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🍸5話.お水ちゃん🍾
しおりを挟む彼は好きなように腰を動かす。
「ふぁ♡ぁ♡あっ♡あん♡ふぁ♡♡」
あっという間の時間。
ことを終えたら彼は出ていった。
淡々と、荒々しく進んだ時間が嘘のように、部屋は静まり返っている。
時計の針の音をしばらく聴いていた。
重たい身体を起き上がらせ、ミチルは無言のままシャワールームへ向かった。
好きな時にハメることが出来て、ナマでやっても妊娠だってしない。
だから使ってやってると言ってた。
あのホストクラブで上層のホストらが"お水ちゃん"と呼ぶのも、彼にぞんざいな扱いを受けてる事を知ってるからだ。
それでも構わない。
初めてこの身体で良かったと思えた。
異質から特別へと姿を変えたのだ。
ハルキがいなくなったら、自分には何も残らない。
泊まろうかと思ったけれど、もうすぐ始発が来る時間だ。
タクシーを使うほどの贅沢も残されていないから、ちょうどいい。眠りこけてるサラリーマンを横目に、ミチルは窓の外を眺めていた。
それなりに裕福な家に産まれた。
両親が他界したのはたった2年前だ。残ったのは大きくて寂しい家と財産。欲のない1人が一生を終えるには多すぎる額だった。
辛くはなかった。
むしろ開放されたかと思った。
古傷は一生残るけれど、彼らがいない世界には安寧があった。
親の事業が、大きな損失を残すまでは。
管理者責任における損害賠償だ。
大型の超豪華客船が、管理の不備によって、港を巻き込む大事故を起こした。
「設置または保存の瑕疵」、「監督義務違反」、「被害者からの賠償請求に応じる義務」として審査の通った書類には、明細と一緒に、多額の賠償金が焼き付けられていた。
今月末に差し押さえが入る。
持っているものは全て、家さえも押収され、自己破産だ。
ハルキの前から消えないといけない。
彼だけじゃない。この世から消ようと思ってる。どこか人の迷惑にならないところで、ひっそり死にたい。
つまり最低なことだって分かってる。
先月末の彼の誕生日、高額酒を入れ続けたカケを踏み倒すつもりなのだ。
(だってどうしたらいいか分からない)
返済できる額じゃない。
激怒するか、裏切られたと悲しむか?彼に嫌われたあとのことなんて考えられないから、その顔を見る前に逃げて泡になろうと思う。
だから、あと少しだけ。次こそ最後にして、お別れしないと。
(つぎこそ·····)
繰り返しながら、重たいまぶたが閉じてゆく。
眠りにつく前、出会った頃の彼の笑顔が蘇った気がした。
あの目まぐるしい店の中にいた。
これは夢だとすぐに分かった。だって、自分と彼が座っているのを、柱のそばで見守っているから。
「へぇ~、チルチルって引きこもりなの?」
記憶が飛ぶほど酒を飲んだ時だ。
たぶん、通い始めて数回目の頃。
彼にいらないことを話した。
何でもかんでも吐き出して、そしてヒックヒックと吃逆を繰り返しても、彼は何故かそばに座っていた。
「こんなトコよく来たねえ」
騒音も人も怖くて、あかりさえ怖かったと思う。
酔っ払って周りが見えなくなって、やっとどうでも良くなったのだ。
「なんで?」
彼の質問に、ソファに座った自分が答える。
(あれ?)
「へえ~」
キツネみたいな目が、スっと細くなって微笑むと、長いまつ毛をネオンがかけてゆく。
「会って数回目のホストの男にそんなこと言っちゃうんだ」
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