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第四章
《第23話》
しおりを挟む「そんなんじゃ、全然·····」
止められそうにありません、そう囁かれるのと同時に、蕾へ、硬く濡れた感触が押し当てられる。
「庵野、待って······っ····」
信じられなかった。
嫌悪感はない。むしろ恐怖がなければ、それは簡単に受け入れられていたかもしれない。
自分はどうなってしまったんだろう。
美しい獣を見上げる。
彼は恍惚とした表情でこちらを見つめていた。
「みずきさん·····」
"みずきくん"
その瞳を知っていた。
不意に、足を一つに束ねられる。
「っは?なに·····っ」
腿の間に、ゴリゴリしたものが差し込まれる。
それが、前後に動き始めた。
「あっ·····っ」
熱棒が動く度、孔と陰茎が擦られる。
もどかしい快楽が続いた。
「っ···や、ん····っ····あんの·····っ」
「みずき先輩っ···好きです、」
「ぁっ···んぅ·····」
耳元で、好きを繰り返し囁かれる。
熱い吐息が鼓膜を揺らす。
こんなのは知らない。
一度視線を絡めて、また唇を奪われる。
最初とは違う、貪るようなキスだ。
姫宮は必死に息を吸った。
熱いものが、腹部に飛び散る。しばらく見つめあって、口付けの予感から逃げる。
『犯された』?『襲われた』?
違う。
本気で拒絶しなかった。
心の奥底で、彼からの行為を受け入れてしまっていた。
下唇を噛む。
先に視線を逸らしたのは、姫宮だった。
[その頃3-A🐤]
「さっき食堂行ったんだけどさ·····」
「あー、見た!あれやっぱ姫宮先輩と庵野だよな」
「私も見た~。そこだけキラキラしてたもん!」
昼休みは、噂のふたりの話題で持ち切りだ。
「ほんと、妬いちゃうよね~」
俺なんてずーーーっと一緒にいるのに、少しくらい噂話されても良くない?
そうボヤく松川の軽口を、新井は豪快に笑い飛ばした。
「めんどくせえやつだな」
松川が眺めるのは、不特定多数の女の子達の連絡先。
前までのお気に入りは、近隣の学校の、バレーボール部部長。
そのひとつ前は、笑うと目元が眩しげに細められる、無邪気なギャル。
ここ最近のお気に入りは、強気な眉と、口元のほくろが少し色っぽい子。
容姿といい性格といい、これといって一貫した好みのがないように見える、松川の歴代のお気に入りの女子たち。
彼女たちには、ある人物にひとつでも共通点がある。
代わりにするにはとても似つかないが、可哀想なことに、松川は彼女たち越しに彼を見ている。
チャラ男の代名詞みたいな彼の正体は、大好きな高嶺の花子くんに告白する勇気のない、ただの意気地無しだ。
オマケに、いつもやってる恋愛ゲームの推しキャラの名前は、みつきちゃんらしい。
「ぶっ」
それを知っているただ1人のクラスメイト、新井は、耐えきれずコーラを吹き出した。
バスケットボールというスポーツに、大それた執着は持ち合わせていなかった。
身長が高いからと、顧問にしつこく勧誘された。
そんな訳で、何となく始めただけだった。
にも関わらず、記憶の中では、コート上を駆け回っていた光景がまぶしい思い出としてフラッシュバックする。
どう考えても、あの先輩のせいだ。
一年生の春。
初めての部活動の日、更衣月は練習時間に遅れてアリーナに到着した。
すでにアップの済んだ部員達が、それぞれの練習メニューをこなしている。
悪びれる様子なく顔を出した更衣月に、1人の人物が裁きの鉄槌を下した。
バスケ部の次期部長、姫宮みずき。
細い線の、年上の男だった。綺麗というか、変な気分にさせる雰囲気の奴だった。
くらったのは、咆哮と、強烈な肩パンチ。
反省文まで提出させられ、くどくどと説教をくらった。
初めての事だった。
いままで、練習をサボっても咎められることは無かった。道徳的な台詞を吐く教師がアホらしくて放っておいたら、彼らも何も言わなくなった。
つまり上辺だけで、誰も更衣月自身を叱るなんてことは無かった。
ほどほどにしとけよと呑気に笑っていられたのは、姫宮を知る二年生と三年生。
新入部員は、皆唖然とした顔で、制裁を受ける更衣月を見ていた。
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