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94.🍸おしまい🍾
しおりを挟む「はぁ·····♡はぁ♡·····ぁ·····ッ」
時間にすれば、たった1分くらいの、嘘みたいな瞬間。
真剣な瞳からは何故かこっちから避けた。
(なんで·····っ)
腰にまわった手が逃がしてくれない。
「·····それと?」
「ひぅ♡」
耳元で続きを促すように聞き返してきた声は、密度が濃くて低い。
(なんで、なんで)
組まれた長い脚がこっちを向いてる。
引き寄せられた腰がゾクゾクする。
「他には、何をしたの?」
大きな手が腿の上に置かれるから、怯えながら首を振る。
「レイさん、だめ·····っ」
彼とこんなこと、有り得ない。
怖いのに知りたくなるのは何故?
さっきまでくっついていた唇が恋しくてモジモジする自分がいた。
「他にしたことも教えてよ」
(他にしたこと)
少し窮屈そうな胸板が迫ってくる。
シャツの内側にある腿を撫でる手はとても大きい。
背徳的な大人の男の色気に、為す術もなくまた首を振る。
「レイさ·····っ」
(教えたら、どうなるの?)
ミステリアスな唇が続きを待ってる。
さっきまでこちらの口内を愛撫したのだ。
胸元を力無く押すのに、
「それじゃ、とても止められそうにない」
甘くて低い声が、耳元へキスをした。
彼の方を見るようたしなめられて、また唇を塞がれた。
背から腰を撫でられながら味わうようなキスに夢中になっていたら、イタズラに首筋をくすぐられる。
「ン·····♡♡ん·····っ♡♡」
レイのキスはおかしい。
怯える仔猫を懐柔するように、微かで優しいのに、深くて濃厚だ。
甘やかすような舌に唾液がとろける。
息も絶え絶えに、彼にされるまま目を薄める。
(お口のなか、きもちい)
いつの間にか体に力が入らなくなっていた。
鼓動は駆け足なのに、体制を保つことが出来ない。
レイに寄りかかりきった身体は熱く湿って、早い心臓の音までバレバレだろう。
そっと唇が離れたら、溶かされて麻痺した舌先から唾液がこぼれた。
「は、ぅ·····♡」
「可愛い」
吐息混じりの囁きがあまりにも甘くて恥ずかしい。
腰を支えている手が尻に触れてしまいそうで、そうじゃないのがもどかしい。
そんな事を考えている自分に混乱する。
離れないと。
バレたらおしまいだ。
彼はいなくなってしまう。
───じゃあ、隠していたら、それは彼を騙すことになるじゃないか。
片手がそっとこちらの手を覆った。
(ダメ)
おしまいだ。
(まだ、いや)
こんなことを思う自分は最低なのだ。
だって、彼のこと、もうただの別の世界の人だと思えなくなってる。
あと少しでもいいから───できるだけ長く、そばにいたいと思っている。
「───レイさん·····っ」
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