ホントの気持ち

神娘

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84、溜まった気持ち

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空side

もうどうしたらいいか分からない。
でも…
気持ちを抑えることももうしんどいよ…
いい子になりたい。
そのためには…そのためには…
我慢する。
そんなこと分かっているのに
分かっているのに心が…もうはち切れそうで…

首を締めて悪い子の喉を潰そうとしたら陽ちゃんに止められた。
陽ちゃんは怒った顔をしていたけどどこか悲しそうな顔をしていた。

もう心がいっぱいいっぱいで、押しつぶされそうだったからペンを持って気持ちを吐き出そうとした。
でも…陽ちゃんに見られてると思うと、書けなくてキッチンの端でしゃがんでペンを握る。


『たすけて』

『つらい』

『しんどい』

『もういやだ』

『むねがくるしい』

『いきてることがつらい』

思いつく限り気持ちを書き出していく。
声にできない言葉を書いていくと心からそれが出て行くと思って…
ひたすら書いた…
なのにどれだけ書いても心はどんどん締まっていく。




どうして…
どうして…

首を絞めていないのに苦しい。

「っく…んっ…」

苦しくて蹲って胸元を掴むが、呼吸ができない。

口で大きく吸っても変な音が鳴って全然足りない。
苦しいっ苦しいっ


さっきまで喉を潰そうとしていたのに今は苦しさに恐怖を感じている。



「空?」

陽ちゃん…

「おいで、」

苦しさに涙を流しながら陽ちゃんに抱き上げられる。

「大丈夫、大丈夫、」

陽ちゃんの声に耳を傾けながら少しずつ心を落ち着かせていく。



「もう苦しくない?」

コクリ

「我慢しすぎたらこうなるの。分かった?」

何も言えなくなり陽ちゃんの胸に顔を埋める。


「キッチンで何してたの?」

「……」

言いたくない。だって…いい子に…

「俺は我慢することが良い子だとは思わないよ。」

「ぇ…」

「ある程度の我慢は大事だけど、無理な我慢は毒だよ。」

「毒…」

「我慢したらここがキューって締め付けられるみたいに痛かったんじゃない?」

そう言って胸元をさすられる。
陽ちゃんの言うとうりだ、さっき胸が痛くて苦しくて…

「そこまで我慢したら毒ってこと。分かる?」

コクリ

俯いたまま小さく頷く。

「で、さっきは何してたの?」

「紙に…書いてた…」

「何を?」

「我慢してること…ごめんなさい…」

「いいよ。どうして紙に書いたの?俺に言いずらかった?」

「……いい子になりたくて…そのためには我慢しなきゃで…でも心がいっぱいになっちゃって…はち切れそうで…吐き出したくて…紙に書いた…」

「そっか、」

「でも…でも…全然心から出ていってくれなくて…それで…ここが痛くて苦しくて…」

さっき息ができなかったことを思い出し、怖くなって胸元を握る。

「そっか、怖かったな。大丈夫、大丈夫、ちゃんと言えたから毒じゃなくなったね。」

「毒無い?」

「うん、もう毒は出て行ったよ。」

良かった。
毒は痛くて苦しい…
もう怖いの嫌だ…


「紙、見てもいい?」

コクリ、
陽ちゃんは床に散らばった紙を集めて僕の隣に座った。
震えた字…
書くことに必死だった。

「しんどい時や辛い時は、しんどい辛いって言って良いからね。」

そう言い頭を撫でられ目頭が熱くなる。

陽ちゃんは紙を1枚1枚見ながら「そうかそうか」と頭を撫でる。
その度に心に溜まっていたものが一つ一つ抜けていく。
それと同時に涙も出ていきそうで陽ちゃんの服を握って堪える。

「泣きたい時は泣いていいよ。我慢は毒。」

我慢は毒。
我慢はいい子じゃない。

僕の常識が覆された瞬間だった。


でも…我慢することが普通だった僕はこれから我慢しないなんて…できるのかな?
陽ちゃんに言えたら確かに心は軽くなる。けど…やっぱり怖いな…


「急に全部言えなんてそんな鬼みたいなこと言わないよ。少しずつでいい。言える時に言えば良い。」

コクリ

やっぱり言える自信がなくて俯いたまま小さく頷く。

「俺と交換ノートしてみない?」

「交換ノート?」

「そ、毎日書きたい事書いて交換するの。本当は1冊のノートでするんだけど、2冊用意して毎日書いて交換する。どう?」

「何書くの?」

「何でもいいよ。楽しかったことでも、食べたいものでも今日みたいに心に溜まったことでも、絵を描いてもいいよ。」

何でもいいんだ…
それなら、僕にもできるかな…?
紙になら書けるかな、
そしたら毒にならないかな…

「どう?できそう?」

「うん、やりたい。」

「よし!じゃあノートどうしようかな~買い物はまだ難しいし…ベッドも欲しいしネットで買うか」

そう言い陽ちゃんはスマホを出した。

「空~、何色が好き?」

「黄緑…どうして?」

「ノートの色何色がいいかな~っと思って」

「陽ちゃんは?何色が好き?」

「んー、俺は水色かな~」

いくつか見ているとちょうど黄緑と水色の2冊セットが見つかった。

「これにしようか。」

「うんっ」

表紙はプラスチックなのかな?
綺麗な色、

「じゃあ次はベッドかぁ、柔らかさどうしようか」

「どれがいいか分からない。」

「まぁ、そうだよな~じゃあ俺が選んでいい?」

「うん、」

「じゃあマットレスと布団はこれにしよう。カバーの柄はこの中から選びな。どれがいい?」

「うーん、じゃあこれがいい。」

薄いモスグリーンを選んだ。

「了解!じゃあ~こんなもんかな~他に何か欲しいものあるか?」

「無いよ。」

「本当に?」

目を見つめられ、少し考えて見たけどやっぱり欲しいものは無かった。

「うん、無いよ、」

「そっか、欲しいものあったら言ってな。遠慮しなくて良いからね。」

「分かった。ベッドありがとう。」

「いいよ~ベッドは来週届くって、ノートは明日届くよ。」

「明日?!早いね」

「そうだな、便利な時代になったね~」

ネットで買い物なんてしたことがなかった僕はなんだか未来に来たような気持ちになった。
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