【完結】高嶺のバスケ部主将(ヤンデレ後輩&不良後輩×世話焼き先輩)

亜依流.@.@

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第六章

《第35話》みやび

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部屋は薄暗く、視界が悪い。
時刻は、8時半を回っていた。


「ひっ···ぃ、っン、···はぁ、っあっ···~~っ」


ベッドの軋む音に合わせ、熱の篭った喘ぎが漏れる。
姫宮のそこは腹に付かんばかりに立ち上がり、先端からは、とめどなく透明な液がこぼれ落ちていた。

力の入らなくなった足を広げられ、何度も打ち付けられる。
もう、尻の感覚はないのに、とろけた肉壁が快楽を感じて締め付けられる。

そんな所、これ以上擦られたら、壊れてしまう。
何度もそう思って、最初にそんなことを思ってから、もうどれだけ時間が経っただろうか。


「ひ、ぅ、っも、や゛…ひぃ───っ♡」


ぱちゅんっ!と、一際大きな音が、姫宮の尻を叩いた。


「あんっ」


女みたいな声が漏れる。
その声に姫宮自身が驚き、見開いた目元は、弱々しく俯かれた。


「みずきさん」

同性の後輩の、ぬれた声が聞こえる。


「奥、強く叩かれるの、好きですか?」

「やっ···ナカ、もっ、おかしく、なっちゃ···っ···」


庵野はその後も、力強くペニスを擦り付けた。


「っン!あっあ、だめ、ぇっ···あんっ」

「みずきさんっ···きもちぃ?ナカ、もっと···」


俺でいっぱいに、と、這うような低音が、神経を撫でする。


「も、だ、めっ!あっ!あぁっ·····♡」


痛みなど、もう全くなかった。
熱い唇が、半開きになった唇にかぶりつく。
これで何度目かもわからないが、その間も尻に与えられる快感の暴力は、止まらなかった。

姫宮は精一杯の抵抗のつもりで、身を攀じる。
でも、逃げているのか、堪らず腰を動かしているのか、もう自分でも分からない。


「イ·····~~~っ♡」


気持ちいい。


「みずきさん、みずきさん·····」


甘えてくるナカを何度も嬲り、口を塞ぐ。
うっとりとしていた瞳はとうとう閉じられた。

すやすやと規則正しい寝息が聞こえてくる。

そっと頬を撫でる。
陶器のように白く滑らかな肌が、まだ少し火照っていた。


『みやび』


確かに、自分の名前を呼んだ、姫宮の声。
自分を欲しがって紡がれた言葉が、何度も脳内で木霊する。


「·····」


あなたが欲しくて堪らない。
先程のように快楽で支配して、自分を欲しがらせたかった訳では無い。

首筋を唇で愛撫する。
動物の本能上、自分の支配下に置きたい相手の首元へ噛みつく癖があるというのは、あながち嘘ではないらしい。
この部屋にいては、また彼を、欲望のままに貪ってしまいそうだ。

庵野は後始末を終えると、そっと部屋を出た。






























目が覚めてから、しばらくぼうっとしていた。
静かな部屋に自分以外の生き物はいないようだ。
わずかに、あの後輩の香りがした。

そっと起き上がると尻が鈍く痛んだ。
サイドテーブルに、手紙が書き置きされていた。

家のものを好きに使って良いということや、運転手を待機させているという内容だ。
流れるように、しかし読みやすい美しい文字は、何故か庵野の文字らしいと思った。

シャワーを浴び、いつの間にか綺麗になっている制服へ袖を通す。

少し迷いそうになりながらリビングへ向かう。
ラップをかけられた皿が、テーブルの上で待機していた。

スクランブルエッグとベーコン、人参のグラッセに、付け合せまで用意されている。
他の皿には、こんがりと焼かれたパン、グレーと金の縁が美しいマグカップに、白いポタージュがたっぷりと注がれていた。

まだ心做しか温かく感じる。
食べ物の匂いが鼻をかすめると、ぐうう、と腹が鳴った。

あんなコトをしてしまった日の翌朝ですら、人間の腹はすくらしい。
無造作にスープを飲み込む。

生活感のない部屋は、やはり寂しかった。
外へ出ると、庭の向こうのポーチに、例の車が停まっていた。
佇んでいる運転士が、姫宮に気づいたようで、深々と礼をする。

50代後半ほどの、目じりの垂れ下がった、優しい印象の初老だ。
庵野の事を聞くと、彼は今から30分ほど前に学校へ向かったと返答が来た。

姫宮が乗り込むと、車は滑るように走り出した。

みやび。
中学生の頃、公園でよく一緒に遊んでいた少年と同じ名前だ。






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