6 / 17
6.快楽と恋慕
しおりを挟む
あれから順調に凌貴との関係は続き、
日々は過ぎていき高校3年の秋になった。
もちろん毎日一緒にいたから名前だってちゃんと目を見て言えるようにもなったし、
えっちだって何度も何度もした。
数えきれないくらい。
1日に1回じゃない日だってたくさんあった。
3回、4回求めてくれた日だってあったくらい。
凌貴は私のことを本当に大切にしてくれていたと思う。
いつも大好きって言葉にして伝えてくれたし、
もちろん行動にも。
私の誕生日や記念日、
クリスマスだっていつも率先して私との思い出をたくさん作ってくれた。
映画も行ったし、旅行も行った。
おしゃれな素敵なカフェにも。
今年の記念日にはハイブランドのネックレスをプレゼントしてくれた。
とてもうれしかった。
プレゼントしてもらった日から一度も外したことはない。
こんな幸せがこれから先もずっと続くと思っていたし、
凌貴も望んでいてくれたと思う。
それに、このまま結婚だってしたいとも思っていた。
そのくらい凌貴との日々は私にとって大切だった。
~~~~~~♪~~~~~~
学校が終わったあとの夕方、私の部屋にスマホの着信音が響く。
「凌貴からからだ!次のデートの予定かな?もしもし。」
「ゆ、優梨さんでのお電話でお間違えないでしょうか…?」
「え?あ、は、はい。どちら様でしょうか?」
とてもびっくりした。
電話越しに聞こえてきたのは声は若くて、
とても丁寧な口調だけど重たい雰囲気の女性の声だった。
「凌貴の母です。」
「お、お母様…。は、初めまして。
凌貴さんとお付き合いをさせていただいております、優梨と申します。」
「凌貴からいつも話を聞いていたのよ。
とてもかわいい素敵な彼女だって。」
「そ、そんな…でもうれしいです。
ところでどのようなご用件でしたか?
凌貴さん、風邪でもひいてしまったのですか?」
本当は分かっていた。
風邪なんかじゃないことくらい。
凌貴のお母さんの声が涙ぐんでいたこと、
今まで一度も家族から電話がきたことなんてなかったこと、
相当重大なことが起きてしまっていること。
怖かった。
この話の続きを聞くことが。
恐怖で体中が冷たくなっていく。
「……。」
「あ、あの…おかあさ…」
「凌貴がね、亡くなったの。」
………あぁ、やっぱり……。
か、神様、なんてことを…。
え、でも嘘だよね?
今日だって学校で笑っていたじゃん。
明日デートしようって言ってくれてたじゃん。
どうして、どうして、どうして…。
「今日ね、学校の帰りに事故にあって…。
優梨ちゃん…、凌貴のこといつも幸せにしてくれてありがとう。
凌貴も感謝の気持ちでいっぱいだと思うの。」
「…。」
涙が頬をしずかに伝っていく。
言葉が詰まって何も言えない。
「トラックとぶつかってしまって…
ひと様に会わせられる状態ではないの。
きっと凌貴はこんな姿、優梨ちゃんには見せたくないと思うんだ。
だから葬儀は家族だけで行うことになってるの。
最期会わせられなくてごめんなさい。
本当にごめんなさい。」
「そ、そんな…。もう凌貴さんに会えないんですか…
どうしてもだめですか。」
「ごめんなさいね。
あと、優梨ちゃんは残りの人生幸せになってね。
次いい人がいたらちゃんと次の恋に進んで凌貴の分も幸せになってね。
凌貴はいつも優梨ちゃんの笑顔が大好きだと言っていたわ。
自分には勿体ないくらいだって。」
「……うぅ……う…」
「本当にありがとう。
凌貴のマンションだけどそこもすぐに引き払うことになっているの。
寂しい思いをさせてごめんなさいね。
それじゃあ、優梨ちゃん、どうかお幸せに。」
プツッ…ツーツーツー……
「……うわぁー、いやだいやだ。
りょう、凌貴、いや。
おいていかないで、いやぁ!!!!
うぅううう、凌貴…凌貴…」
一体どのくらいの時間が経っただろう。
数十分?数時間?
もうわかんない。
全部わかんない。
今日からどうやって生きていけばいいの。
凌貴がいない人生なんて、
全然幸せじゃない。
凌貴…凌貴…
会いたい、また笑ってよ。
また抱きしめてよ。
私の名前を呼んでよ。
お願いします、神様。
凌貴を返して、お願いします。
どうか、どうか…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから数か月経ってあっという間に高校を卒業した。
残酷に毎日は過ぎていった。
凌貴っていう存在が最初からなかったかのように。
私はというと、
凌貴のことを思い出にしようと必死だった。
お母様が言っていたように、
凌貴はいつも私の幸せを願ってくれていた。
私のことを大切に思ってくれていた。
だから私は幸せにならないとね。
幸せになるためには前に進まないとね。
この先、凌貴のことを忘れるなんて絶対にあり得ない。
絶対、絶対に。
凌貴、本当に大好きだった。
心から大好きだった。
凌貴、凌貴、凌貴。
凌貴への想いは愛になりたかった恋になってしまった。
私は心理学を学ぶために大学に進んだ。
凌貴に言われたから。
「優梨って優しいし、
人の心を癒してあげる不思議な力があると思うんだ。
だから大学は心理学系学んでみたら?
もし目指している夢がないならだけど!」
目指していた夢。
私は凌貴のお嫁さんになりたかった。
でも恥ずかしかったし、
冗談半分で言ったらだめな気がして言えなかった。
でも言えばよかった。
もう二度と伝えられないくらいなら。
恥ずかしいなんて気持ち抑えて伝えればよかった。
「明日から大学か。
楽しくやっていけるかな、凌貴。
凌貴がいない毎日はつまらないよ。
凌貴は今幸せ?
私ちゃんと前に進んでいくからね。
本当に大好き。
大好きだった。
ありがとう、本当にありがとう。」
私は今夜きっと眠れない。
凌貴と過ごした日々を思い出すには一夜では決して足りないけど、
明日からは凌貴を思い出にしたい。
新しい環境でしっかり夢に向かって頑張っていきたい。
それになんとなくできなかった、
私の体の開発も再開したいと思う。
ずっと禁欲してきた。
それどころじゃなかったから。
でも凌貴はえっちな私のことを素敵で可愛いって、
大好きだって言ってくれたから。
これからも魅力的でいたい。
もう抱いてもらえない、あんなに気持ちよかったのに。
心も体も凌貴が恋しがっている。
恋しい。凌貴…。
でも今日で本当に終わり。
ありがとう。
大好きだった人、さようなら。
日々は過ぎていき高校3年の秋になった。
もちろん毎日一緒にいたから名前だってちゃんと目を見て言えるようにもなったし、
えっちだって何度も何度もした。
数えきれないくらい。
1日に1回じゃない日だってたくさんあった。
3回、4回求めてくれた日だってあったくらい。
凌貴は私のことを本当に大切にしてくれていたと思う。
いつも大好きって言葉にして伝えてくれたし、
もちろん行動にも。
私の誕生日や記念日、
クリスマスだっていつも率先して私との思い出をたくさん作ってくれた。
映画も行ったし、旅行も行った。
おしゃれな素敵なカフェにも。
今年の記念日にはハイブランドのネックレスをプレゼントしてくれた。
とてもうれしかった。
プレゼントしてもらった日から一度も外したことはない。
こんな幸せがこれから先もずっと続くと思っていたし、
凌貴も望んでいてくれたと思う。
それに、このまま結婚だってしたいとも思っていた。
そのくらい凌貴との日々は私にとって大切だった。
~~~~~~♪~~~~~~
学校が終わったあとの夕方、私の部屋にスマホの着信音が響く。
「凌貴からからだ!次のデートの予定かな?もしもし。」
「ゆ、優梨さんでのお電話でお間違えないでしょうか…?」
「え?あ、は、はい。どちら様でしょうか?」
とてもびっくりした。
電話越しに聞こえてきたのは声は若くて、
とても丁寧な口調だけど重たい雰囲気の女性の声だった。
「凌貴の母です。」
「お、お母様…。は、初めまして。
凌貴さんとお付き合いをさせていただいております、優梨と申します。」
「凌貴からいつも話を聞いていたのよ。
とてもかわいい素敵な彼女だって。」
「そ、そんな…でもうれしいです。
ところでどのようなご用件でしたか?
凌貴さん、風邪でもひいてしまったのですか?」
本当は分かっていた。
風邪なんかじゃないことくらい。
凌貴のお母さんの声が涙ぐんでいたこと、
今まで一度も家族から電話がきたことなんてなかったこと、
相当重大なことが起きてしまっていること。
怖かった。
この話の続きを聞くことが。
恐怖で体中が冷たくなっていく。
「……。」
「あ、あの…おかあさ…」
「凌貴がね、亡くなったの。」
………あぁ、やっぱり……。
か、神様、なんてことを…。
え、でも嘘だよね?
今日だって学校で笑っていたじゃん。
明日デートしようって言ってくれてたじゃん。
どうして、どうして、どうして…。
「今日ね、学校の帰りに事故にあって…。
優梨ちゃん…、凌貴のこといつも幸せにしてくれてありがとう。
凌貴も感謝の気持ちでいっぱいだと思うの。」
「…。」
涙が頬をしずかに伝っていく。
言葉が詰まって何も言えない。
「トラックとぶつかってしまって…
ひと様に会わせられる状態ではないの。
きっと凌貴はこんな姿、優梨ちゃんには見せたくないと思うんだ。
だから葬儀は家族だけで行うことになってるの。
最期会わせられなくてごめんなさい。
本当にごめんなさい。」
「そ、そんな…。もう凌貴さんに会えないんですか…
どうしてもだめですか。」
「ごめんなさいね。
あと、優梨ちゃんは残りの人生幸せになってね。
次いい人がいたらちゃんと次の恋に進んで凌貴の分も幸せになってね。
凌貴はいつも優梨ちゃんの笑顔が大好きだと言っていたわ。
自分には勿体ないくらいだって。」
「……うぅ……う…」
「本当にありがとう。
凌貴のマンションだけどそこもすぐに引き払うことになっているの。
寂しい思いをさせてごめんなさいね。
それじゃあ、優梨ちゃん、どうかお幸せに。」
プツッ…ツーツーツー……
「……うわぁー、いやだいやだ。
りょう、凌貴、いや。
おいていかないで、いやぁ!!!!
うぅううう、凌貴…凌貴…」
一体どのくらいの時間が経っただろう。
数十分?数時間?
もうわかんない。
全部わかんない。
今日からどうやって生きていけばいいの。
凌貴がいない人生なんて、
全然幸せじゃない。
凌貴…凌貴…
会いたい、また笑ってよ。
また抱きしめてよ。
私の名前を呼んでよ。
お願いします、神様。
凌貴を返して、お願いします。
どうか、どうか…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから数か月経ってあっという間に高校を卒業した。
残酷に毎日は過ぎていった。
凌貴っていう存在が最初からなかったかのように。
私はというと、
凌貴のことを思い出にしようと必死だった。
お母様が言っていたように、
凌貴はいつも私の幸せを願ってくれていた。
私のことを大切に思ってくれていた。
だから私は幸せにならないとね。
幸せになるためには前に進まないとね。
この先、凌貴のことを忘れるなんて絶対にあり得ない。
絶対、絶対に。
凌貴、本当に大好きだった。
心から大好きだった。
凌貴、凌貴、凌貴。
凌貴への想いは愛になりたかった恋になってしまった。
私は心理学を学ぶために大学に進んだ。
凌貴に言われたから。
「優梨って優しいし、
人の心を癒してあげる不思議な力があると思うんだ。
だから大学は心理学系学んでみたら?
もし目指している夢がないならだけど!」
目指していた夢。
私は凌貴のお嫁さんになりたかった。
でも恥ずかしかったし、
冗談半分で言ったらだめな気がして言えなかった。
でも言えばよかった。
もう二度と伝えられないくらいなら。
恥ずかしいなんて気持ち抑えて伝えればよかった。
「明日から大学か。
楽しくやっていけるかな、凌貴。
凌貴がいない毎日はつまらないよ。
凌貴は今幸せ?
私ちゃんと前に進んでいくからね。
本当に大好き。
大好きだった。
ありがとう、本当にありがとう。」
私は今夜きっと眠れない。
凌貴と過ごした日々を思い出すには一夜では決して足りないけど、
明日からは凌貴を思い出にしたい。
新しい環境でしっかり夢に向かって頑張っていきたい。
それになんとなくできなかった、
私の体の開発も再開したいと思う。
ずっと禁欲してきた。
それどころじゃなかったから。
でも凌貴はえっちな私のことを素敵で可愛いって、
大好きだって言ってくれたから。
これからも魅力的でいたい。
もう抱いてもらえない、あんなに気持ちよかったのに。
心も体も凌貴が恋しがっている。
恋しい。凌貴…。
でも今日で本当に終わり。
ありがとう。
大好きだった人、さようなら。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。
イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。
きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。
そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……?
※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。
※他サイトにも掲載しています。
幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに
家紋武範
恋愛
となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。
ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる