上 下
73 / 100
第四章 ファーストプレイ:デットエンド

世界を塗り替えなイカ!?

しおりを挟む
 
 この世界に来てからずっと感じていた違和感。ガールズガーディアンガンガンダッシュ戦記のゲームとの差異。

 遂にその正体を知った。この世界はゲームの世界では無く、ガガガ戦記のゲームこそがこの世界をオリジナルとしたコピーなのだ。

 確かにそう考えれば様々な辻褄が合う。アズとカナの側近不在、それはゲームのシステムの都合上誰かキャラクターを設定しなければならなかった為、ゲームではエドとオリジナルキャラクターであるモモが採用されたが、実際には二人には側近は存在しない。

 テレビゲームや野球拳といった、ガガガ戦記に無い戦いも、ここがゲームの世界でないのなら説明がつく。

 だがまだ不可解な点もある。何故俺が女体化したのか?何故俺がカナの側近になっていたのか。謎は未だ多い。

「……今の話で、大体の事情は分かった。だが疑問点もある」

「疑問点?」

「ああ。今思い付いた限り二つあるが、まず一つは何故俺の体が黒髪美少女になったかだ」

 俺は先程考え付いた疑問の内の一つを七海に尋ねる。すると七海は呆れた様子で質問に答えた。

「……覚えてる?エドさんから聞いたアンタの能力の概要を」

「ああ、覚えてるよ」

 確かエド曰く、何かを対価に捧げることで願いを一つ叶える能力らしい。中々のチート能力の様に感じるが、叶えられる願い事を捧げた対価に比例する為出来ることは意外と限られてくる。だからそこまで万能というわけでも無い。

「そう。……まあ、結果から言うとその能力のお陰ね。でも当時のアンタはこの能力について理解していなかったから、力が安定してなかったのよ。だからアンタの願っている事一つを神様が適当に叶えた。……そして叶えられたのが黒髪美少女に転生したいっていうアンタの願いだったのよ」

「…………」

 ……何て事だ。いや、美少女になったことについては様々な弊害があるが、基本的には喜ばしいことである。あるのだが、まさかこんな事で自らの性癖がバレてしまうとは、ただひたすらハズい。穴があったら入りたい。

「……ん?でも俺は何を対価にしてその願いを叶えたんだ?」

 そうなってくると浮かび上がってくる疑問がある。そう、願いを叶えるための対価に何を捧げたのかだ。俺は首を傾げる。

「ああ、そうね。それは車に曳かれてアンタが死にかけたって事実かしら」

「え?それでコレ?」

 ……とんでもない言葉が聞こえたような気がするんですが?死にかけたんですよ、こっちはそれなのに性転換だけって、そりゃあないでしょう!神様!

「まあ、確かにそう思うのも無理無いように思うわ。だけど考えてみて、アンタが元の姿のままだったら多分カナさんにも好かれないし、今までみたいな孤立生活よ。そう考えれば妥当じゃない?」

「……まあ、確かに」

 つまり七海が言うに、神様が叶えてくれた願いは性別のみならず、人生も変えてくれたというわけだ。そう考えれば妥当、いや、完全にこちらの得だ。俺はそう思う。

「だけどさっぎ、俺は死んだ訳じゃ無くて死にかけって言ったよな?向こうの世界での俺は生きているってこと?それって向こうで今俺はどういう状況なんだ?」

「行方不明よ」

「え!?嘘だろ!やべぇじゃねぇか!要らん心配かけちゃってるよ!両親とかに!」

 両親を不安にさせて、良心がいたむなぁ。何て事を考えていると、七海はため息を吐いて答えた。

「大丈夫よ。いざとなったらエドの能力がある。時を戻してアンタが車に曳かれる前に戻ればいいわ。」

「…そうか、エドの能力は時戻しか。随分と凄いな」

「私からしたらアンタの方が羨ましいけどね。まあ、それはそうと、まだ質問はあるのかしら?」

 七海は雑に質問を切り捨てると、またさらに質問を求めてくる。

「……俺が異世界にやって来た原因ってのは?」

「それもアンタの能力よ。与えた対価はガガガ戦記の限定フィギュア。車に曳かれてズタボロになってたからね。……オタクって凄いわね、フィギュア一個で異世界転移だもの」

 ……やめてくれ。俺の性癖とオタク趣味を晒さないでくれ。

「質問は以上でいいかしら?」

「いや、待ってくれ」

 ……ちなみに俺の疑問はもう一つだけある。

「どうして俺はこの世界に来た際に、カナの側近という事になっていたんだ?」

「……あー」

 俺のその質問に対して、彼女は答えづらそうに頭を抱える。

「……それに関しては話せば長くなるかなぁ。何というか、超能力の弊害というか?」

「超能力の弊害?」

「そう、超能力って意外と強力でね。世界を塗り替えてしまうことも少なくはないんだよね」




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ぼくの淫魔ちゃん

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:4

川と海をまたにかけて

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:5,637

ある工作員の些細な失敗

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

憂鬱喫茶

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

melt(ML)

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:13

ほろ甘さに恋する気持ちをのせて――

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:17

処理中です...