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3、どうしよう…
しおりを挟む空side
ん…神山先生の声…
「んっ、先生?…あ、山名氏先生も、あれ?僕なんでここに…ってか寝ちゃてた…あ、えっと、ごめんなさい、」
全然状況が理解できない。なんで寝ちゃってたんだ。
確か授業中だったよな…どうしよう…
「いや、謝らなくていいよ。
呼吸がおかしくなったの覚えてる?
苦しかったね、今はどう?苦しくない?」
あ、そうだった。確か授業中急に苦しくなって、
それから…思い出した…先生の授業を止めてしまった…
「大丈夫です。迷惑かけてごめんなさい。」
はぁ、ほんとうに申し訳ない。自分のせいで、
「迷惑とか思ってないから大丈夫だよ。
さっき、熱測ったら38.7度あったから今日は帰ってゆっくり休んでね。
お父さんには連絡してるからもうすぐ迎えに来てくれると思うから。」
「え?…あ、…ありがとうございます…」
え…どうしよう…父さんに連絡…なんて言ったんだろう…授業を止めたこと言われたのかな…どうしよう…怒られる…どうしよう…どうしよう…どうしよう…どうしよう…
「大丈夫?苦しい?空くん?」
でも先生として親に連絡するのって普通だよね。
普通のこと…大丈夫…大丈夫…大丈夫…大丈夫
「大丈夫です。ありがとうございます。」
ちゃんと笑って言えたかな…大丈夫…だよね…
帰ったらなんて言われるんだろう…
怖い、怖い…
明日死ねば大丈夫だよね…大丈夫…大丈夫……
『明日死ねば大丈夫』
初めは死ねない。死ぬ勇気がない自分の言い訳として使っていたが、気付けば自分に言い聞かせ安心しようとする言葉に変わっていた。
明日死ぬから今日が辛くても乗り越えられる我慢は今だけ、そうやって自分に言い聞かせて安心を得ようとしていた。
「こんばんは、夕紀 空の父です。この度は大変ご迷惑をかけました。本当に申し訳ありません。」
父さんが迎えに来た。
外では優しい顔をしているが、ほんとは笑っていない。
そんなことずっと前から知っている。
帰るのが怖い…でも帰らないといけないそんなこと分かっているのに助けを求める気持ちで神山先生を見てしまった。
神山先生とは目が合ったが何かが変わるわけもなく、
先生方にさよならをし、車に乗った。
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