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🍸12話.面白いコ🍾
しおりを挟む1分程度の沈黙。
なにやら書類を眺めていた相手は、不意にこちらを流し見、手に持っていた紙をテーブルへ置いた。
「·····!ぁ·····」
売掛金の借用書と、自己破産書。
多額の売掛金が不正でないこと、厳格な審査を受けたものであるという財務省からの証明書には、未収側への返済能力の有無を開示する義務があると記載されている。
「今月末に家宅を含む全財産取り押さえ予定、支払い能力無し」
間違いないかと聞かれるが、勿論頷くことは出来ない。
「知った上で来店を続けている所からして、支払う意思もないと見受けられる」
彼の隣に佇んでいるのは専属の弁護士だろう。
ホストクラブでの高額な売掛金による借金は、浪費とみなされ、自己破産では免責されない免責不許可事由にあたるという。
「どうするつもりだったか説明していただけますか」
「こりゃ凄いや」
不意に軽快な声が加わる。
「俺も見たことないカケ金額だ。ハルキも酷いけど、ミチルちゃんも相当やるね」
返せないなんて知ったらアイツは狂うだろうなと笑うから、震えが止まらなくなる。
分からない。
どうすればいい?
別れるつもりでいたのに、別れたくなくて、突き放されたら死ぬほど辛くなった。
全部分からない。
説明を全部無くして、ただ死のうと思ってると言った。
部屋はしんと静まり返った。
そして、沈黙はつばさの大笑いに吹き飛ばされた。
「ほらダンさん、面白いやろ?このコ」
未だクククと笑いを堪えながら人差し指を頭の辺りでクルクル仰ぐ彼を無視し、ダンはため息をついた。
「死ぬのは構わないが、売掛金の支払い義務は消えない。所謂かけ飛びは詐欺ですが、金額がコレなら重犯罪になる。逃げることは出来ませんよ」
「ほ、ほんとに·····」
本当にそう思ってるのだと訴えようとしたミチルは、轟音に飛び上がった。
角の出っ張った男らしい手が、机を殴りつけたのだ。
それを冷静な雰囲気のダンがしたと理解するには、コンマ1秒かかった。
「頭のおかしい寝言は寝てから言いたまえ」
身は区で定められた施設に置かれる。生活する上で最低限を管理され、返済することになるだろう。
「仕事先に困るなら、今すぐにこちらで紹介することも出来る」
新しい契約書と詳しい話は秘書からされるというトントン拍子だ。
心臓はドクドク早い。
ハルキはどうしたんだろう。
今頃、話を聞いてるだろうか。
どんな顔をして───。
「どんな顔して、ハルキに会えばいい?」
隣で囁かれた声に、意識を引き戻される。
「だいたいそんなこと考えてる時点で、ミチルちゃんは死ねないよ」
だって死ぬつもりの人間はと、彼が続ける。
「その後のことなんて考えないんだから」
「!」
隣へ腰かけてきた彼はまだ笑ってる。
反対側を向こうとしたら、がしりと肩を抱かれた。
「そうだ、キス1回1万円でどう」
「ぁ、え·····、?」
「さっきのもカウントしていいよ。んで今からするのと合わせて2万円」
言いながら傾いてきた大きな身体に、パニックのまま動けなくなる。
いや、と呟いた声は夜風にかき消されそうなほど小さくなった。胸元を押す手はふたまわりも大きな手に覆われ、体はさらに密着する。
「それ以上なら応相談で買ったげるわ」
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