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🍸44.夜風🍾
しおりを挟む「駄目だ。俺の監視下から離すことは出来ない」
「うわっなによそのモラハラ発言。有り得ないんだけど」
「今関係ないだろう」
いっそテンポの良い会話のラリーだ。
会社の大上司を計画的に騙そうとしたということだ。
自分の加担したことがどれほど恐ろしいことだったのか、ミカの様子を見てやっと実感が湧いてくる。
彼女は自分の店を守るために必死だったのだ。
許されない過ちも、1度くらい、犯すものではないだろうか。
ミチルはそっと片手を上げた。
「お手伝いしたいです」
「は?」
「ミチルちゃん·····!!」
ダンが口を挟むより先に、彼女が隣へ飛んでくる。
「最低雇用日数がね、3時間の週3日、9時間だけでいいの。もちろん金額はそっちの契約分支払うわ。派遣料も付ける」
頬をすり寄せられる。
これこそ今全然関係ないが、意外と厚化粧だということを実感する。
ダンはついに諦めたようにため息をついた。
(良かった)
ミカとは今日知り合ったばかりだし、今までだって多くの女性と関わったことは全くないが、彼女をとても素敵な人だと思う。
だから力になれるのなら、喜んで手を貸したい。
契約内容は週3日、3時間拘束の午後19:00~22:00。
話が着いた頃には深夜24時を回る頃だった。
(眠たい·····)
「疲れただろう」
珍しく声をかけられた。
ダンだ。
彼は待機していたシンヤを呼ぶと、例の住居まで送るよう支持してくれた。
「ああ、そうだ。ミチルちゃん、明日はキャストの子1人増えるから、次の出勤は明後日にお願いね」
さっきとは打って変わってカラリとした顔のミカが言う。
「はい」
ミチルはシンヤに連れられるまま車に乗りこみ、帰路に着いた。
まだ心臓がドキドキしてる。
初めはどうなるかと思ったけれど、ひょっとして今日はなんだか、かなり上手くやったんじゃないだろうか。
「!」
ミラー越しのシンヤと目が合って、ニヤニヤしてたのに気が付かされる。
なんだかバツが悪い。
「·····ウィッグは、もう外しても良いのでは?」
忘れてた。
外したら頭が軽くなる。いつの間にかゆったりした曲が流れ出して、前方の少し空いた窓から、心地よい風が入り込んできた。
目的地へ着く前に、意識は深く沈んでいった。
2人の足音が消えると、ダンとミカはどちらともなくお互いを見やった。
懲戒処分となってもおかしくないミカの失態は、嘘を本当にすることによって帳消しされた。
ミ・カリーナに必ずミチルの身を置かせること。それさえ問題なければ、全てが丸く収まるという。
「不要な推測はするな」
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