ホントの気持ち

神娘

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62、もし父さんがいたら

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空side

目が覚めるとベッドの上にいた。

ここどこ…?

病院じゃない……あ、そうだ昨日退院したんだ、
それでここに来て…あれ?父さんがいて…あれ…夢?

どっちが夢?

考えているとドアノブが動いた。
スローモーションのようになり、ドアの向こうから誰が来るのか必死に考えた。
もし父さんが来たら…どうしよう…どうしよう…
逃げなきゃ…
逃げるにも体がガクガク震え言うことを聞いてくれない…

ドアが開く瞬間勢いよく布団の中に潜り込んだ。
すぐに見つかると分かっていてもそれ以上に良い隠れ方が思い浮かばなかった。

「空くん、あれ?空くん?」

神山先生…?
本当に神山先生1人なのかな?
一緒に誰かが…父さんが…来たら…

「空くん、まだ寝てる?」

「朝ごはんできたけど…どうしようか」

神山先生はずっと俺に話しかけているが怖くて震えるしかできない。

「空くん、」

ビクッ!!

神山先生がベッドに腰掛け布団に触ってきた。

「はぁ、はぁ、はぁ…はぁ、はぁ」
どんどん酸素が薄くなっていく…苦しい…
上手く吸えない…
手足が痺れてきた…どうしよう…っんぁ…


「空くん、ごめんね。ちょっとだけ布団めくるね。」

必死に布団を掴み隠れようとしたが布団をめくられ先生と目が合った。

「布団の中に苦しいよね、ゆっくり息したら良いからね。」

ゆっくりと深呼吸をして落ち着いた。



そういえば、父さんは?怖くなり先生の服を掴んだ。

「ん?どうしたの?」

「先生…1人?」

「1人…?リビングに名取先生と城崎先生はいるよ?」

「父さんは…?」

「空くんの父さんはここにはいないよ。」

「本当にいない?」

「うん、本当にいない。」

「でも…」

父さんの声が聞こえる…
そんなこと言ったら変に思われるかな…嫌だな…

「でも?ん?」

「あ、うーうん。なんでもない。大丈夫…」

不安を隠すため無理やり笑顔を作った。
僕の顔を見た神山先生は悲しい顔をした。
どうしてそんな顔するんだろう。




ガチャ

「神山先生、空まだ寝てます?」

陽ちゃんが来た。

「いえ、さっき起きました。
あ、そうだ。空くん、朝ごはん食べよ。」

僕は神山先生に手を引かれリビングに行こうとした。

「空くん?大丈夫?」

「え?あ、大丈夫…大丈夫…えっと…」

頭では分かってる…リビングに行かなきゃって…
でも体が拒絶してる…体が震えて動けない。
また呼吸が上手くできない…苦しい…


「空くん、怖かったらごめんね、」
神山先生がその場で座り込み優しく抱きしめてくれた。
先生に体を預け深呼吸を繰り返した。
しばらくして呼吸は落ち着いたが、震えが全然治まらない。

「空くん、ゆっくりでいいからね。
焦らなくて良いよ。」

こんなに優しくしてくれてるのに…
なんで…なんで…体は言うことを聞いてくれないの…

リビングを怖いと思う気持ちと思い通りにいかない気持ちでどうしたらいいか分からず大粒の涙が神山先生の服を濡らした。

神山先生は一瞬驚いた顔をしたが俺の顔をそっと胸に抱き寄せ何も言わず落ち着くのを待ってくれた。
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