骸の王~異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

パブロフ

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4章

108話

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その後、ブラックキャット傭兵団は全員アルカディア軍の兵站部隊に入ることになった。

報酬は傭兵稼業の時よりも少ないそうだが、福利厚生がしっかりしている事から満足しているようだ。

宿舎は無料で利用可能、怪我した際の治療費も無料。

更には、引退後の就職先も功績によって斡旋してくれる。

傭兵時代では考えられない程の手当てらしい。

彼らの任務は宿場町の建設の際に使われる材料の運搬であった。

宿場町が完成した際はそこを拠点にアルカディア本国や砦に人や物資を運搬する。

一方一郎はアルカディアの大工と話合いながら、外壁を作りから始まり、上下水の基礎工事を行った。

時折、森の中からモンスターの反応があったが、一郎達のいる建設予定地 に近づかなかった。

今回の依頼はモンスターの討伐ではなく建設である。

襲って来ないのであれば、こちらからモンスターを下手に刺激することも無いだろう。

基礎工事が終わると街道と宿場町を結ぶ道を作る。

基本的には宿場町で一泊してから向かうことを想定しているが、軍を移動する際に一々宿場町を通らない場合も考え、新たに道を作り宿場町に繋げた。

門は二つ、アルカディア方向と南の砦方向の続く道である。二つの入り口から続く道は町の中でも主導線でつながっている。
そして通路の脇には馬宿や宿泊施設の区画にした。

今回の報酬である、土地はこの地区に1つ頂く。ゆくゆくはアルビーに運用してもらうことにする。

宿泊街の奥は馬具の工房や商店を集中的に集めた通りを作る。

川に一番近い所は宿場町の住民の住居である。

馬の育成施設はまだ出来ていないが宿場町の発展具合を見て決めてもらう事にした。

そんなこんなで地道な宿場町の土台を地道に作り上げわずか1ヶ月で任務内容まで終わらせた。

外壁は人が歩ける幅を作り等間隔に見張りの櫓を作った。

外敵が攻めて来てもアルカディア本国からの援軍が来るまで防衛できるだろう。

後の施設の建築はアルカディアからきた建築のプロに任せる。

次は気球船の作成である。

宿場町のこともあり、錬金ギルドからの職人達任せていた為、進捗状況を確認していなかった。

アルカディアの新居予定地の中に建てられた、錬金工房に入ってみると凄まじい光景が目の前に広がる。

鉄製のドーム型の工房の中は熱気に包まれており、鬼気迫る勢いで研究をしている職人達がいた。

「これは一体…」

一郎に気がついた職員走り駆けつける。

「所長遂に気球船に取り付けるバーナーの試作品完成しました」

はっまだ気球船の説明して1ヶ月だぞ?どうしたらそんな短時間でできるんだ?

確かに工房の中心には試作品と思われる金属製のバーナーがある。

「もう出来たんですか?」

「はい。アルビーの商会が研究に全面協力していただいたお陰で何とか作り上げることができました」

なんかすでに徹夜を数日繰り返したような顔の男が目をギラギラしながら答えた。

なにこのブラック企業、うちの工房がこんな労働環境になっているとは思わなかった…

一郎が唖然としていると、後ろからその仕掛け人がやって来た。

「あら?一郎さん宿場町の依頼は終わったのですか?」

「えぇ…久しぶりに気球船の進捗状況を見に来たのですが何ですかこの状況?」

「妾が微力ながら援助したら職員の皆さんが張り切っちゃって進みが良いようですね。
さて、それでは皆さんこれから休憩を兼ねて妾の商会の職員と合同でランチにしましょうか?」

周りから一斉に歓声が上がる。技術者達のテンションが何故か異常に高かった。

頭を傾げた一郎だったがその後答えはすぐにわかった。

移動してみると、商会の女性達と豪華な食事が待ち受けていた。

女性社員は綺麗どころを集めに集めている。

中にはリバーウッドの高級酒場で人気トップの女性も混じっていた。

服装もキャバ嬢のような際どい格好で目のやり場に困る。

鼻の下をだらしなく伸ばした職員が正に羽を伸ばしていた。

中には自分が出来る男だとアピールする様に自分達の研究成果を発表していた。

女性社員は聞き上手でもあった、

そして豪華な料理をよく見るとちょいちょい体力回復ポーション入りのドレッシングやら
酒の代わりにスタミナポーションを呑ませていた。

これなら研究時の疲労は良い意味で吹っ飛ぶだろう。

「これぞ女の力です。
彼女達も将来の優秀な錬金術さん達と、お近づきになれるのでwin=winですわ」

乾いた笑いをあげるしか出来ない一郎であった。
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