ホントの気持ち

神娘

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28、死ななきゃダメって分かってるけど…

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空side

 
神山先生が塾に行き、病室で1人になった。

1人って寂しいな……


陽ちゃんや神山先生と話して、本当に生きてもいいのかな?って思えた。

もし本当に生きてもいいならどれだけ楽しいだろう。
みんなとずっと一緒にいたいな……そんな事願ってもいいのかな……


たくさん話してたくさん泣いたら疲れちゃった、休憩しよう。





ベットに横になり目をつぶるといつの間にか眠っていた。
目を開けると城崎先生がいた。

「大丈夫か?」


「大丈夫です。すみません、寝てしまっていて、」

いつ来てくれていたのだろう?結構待たせちゃったのかな…不安な気持ちと同時にもう来てくれないと思っていたからとても嬉しい。

あ、ちゃんと謝らなきゃ。

「あの、先生、」

「謝らないでほしい。」

僕が言う前に言われた。謝らないでほしいってどうして?

「え?」

「さっき、名取先生と神山から話は聞いた。
絶対夕紀は自分を責めていると思って、謝ってくると思った、けど夕紀は悪くないから謝らなくていい。」

「怒ってないの?」

「怒ってないよ。確かにリストカットはいけないことだ。
でも、夕紀が本当に死にたくてやったわけじゃないこと、死ぬことが怖いことを知ったから。」

言っている意味がわからなかった。
死にたいわけじゃないけど、死ななくてはいけなくて、
でも、陽ちゃんや神山先生は死ななくていいって言ってて……
死ぬことが怖いのと怒らないのがどうして繋がるのかが分からない。


「ふっw分かんないかっ!難しかったよな、」

何も言っていないけど分かっていないことがバレていた。

「うーん、なんて言ったらいいかな。
名取先生からお前が死ななきゃいけないって思ってるって聞いた。
それは父親に言われたからそうしなきゃいけないって思ってるのか?」

「うん」

「自分の意思で死にたいって思っているのか?」

「死にたくない、けど死ななきゃ……ダメだから、」

「そっか、それは今も思ってるんだな。
確かにずっと言われてたらそうしなきゃダメって思い込むのも分かる。」

「思い込んでるんじゃなくて!本当にそうだから……」

「そっか、でもなこの世の中に死んでいい人なんていないんだよ。だから夕紀も生きなきゃ、な?」


「でも、でも……でも、」
今まで父さんから言われてきたことが頭に染み付き過ぎて先生の意見を聞き入れることができなかった。

「じゃあ言い方を変える。
俺はお前と生きたい。お前が生きていないと嫌なんだ。
それでも、死ななきゃダメか?」

先生は僕の目を見つめ言ってきた。

「先生は僕が死んだら……」

「嫌だよ、悲しいよ。お前が死んだら俺どうしていいか分からなくなる。」


「え……」
初めて言われる言葉を整理できずフリーズしてしまう。


「そっか、」
気持ちを整理できず、どう伝えていいか分からなかった。


「まぁ、いきなり言われても困るよなw
名取先生の話を聞いてな、もし夕紀が本当に自分の意思で死にたいと思っているならとてつもなく心配だ。
けど、話聞いてそうではないみたいだから、怒るよりも安心した。本心で死にたいって思ってない、死ぬことを怖いって思ってるってことは、お前に生きたいって思わせたら良いだけだろ!」

確かにそうかもしれない。生きたい、か。

「生きたいって思っていいの?」

「良いに決まってんだろ!」

先生は僕の頭をわしゃわしゃした。


「また同じことしたら怒る?」
自傷行為をやめられる気がしない。
次は怒られるのだろうか……

「うーん、怒りはしないけどとてつもなく心配になるし、不安になる。
自傷行為はリストカットだけか?」


「うん、多分……」


「多分って?他にもしてんの?」

正直どこまでが自傷行為なのかが分からない。

「何でもいいから言ってみ?」

「頭を壁にぶつけたり、首を絞めたり……体を殴ったり、でも、そんなにいっぱいはやってない。」

「自傷行為は回数の問題じゃないよ。そっか、首絞めるってどうやって?」

「こうやって両手で、」
説明の仕方が分からずやって見せた。

「え、ちょっ!分かった!分かったから、
実際にやらんでも分かるよ、びっくりした……
自傷行為はどういう時にやりたくなるんだ?」

「どういう時?」
そんな事考えたことなかった。

「時間とか、何かがあった後とか、なんかないか?」


「怒鳴られたあととか……夜がほとんど…かな」

「昨日は?」

「昨日は…夢で……えっと……」
思い出したら怖くなってきた。

「分かった、ごめん、思い出したくないことだったよな。」

「大丈夫、昨日は父さんの夢を見た。それでやりたくなった。
夢じゃなくてもなぜか誰もいないのに父さんの声が聞こえてやりたくなる時がある。」

思い出すことは怖かったが城崎先生がいてくれたから自然と話せた。

「起きてる時にか?」

「うん、それも基本は夜が多いかな。
耳を塞いでもずっと聞こえる。だから……」

「ん?」


「だから……しんどい。」
思い切って自分の気持ちを伝えた。
1回言うとストッパーが外れたように気持ちが口から溢れた。

「ずっと頭がぐるぐるして、今じゃないのに今起きてるみたいにずっと父さんの怒鳴り声が聞こえてきて、死ななきゃって思う。
でも、死ぬのが怖くて、怖いのから逃げたくて、
んで、痛いことしたら気持ちが楽になる。声も聞こえなくなるの。だから、自傷行為がやめられない。
やめたいけど、いつ怒鳴られるかが分からないから、怖い。」

「そうだったんだな、話してくれてありがとう。
しんどかったな。1人でずっと耐えてたんだな。辛かったな。」

先生はぎゅっと抱きしめてくれた。
先生の温もりを感じ安心できた。




「気になることが1つあります。」


「なんだ?」


「1つだけ教えてほしい事があって……
先生は僕のこと父さんに話しましたか?」


「いいや、っというか実は夕紀のお父さんに会ったことも電話で話したこともないんだ。
夕紀と体育の後話した時にお父さんに言われたくないって言っていたから、何も言っていないぞ。
どうした?なんかあったか?」

「いや、その……」

「なんだ、何でもいいから言ってみ?」

「先生と話した日の夜、初めて父さんが殴ったり蹴ったりするようになって……僕がちゃんと授業受けなかったことを父さんに言ったのかなって思ってて……」


「そうだったんだな、いや……夕紀のお父さんには言ってないよ。」

「疑ってごめんなさい。」

「いいや、そんだけ辛い思いしたんだ。疑いたくもなるよ。」

どうして父さんはあの日から手を出すようになったんだろう。……僕が何かしちゃったのかな……

「あんまり考えなくてもいいと思うぞ。
もし、夕紀のことを殴た理由が分かったとしても、それは殴ってもいい理由にはならないから。
大丈夫、もう誰にも殴られないから。」

先生は優しく僕を抱きしめ安心させてくれた。
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