上 下
35 / 49
第六章

《第34話》本当の名前

しおりを挟む







「んっ!···や、だ···っ、···あんの·····っ····や····!」

「嫌なわけ、無いですよね?」

「っ、!?」


奥のしこりのような部分を、連続して圧される。
訳の分からぬ快楽に、目を見開く。
背は海老反りになって、足が痙攣するように震えた。


「ひ、っや、そこ、っ···あっ───!」


とうとう押しあがってきた何かが頂点へ達して、大きく体が跳ねる。
びく、びくびくっ、と筋肉が痙攣する。
尻の穴は忙しなく強弱した。


「はぁ·····はぁっ·····は·····んっ」


舐めるような口付けを落とされる。


「名前で呼んでください·····」


濡れた声は姫宮の耳を伝い、腹にゾクゾクした響きをもたらした。


「あ、んの···っあっ·····っ···!」


1度止まった指が、ズルズルと動き出す。


「違います、みずきさん」


ブラウンの瞳を見つめても、彼が何を考えているかは分からない。
一度尻で達してしまったあとは、内側が馬鹿になったみたいに、快楽を得ることしか考えられなくなった。

昼に、美しい所作で食事をしていた庵野の、長くしなやかな指を思い出す。
それが、今、自分のナカを執拗に愛撫している。

角張った指の折れ目が、抜き差しされる度に少し苦しい。
おかしくなってしまいそうだ。

カチャカチャとベルトを外す音がした。
目の前に、重たそうな雄が飛び出す。
姫宮はぎょっとした。


「や、なに、すっ·····んんっ···」


庵野の唇に、唇を啄まれる。
熱い舌に、脳が惚けてゆく。


「····名前、呼んでください」


俺の名前、と、繰り返し言った庵野の指が抜かれる。
奥がジンジンと熱い。
閉じかけた足を両手で開かれる。

姫宮は唖然として庵野を見上げていた。

どうして、お前がそんな顔してんだよ。
ぐるぐる回る頭で、不意に、庵野と幼い少年が重なる。


「·····みやび?」


少年の名前と、目の前の美男子の名前が一致する?
あ、と思った頃、彼のペニスがそこへ押し付けられていた。


「あ、うそ·····───っ!」


ずぷっ、と、音がする。
重圧に押しつぶされる。
目の前で火花がちった。


「あっ·····ふ、かっ·····」


目を見開いた先で、彼は笑っていた。
色の濃くなった瞳がこちらを見つめ、湿った唇が、美しく弧を描いている。
少しの間、1寸の狂いもなく作り上げられたような男の顔に、目が離せなくなった。


「······───あんっ」


更に奥まで押し広げられる感覚。
恐らく規格外な大きさだ。
言葉にならない喘ぎが漏れた。

再び、何度目かもわからぬ口付けで、拒絶しようとした言葉を塞がれる。
深く口付けされながら、それが動きだす。

圧迫感と息苦しさと、耐え難い快感。
神経を直接撫でられるような感覚に、震えが止まらない。

逃げることなど到底できず、何度も奥を擦り付けられた。


「名前、呼んでよ」


何度も粘膜を擦った肉が止まる。


「み、やび」

「みずきさん·····」


庵野はため息をついた。
突かれる度、奥は強く締められ、さらに内側へと誘われているみたいだ。


「もっと俺のペニスで嬲って欲しいって···甘えてるみたいだ」

「ち、がっ·····あっ···、あ、あっ···ひっ」


浅い所だけを擦ってやると、ぱちゅ、ぱちゅ、と遊ぶような水音が漏れた。
しばらくそうしてやると、姫宮は物足りなさそうに眉を下げる。

先程より奥に、欲望を叩き込む。
姫宮のつま先がピンと伸ばされ、しかしそこで、庵野は動きを止めた。


「あっ···」

「どうして欲しいですか?」

「やっ····み、やび··········もぅ······っ」


真っ赤な顔。目元が潤んでいる。
泣きそうだ。
泣かせたい。

俺のものを咥えこんで涎を流すこの人を、感覚が無くなるまでいじめて、ぐちゃぐちゃにしたい。
熟れた乳首をピンと指で弾くと、甘い声が漏れた。


「みやびっ·····」


名前を呼びながら、きゅっ、と奥が締め付けられる。
先に限界を迎えたのは庵野だった。

ついに根元まで押し付け、再び奥を擦り始める。


「あぁっ!ひ、ゃんっ、あ、あっ、んっ」

「みずきさんっ···中に、出してもいいですか?」


姫宮には聞こえていない。

その一層奥へ、濃い欲を打ち付ける。
喰う様なキスを交わして、じっくりと奥を舐め上げてやる。


「ンン────!!」


打ち付けられる感覚は、とても長く感じられた。
熱いものが腹の中を満たして、苦しくてたまらなくなる。


「ひんっ」


意識が飛びそうになって、姫宮は舌を噛んだ。
再び、終わることを知らない快楽を与えられる。
香ってきた彼のコロンの香りに、目を薄めた。































しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

彼の素顔は誰も知らない

BL / 完結 24h.ポイント:497pt お気に入り:49

残虐王

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:151

不運な花嫁は強運な砂漠の王に愛される

BL / 連載中 24h.ポイント:227pt お気に入り:247

ノー・ウォリーズ

BL / 完結 24h.ポイント:816pt お気に入り:5

【完結】悪役令息に転生した社畜は物語を変えたい。

BL / 完結 24h.ポイント:951pt お気に入り:4,768

2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:1,327

【初恋よりも甘い恋なんて】本編・番外編完結💖

BL / 完結 24h.ポイント:489pt お気に入り:1,499

処理中です...