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第三章 魔王の体捜索編

26話 エルフの里

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 俺は今大森林の中にあるエルフの里にいる、人攫いの一団からの襲撃から毒で死にかけそれをやっとの事で乗り越えここまで来ることが出来た。

 今俺は一応病み上がりと言うことで部屋で寝かされている、アリエスとフィーナが甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるので特段困ることは無く悠々自適に過ごさせてもらっている。

 でも世話をしてくれるのは、アリエスだけで充分なのだが、フィーナもなにか手伝いたいといってやってくれる、特段断る理由も無かったのでそれを了承した。

 しかし美少女二人に甲斐甲斐しく世話を焼いてもらえるのは貴重な体験だ食事や着替えその他諸々の事を全て2人でしてくれる、こんなことを言ったらルシウスに怒られるが、毒にかかってよかったかもしれない。

 そして数日がすぎアリエスとフィーナのお世話のお陰で俺は大分回復しもう充分休息したので、旅を再開しようとルシウスに提案したがルシウスいわくまだダメだと、俺はもう充分だと思うんだけどな、でもまあルシウスが言うならそれに従おう、一応この旅のリーダー核だからな。

 そうして更に一週間がすぎた頃俺は完全に回復したそして俺の元へ一人の老エルフがやって来た。

「お初におめにかかる、族長のバルです」
「初めまして、ルークですこの度は助けて頂いてありがとうございます」
「いえいえ当然のこと、話を聞いた限りフィーナを助けてくれたとか、例を言うのはこちら方で」

 そう言って老エルフは頭を下げてくれたそしてこう続けた。

「それに人攫いの一団も壊滅させてくれたとも聞いとります、あの一団には我々も手を焼いておりましたので、そのお礼も込めて今夜宴を開催することになったのでルーク君も参加しては貰えないだろうか」

 大方ルシウスが全てを話してくれたのだろう、バルはそう言い残し去っていった宴かここ最近切羽詰まった状況が続き、緊張の連続だったので息抜きには丁度いいか。

 俺は宴に参加することを決めたそしてその夜、エルフたちによる大々的な宴が催された。

 俺の右隣にアリエスが、左にフィーナが座り両手に花の状態だ。
 ルシウスは酒を飲みながら族長の近くで何やら話をしているいつの間にか仲良くなったようだ。

 そして宴は進み、かなり際どい衣装を着たエルフのお姉さん達の踊りがはじまった魔王ジルはそれを物凄く喜んでいた。

(見ろルーク! あれは素晴らしいぞ)
(師匠、わかってますよ、あぁ、あのお姉さん見えそうです!)
(おお、なかなか際どいな)

 俺は必死に目を凝らし、なにか見えるんじゃないかと期待していたがそれを察したアリエスに太ももを強くつねられた。

「あ、アリエス痛いです」
「ふん、自業自得よ」

 すごく痛いですアリエスさん、でも悪いのは俺だしかし俺も男の子だどうしてもこういうのには反応してしまう、俺はアリエスにフォローを入れようと思いアリエスの耳元でこう呟いた。

「ごめんアリエス、俺が見たいのはアリエスだけだよ」

 決まったな、すると更に太ももを強くつねられた痛い痛い、なにか間違ったこと言ったか、正直な気持ちを伝えたのに。

「もう馬鹿!」

 そういうアリエスの顔は赤かった照れるぐらいならつねるのをやめてくれ、するとフィーナが2人でコソコソ何してるのと聞いてきたそこでやっとアリエスはつねるのをやめてくれた助かった。

 俺はフィーナに感謝しつつ宴を楽しんでいると、フィーナの姉のナージャがこちらにやって来た。

「この度は妹助けてくれたことを感謝する、些細な礼だがこの里一番の名酒を持ってきた飲んでくれ」

 そう言い1本の瓶を差し出してきたまてまてまだ俺は11歳だそもうすぐ12歳だけど、酒はまずいんじゃ・・・・・・

 でも飲みたい、前世では酒だけが俺の唯一の楽しみだった毎日家に帰り晩酌をするそんな毎日だった。

 しかしこの世界の酒はどんな味がするんだろ、とても気になる、ええい俺は精神年齢は二十歳を超えている、そしてせっかくの宴だ飲んじゃえ、そう思い俺はその瓶を受け取りコップに酒を注いだ。

「ナージャさんありがとうございます! 飲ませて頂きますね」

 俺はその酒を飲んだとても美味い、なんて酒なんだ、今までこんなに美味い酒は飲んだことがないぞ、流石名酒と言うだけある。

「ナージャさん! このお酒すごく美味しいですね」
「そうだろう! 里一番の名酒だからな!」
「ナージャさんもどうぞ」

 俺はそう言ってナージャにも酒を渡した彼女も俗に言う返杯と言うやつだこの世界であるかどうかは知らないが。

「ありがとうルーク君、私まで悪いね」

 そしてナージャは酒を飲みくぅ~と唸っている、それを見ていたアリエスとフィーナが私達にも頂戴と言ってきた。

「それ私も飲みたいわ」
「私もです!」

 俺が飲んでいるので2人にやらないわけにも行かず、仕方なく2人に酒をやった。

「凄い匂いね」
「これがお酒ですか! 初めて飲みます」

 そして2人は酒をちょびっと飲んだ二人とも渋い顔をしている、そりゃそうか君達にはまだ早いこれの美味しさが分かるようになるのは大分先だろう。

「これ苦いわね」
「ルークさんよくこれが美味しいと思えますね」

 二人は美味しくないと、まあいつかこの美味さが分かるようになるだろう、そうしていると俺のところに族長とルシウスがやって来た。

「ルーク君宴は楽しんでいただけてますかな?」
「はい! こんな盛大にやって頂きありがとうございます」
「それはよかった今日の主役はルーク君なので楽しんで頂けて光栄です」
「そうだ! さっきナージャさんから名酒を頂いたのでルシウスもバルさんもどうぞ」

 そう言い先ほどの酒を差し出した。

「ルーク君は酒の味も分かるのですか! 大人ですね」

 そう驚いていたそりゃそうかルシウスから見たら俺はまだ子供だ魔王ジルの事は話したが、俺が転生した事は話してない、そして俺は転生しているのでルシウスとそう歳も変わらないだろうだから酒の味も分かる。

 しかしこれを知ったらルシウスは更に驚くだろうな、そんなことを考えながら夜遅くまで酒を飲み宴を楽しんだ翌日俺はベッドの上で目が覚めた、頭が少し痛い二日酔いか。

 それにしてもどうやってベッドまで来たんだろう、俺は昨日の出来事を思い返すしかし記憶が途中から無い、そして起き起き上がろうとすると両隣に人の感触を感じた。

 まさか酔った勢いでエルフのお姉さんを連れ込んだんじゃ、そう思い両隣を確認するとそこにはすやすや眠るアリエスとフィーナがいた2人とも寝息を立て可愛らしい寝顔だ当然アリエスの方が可愛いが、でも何で2人が同じベットにいるんだろう、そう疑問に思っていると頭の中に声が響いた魔王ジルだ。

(起きたか、昨日お前は酔って、その場で寝て2人にここまで運んで貰ってたぞ)
(そうなんですか)

 それで2人とも一緒に寝てしまったのか、てっきり2人に手を出したのかと、まあアリエスがいるからそんなことを無理なんだけどね。

 そう思い2人を起こさないようにそっとかベッドから出て部屋を後にした途中ナージャにあった。

「ルーク君おはよう、ちょうど良かった今呼びに行こうとしていたところだ」
「おはようございます! なにかあったんですか?」
「いや長老が話あるそうなので、部屋まで案内しよう」

 長老が俺に話とは、一体何の話だろう、俺はナージャに案内されるままバルの元へ向かった部屋につくとナージャがノックし。

「ルーク君を連れてまいりました」
「どうぞお入りなさい」

 そうして扉が開かれ中に入る、中にはバルとルシウスがいた。

「ルーク君おはよう、昨日はよくねむれたかい?」
「はい、お陰様で楽しい一時でした」
「それはよかった所で話があるのだが」

 バルは一体何の話を俺にしようとしているのだろうか、聞いた感じそんなに深刻な話じゃなさそうだし、多分大丈夫だろう。

「どのようなお話ですか?」
「いや君達は凍土の大陸を目指して旅をしているそうだね? だから大森林を抜けるまでの案内と護衛を付ようと思いルーク君を呼んだんだ」

 そうか多分ルシウスがもう旅のことを話していたのだろう、しかし宴まで開いてくれた上に道案内と護衛まで、そんなに至れり尽せりでいいのか。

「いいんですか? 宴まで開いてもらい更に道案内と護衛まで付けてもらうなんて?」
「なにそう気にしなさんな、あの人攫いの一団を倒していくれた恩返しと思ってくれればいい」

 バルはそう説明してくれた俺的には断る理由がない、むしろ大歓迎な話だ。

「ルーク君これはいい提案だと思いますよ! 是非護衛をたのみましょう」

 ルシウスはそう言っている、確かにここで断る理由もない、ましてや大森林は初めての場所だ途中で道に迷うかもしれない、エルフの人達がいればこれ程心強いことは無い俺はその提案を了承することにしたと言うよりなんでルシウスじゃなくて俺に許可を取ったんだろうそこだけが疑問に残る。

「是非お願いします」
「わかった! 出発は3日後で、それまでに準備を整えるから、それまでゆるりと過ごしてくれ」

 こうしてエルフの護衛が旅に同行してくれる事になり俺は部屋を後にし、アリエスとフィーナを起こしに先ほどの部屋にむかった部屋に戻ると2人とも、もう起きていて。

「ルークどこに行っていたの?」

 アリエスにそう聞かれたので事情を説明したするとフィーナが。

「私もその護衛について行きます! 長老様に話してくるので待っていてください!」

 そう言って部屋から飛び出して言ったフィーナもついてくる気なのか、まあでも弓の腕前も確かだしいて困ることは無い、人数は多ければ多いほどいいに決まってる、しかしアリエスは少し不機嫌な顔だ。

「アリエスどうしました?」
「なんでもないわよ」

 これは怒っているな、そう思いアリエスの隣に腰掛け抱きつく。

「アリエスありがとう、アリエスのお陰で僕は生きていることが出来ている」
「な、何よ急に!」
「愛してますよ」

 そう耳元で囁いた。
 アリエスの顔は真っ赤だ。

「ルークはいつもそうやって私の機嫌を取るわ、本当にそう思ってるのかしら」
「思ってますよ! アリエスの事が大好きですからね」

 そう言い俺はアリエスにキスをする、魔王ジルがなにか言ってるが俺は聞こえないふりをすると言うより無視だキスぐらいはいいだろう。

 早く体を見つけなければいつまでたっても魔王ジルに何か言われる、俺はそう思いながらフィーナが戻ってくるまで久しぶりにアリエスと少しだけイチャついた。
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