差、月とすっぽんだ。俺に先陣を切るのは荷が重すぎる。
「でも、もうメンバー交換しちゃったから変えられないよ。」
「ちくせう。」
「でも、チロは足速いし適任だと私は思うよ。」
確かにそれなりには速いが大した程でもない。女子と走って負けるなんて事は無いが、ガガガ戦記に登場するキャラ達はみんなとんでもない身体能力を持っている。
いや、でももしかして走力という点では俺の右に出るものはいないのでは?
卓球や腕相撲でカナと対戦したことがあったが、全く歯が立たなかった。しかしそれらは走力とは関係ない。
カナ曰く、俺は足が速い。そう!それは!つまり!俺は少なくともカナよりは足が速いという事であり、Aランクでもかなりの強さを誇るカナより足が速いということは、俺の走力はガガガ戦記内でも屈指の速さだと言うことだ!!
自分自身、何の取り柄もない最弱の側近だと思っていたが、ようやく自身のアイデンティティを見つけ、安堵と共に沸き上がる情熱を胸に意気揚々と打席に向かっていった。
「プレイボール!!」
審判のコールと共に試合が始まった。チロは息を飲む。
ピッチャーのユキがワインドアップで大きく振りかぶる。その際、胸が強調され胸部のたわわに実った果実が揺れる。これは素晴らしい。
いかんいかん、集中せねば。
「おりゃっ!」
ユキが第一球を投じる。その速球は一瞬でミットに収まり、初心者であるチロはボールを目で追えず、何が起こったのか分からなかった。
「……嘘だろ。」
バックスクリーンに表示された球速は、161km/hだった。
「速すぎやろ、反則やて。」
あまりの驚きに大阪にも兵庫にも行ったことがないのに関西弁が出てしまった。特に何も無くても偽関西弁をよく話すが。
これは流石に速すぎて正攻法では敵わない、だが策はある。
ユキが二球目を投じる。それに合わせてチロはバントの構え。
「どんなに速くてもバントなら何とかなる。」
バントで転がせば、恐らくチロの足ならセーフになることができる。……しかしながらチロは100マイルのボールの球威に負け、バットを吹き飛ばされ手の痺れに悶えながらうずくまった。
「イイッ↑タイ↓テガァァァ↑」
痛さに耐えれず転げ回るが、回りの冷めた視線に気付き立ち上がる。しにたい。
気付けば、ツーストライク、もう後がない。とりあえず当てて転がすしかない。
ツーストライクにもかかわらず、相手はど真ん中ストレート。完全に舐めプである。
しかし、チロのスイングは奇跡的にボールに当り、何かいい感じに転がっていって、なんやかんや、てんやわんやで、内野安打になりそうな雰囲気になった。
「内野安打……行けるっ!」
全速力で塁間を駆ける、時の流れが遅く感じる。先頭打者の出塁は得点効率になんたらかんたら、ここは絶対セーフになってやる。
だが、チロの足は普通に遅くアウトでした。
「ごめんなさい、チロって何か雰囲気で足速そうと思ってたけどそうでもないのね。」
「うぐっ!」
やめろ、やめてくれ。何か自分が全否定されている気分になる。
「いや、でもでもチロには他にも良いところがあるから大丈夫よ。」
「ありがとうございます。カナちゃんマジ天使。」
「うふふ、よし!じゃあ一緒に皆を応援しよう。」
カナの一言でチロは目を覚ます。何も背伸びなんてしなくていい、自分は自分ができる事を精一杯やればいい。そんな当たり前の事に気づかせてくれた、カナちゃんマジ心のオアシス。俺も自分ができる精一杯で皆を応援しよう。
「がんばれー」
「がんばれー」
「ファイトー」
「かっ飛ばせー」
何かが足りない気がする。そんな応援だ。
「思ったんだけど、それぞれの呼び名を考えたらどうだろうか。」
「呼び名?」
「まあ、カナは考えをそのまま伝えられるからいいけど、何か呼ぶときにお前とか指差しだと嫌だし。」
「それに応援するときに掛け声だけじゃなく呼び名があると便利かなって。」
「確かに。」
「例えば、あんたは“カズ”とか。」
隣にいた一番強そうなヤンキーに話しかける。ちなみにカズとは漢字で書いて一だからだ。
「カズか、悪くねえな。」
「そしてあんたは“ジロ”あんたは“サブ”」
それぞれ強そうな順に名前をつける。最後に残った一番弱そうなやつは、
「うーん、まあ、なんとなく“タツ”でいいか。」
なんとなくそれっぽい名前をつける。まあ、おまけみたいなものだしええんちゃう。
「オッス、タツの兄貴。」
「タツの兄貴」
「タツ兄貴」
「おう。」
……まさかこいつがボスだったとは、人は見かけによらないな。
そしてヤンキーのライバルっぽいポジションのクールには“ライ”正義感が強いパッションは“ヒロ”とそれぞれ呼び名をつけた。
「ストライッ!バッターアウッ!!」
二番打者であったヒロが申し訳無さそうに帰ってくる。
「三振とは、かたじけない。」
「オッケ、オッケ。切り替えてこうぜヒロ。」
「ヒロ?」
次のバッターは我らがリーダー、カナだ。ただカナといえど100マイルの速球を打つのは難しいのではないか。
「おりゃ!」
「えいっ!」
「オオー!!センター前!!」
100マイルの速球をいとも容易く打ち返したカナ。いやー、さすがですわ。
「うっふん、いくわよ。」
そして次の打者は身長二メートルを越える恵体。鍛え上げられた肉体。名付けたあだ名は”ボス“そのボスが打席に向かっていった。
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