ホントの気持ち

神娘

文字の大きさ
78 / 136

78、気付いてたのに、

しおりを挟む
名取side

昨日の夜_______

夜中に目が覚めた空は目を泳がせていた。
悪夢を見たのは一目瞭然だったがどうしたと聞いても教えてくれない。
俺に気づかれないように顔を背けていた。

言いたくないのであれば無理に聞かないが、頭に触れた途端態度が一変し怯えだしたかと思うと机の脚に何度も頭をぶつけ自分を傷付けだした。
自傷行為…
俺の前でこんなにしたのは初めてか…
気絶するように眠ったのを確認し、リビングに移動した。

あの様子だとまた何をするか分からない。
一度ちゃんと2人で向き合える時間を作ろう。
神山先生と城崎先生には明日は断ろう。

心の傷は時間が1番の治療な事は分かっている。だが、空の辛さを見て見ぬふりはできない。

今1番大きい問題はフラッシュバックか、安心…安全…どうしたら伝わる、
病院ではそこまで酷くなかったのに…
やっぱり家だと状況が重なってしまうのかな…

空の中で1番の不安は何なんだろう。
明日落ち着いていたらちゃんと話し合おう。


_______________

もう朝か、空起きてるかな

ガチャ、
「空、起きてるか?」

「陽ちゃん?」

「どうした?体調どう?頭痛むか?」

「うーうん、なんでもない…」

何か言いたげな様子だったが教えてはくれなかった。
しつこく聞いたら余計なんでもないと頑なになってしまう気がしたからとりあえず今はそっとしておこう。

「そっか…朝ごはん、食べられそうか?」

「…お腹空いてない…」

「分かった、食べたくなったら言ってな、すぐ用意できるから。」

「分かった。」

「俺、リビングいるから何かあったら呼んで、」

「うん、」

1人になりたいような雰囲気を感じ、寝室を出た。



_______________

考え込んでも空からちゃんと聞かないと何も始まらないと思い、テレビをつける。
いつも休日はこんな感じなのに頭には空のことでいっぱいだった。
寝室に空一人にして大丈夫だっただろうか、もし、今、自傷行為をしていたら…
考え出したら悪い事ばかりが頭を支配する。
ソワソワしてテレビの内容なんてひとつも入ってこない。
あと5分、あと5分空が寝室から出てこなかったら一度様子を見に行こう。
よし、

時計を確認し、数秒しか経っていないのにまた時間を確認する。






あと1分、


「陽ちゃん…」

5分経たずに空が寝室から出てきた。

「空、どうした?お腹空いたか?」

いつも通り、空が気を遣わないようできるだけいつも通りで、

「うーうん、あのね、陽ちゃん…ごめんなさい。」

「え?」

まさか謝ってくるとは思っていなかった。でも、この感じ…あんまりいい感じがしない…
心の壁のような…

「昨日の夜…迷惑かけてごめんなさい。」

「迷惑とか思ってないよ。昨日は、」
「もうお昼だね。お腹空いてる?」

空が悪いわけじゃないってことを伝えようとしたら無理やり話を逸らされた。
これ以上この話しはしたくないのか、

「え?あ、ああまぁ空いてきたかな。
空も食べれそうか?ちょっと待ってな、」

色々考えて気づかなかったけど、もう昼だもんな~
なんか簡単に作れるものあったかな、

「ぼ、僕が作る。」

「いいよ、座って待ってな、」

「陽ちゃんこそゆっくりしてて、久しぶりの休みなんだから」

「いや、このくらい、」

「僕、料理得意なんだよ。だから、久しぶりに作りたくて、ね?良いでしょ?」

空が料理できることは知っている。

…何か違和感を感じつつもこれ以上言い合っても堂々巡りだし今回は引き下がろう。

「分かった。怪我しないように気をつけてな。」

「はーい」







「できたよ~」

「おお!オムライスか美味しそ~空の手作り初めてだな~」

「でも…陽ちゃんの口に合うか…」

「美味しい!」

「ホント?!良かったぁ、」

「ホントに美味しいよ~ありがとう」

「空は食べないのか?」

「え?あ、うん、今は…お腹空いてないから大丈夫。」

自分の分を持って来ていないだけだと思ったら食べないのか…
入院中は少量でもちゃんと食べてたのにな、よっぽどストレスなのか、
夕食は食べやすいものを作ろう。
さすがに何か食べさせないと、

「そっか…空いたら食べろよ。」

「うん、」

また作り笑い…次は何を隠している…





俺がオムライスを食べてる間家事をしてくれた。
でも、そろそろ休憩させよう。
話もしたいし、


「ありがとう、綺麗にしてくれたんだね。そろそろ休憩しよう。」

「うーうん、あと洗濯物干すだけだから。」

「いいよ、そのくらい俺がやっとくから。」

「ホントにあとそれだけだから、陽ちゃんは休んでて、」

ベランダにはトラウマがある。まさか忘れてるわけないよな、
自分からやると言ったのを止めるのもあれか…
だが、パニックになった時すぐ駆けつけれるようにじっと見守っていた、
やっぱり不安になり、俺も手伝いに行くことにした。

ガラッ
「空、やっぱり手伝うよ。」


「空?おい!!空?」

ゆっくりと振り返った空は後ずさりをするがパニックのあまり上手く歩けず倒れ込む。
こんな所で暴れたら怪我してしまう。
空の動きを抑えようと抱きしめるが逆にパニックになってしまう。
力ずくで抑え部屋に入れ抱きしめるが、目を泳がせて体を強ばらせていた。

多分俺が誰だか分かってないんだろうな…
「空、陽介だよ。大丈夫、大丈夫、」

声を掛けながら背中をさするが変化はない。
やっぱりベランダに出るの止めれば良かった。今更後悔しても遅いのは分かっていながらも、止めなかった自分を悔やんだ。

しばらく声をかけ続け、空が落ち着くのを待っていると、

「帰りたくない。ごめん…なさい…いい子にするから…」

独り言のような小さな声に耳を傾け、返事をする。

「空はずっとここに居ていいからな。ずっと一緒にいるよ。大丈夫、大丈夫、」

「陽ちゃん…?」

やっと空と目が合った。
驚いたように目を開き口をパクパクさせている。

「陽ちゃんだよ。良かった、震えも治まったね。」

「陽ちゃん…あの…ごめ」
「ありがとう。」

「え?」

空が謝る前にお礼を言った。

「ありがとう。ご飯や掃除、洗濯物もしてくれてありがとう。すっごく助かった。ありがとう。頑張ったね。空は良い子だよ。」
キョトンとする。空をギュッと抱きしめお礼を言う。
家事をしてくれた事は素直にありがたい。
それと同時に空が良い子だって事をちゃんと伝えたかった。
普段から良い子ではあるけど、普通に良い子だと伝えても空は納得しない事はもう知っている。だから、理由を付けて良い子だと、ありがとうを伝えることにした。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

守り守られ

ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師 患者 瀬咲朔 腸疾患・排泄障害・下肢不自由 看護師 ベテラン山添さん 準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん 木島 尚久 真幌の恋人同棲中

【短編集】こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

月弥総合病院

僕君・御月様
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...