ホントの気持ち

神娘

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81、ゆっくりでいい

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名取side

家中探検して父親が居ないことは分かったみたいだ。
それでも、以前のように話したり笑ったりすることが減った。
どれだけここが安全でも安心できなかったら意味がない。

空の自己評価が異常なほど低いことは知っていた。だが、最近それが悪化している気がする。
さっきも父親を拒絶する自分を悪い子だって…
あんな事をされたんだ、嫌って当然なのにな…親ってのが邪魔してる。

優しすぎるんだよ…


_______________


空はソファーに座ってぼーっとしている。
何考えてんだろうな、また変なこと考えてんだろうな…

そろそろ空の昼食作るか、
退院してから全然食べてないし腹は減ってるだろうけど、急に食べたらお腹痛くなるかな、

「空~お腹減ってる?」

「…大丈夫」

大丈夫ってなんだよ、少しでもいいから食べてもらおう。

「そっか、じゃあ軽めにしようか」

白菜と肉団子のスープにするか、

「陽ちゃん…」

「ん?どうした?」

目に涙をいっぱい溜めてこっちを見ている。

なかなか言い出さない空をギュッと抱きしめる。


「先生たちは来てくれないの?」

そういえば言ってなかったな。

「今日は2人きりだよ。久しぶりに2人でゆっくりお話したいと思ってね。今日は断ったんだ。」

「そうだったんだ、」

「明日は来てくれるよ。今日はゆっくり過ごそうね。」

「うん、分かった。」


「スープ作ろうと思うけど、飲めそう?」

「…でも…」

「少しでもいいから、飲んでほしいな。」

「分かった。」

キッチンに行こうとするとさっきと同じように服を掴んでついてきた。
ここに父親が居ないって分かっても1人は不安なのかな。

気を紛らわせたくて、話をすることにした。
「さっき空が作ってくれたオムライスすっごい美味しかった。他にも得意料理とかあるの?」

「得意料理?」

「うーん、好きなのでもいいよ?」

「卵焼き。卵焼き作るの好きだよ。」

「卵焼きかぁ、また今度作ってほしいなぁ」

「いいよ!!醤油と味の素で味付けするけどいい?」

「いいよ。空が作った卵焼きが食べたい。卵焼きって作る人によって味違うよな~俺も醤油かな~」

「お母さんの卵焼きがそうだったんだ。」

「お母さん、覚えてるのか?」

「え、うーん、顔は覚えてない。けど、卵焼きの味だけ覚えてるの。お母さんの卵焼きが食べたくていっぱい練習したんだよ。」

「そっか、」

空のお母さん…今何してるだろうな…
姉ちゃんは3歳の空を置いて海外に行ったっきり帰って来ない。
空が落ち着いたら連絡してみようかな。

姉ちゃんはあの男、空の父親にDVされ『ごめんなさい。限界です。』と書かれた手紙を残して海外に飛んだ。
何度か連絡したが返事は無かった。


「スープできたよ~コップ持って行ってくれる?」

「分かった」

スープを2つ机に並べる。
久しぶりにちゃんとしたご飯だな。

「いただきます」

「いただき…ます…」

「食べられるだけでいいからな、お肉難しかったらスープだけでもいいから。」

「……」

「あーん」

スープをすくい口の前に出す。
ゆっくりと開いた口に少量流し込む。

「どうだ?食べれそう?」

「おいしい…」

「そっか、良かった。」

「自分で食べる。」

スプーンを渡し、俺もスープを飲む。
それを見た空も飲む。
少し躊躇いながらも肉団子を口に入れる。ストレスで食欲はなかったみいだけど、完食することができた。

良かった、
少し休憩してから片付けをしようと席を立つと空もついて来た。

「手伝ってくれるの?」

「うん、」

「じゃあ拭いてもらおうかな~」

「分かった。」

布巾を受け取り拭いてくれる。






一段落してソファーでゆっくりしている。

「空はいい子だよ。」

「え?」
急に言ったら戸惑うか、

「一緒にいてくれてありがとな、伝えたくなった。」

「ぼ、僕も陽ちゃんと一緒にいれて嬉しい。」

「うん、ありがとう」
ギュッと抱きしめてお互いを感じる。
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