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第二章 メモリー&レイルート

物語はいつか終わりを迎える。

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 先程までの人混みはすっかり姿を消し、並んでいた屋台も今は殆ど片付けられている。

 辺りはすっかり真っ暗で、祭りの喧騒は全く見る影もない。

 そんな中、俺と彼女の二人は祭りの跡地を談笑しながら歩いていた。

「ごめんね、私が遅れてこなければもっと遊べたのに…」

「本当に大丈夫だって。もっと元気だしてよって……言ってももう祭り終わっちゃったんだけど。」

「うぅ、本当にごめん…。」

「い、いや!今のはそんなつもりで言ったんじゃなくて、七海が落ち込んでると俺も辛いし…だから笑ってくれると嬉しいかな?」

 そんな感じで彼女をなだめながら帰路をたどっていた俺達だったが、その途中で彼女はふとこんなことを尋ねてきた。

「ねえ、シンイチローは何で私の事を好きになったの?」

「え?…うーん何でだろうな…」

 中々に難しい質問だ。それに何だか答えるのが恥ずかしい。

「ま、別にそんなに真剣に考えなくてもいいよ。ただちょっと気になっただけだし。」

「うん、まあそうだな。…笑顔だったな、きっかけは。」

「笑顔?……そうかぁ、笑顔ねぇ…」

 彼女は俺の答えに不思議だなといわんばかりの反応を見せる。…そして彼女は続ける。

「じゃあ例えば私と同じ顔で、同じ笑顔の人がいたとして、その人の性格が物凄くキツかったら、シンイチローはその人の事を好きになる?」

「ならないかな、多分。まず性格がキツいのはちょっと苦手だし、…究極的に言えば、俺は白雪七海だから好きって感じだからなあ。」

「ふーん。そうねぇ、ありがとう♪」

 そう言うと彼女は嬉しそうに笑って、ステップを踏みながら帰り道を歩く。俺もそれを見て、何だか嬉しい気持ちになった。

 二人で歩く夜道、夜は俺はあまり好きではない。でも彼女と歩くこの道は、何故か特別な感じがする。

 その後、俺らは別れてそれぞれの家へと帰った。








 ……俺達の物語はここで終わりだ。この後も彼女と俺は共に過ごし、一緒に遊んで、この世界を生きていく。でもそれは別のお話。

 ここから続く日常は今までとそこまで変わらない。秋になれば紅葉を見に行き、冬になれば雪合戦をして、ありきたりな、でも楽しかった日常が続いた。

 でもそんな物語もいつか終わりを迎える。新しい春が来た。俺達が卒業する日だ。

 ここからの話はエピローグ。エンディングはハッピーがよかった。でもそんなのは夢物語で…

「お互い卒業おめでとうだね、シンイチロー。」

「だな。まあ、中学では別々になるけどこれからも一緒に……」

「……いや、ごめんね。それは駄目なんだ。」

「え?…どういう事だ。」

「私は今までは自分の気持ちに嘘をついてきたんだよ。私はシンイチローが好きだった。でもそれは虚空でしかない、私の自己満足でしかないんだよ。」

「な、何言ってるんだ?…全く分からない。どういう意味か教えてくれ!意味が分からないっ!」

「ごめんね、シンイチロー。……私達が再会するのは貴方が全てを思い出してから、だからね…」




「その時まで待っててね、シンイチロー。」




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