骸の王～異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

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４章

107話

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一郎はアルカディアの森への護衛に参加する。

「ヤマトさん。前方100メートル先からレッドベア接近中です。私が排除しますね」

「えぇ…お願いします。」

すでに展開しているブラッドスケルトン10体が、赤い風のように森を駆け抜ける。

程なくして前方で悲痛な鳴き声が森に響き渡り、その先を進むと横たわるレッドベアの亡骸とスケルトンが立っていた。

「いや～夕飯のご馳走がで取れましたね。
今夜はレッドベアのステーキがご馳走できそうです」

一郎は倒したレッドベアの亡骸をマジックバッグに収納する。

「ははは一郎さんのスケルトンは規格外ですね護衛の仕事がなくなりそうです」

「何を仰いますか、私一人では出来ることはたかが知れてます。
ブラックキャットさんの護衛の隊列や動きは、私にとって勉強になります」

森を通る際、何度かモンスターと遭遇したが、やはりブラックキャットの連携は優秀である。

護衛対象の商人一番安全な場所に避難させ防衛体制をとる。

地形に合わせて隊列を調整する彼らは、アルカディア軍よりも優れていた。

そして集中力を持続させる配置転換は素晴らしいの一言に尽きる。

「しかし、私達の団は近いうち解散するかも知れません…」

「なぜですか？」

「傭兵の宿命なのですが、根無し草のリスクの高い護衛任務から安定した生活を望むメンバーがおり、護衛ができなくなりますので…」

成る程たしかに護衛は距離に応じて補修が高くなりその護衛経路は様々である。

需要は常に変動する為定住することが難しい。

長く行うことは難しいのかも知れない。

「もしかしたら安定した働き口が用意できるかも知れませんねぇ」

一郎はアルカディア軍で護送任務専門家が不足していることや、これから出来る魔法学校の教員の口利きを話した。

「後、アルカディアと宿場町の間のみの護衛隊を編成する予定なのです馬や馬車の管理できる人が必要不可欠になるのですが」

話をするとヤマト含めブラックキャット一同は興味を示した。

「その話本当ですか？」

「えぇこの国の女王には面識があるので提案して連絡して見ますね」

早速一郎は鳥に手紙を結びアルカディアに向けて飛ばす。

「一郎さんは顔が広いと思ってましたが、ここまでとは思いませんでした」

ヤマトに呆れながら言われたが、彼らとは護衛の任務を共に受けた仲間である。

仕事の丁寧さから十分信頼のできるからこその提案であった。

その被害もなく、アルカディアに到着する。

商人の護衛が終わった後、早速ビアーズの青空酒場で夕食会である。

「ビアーズさん良いクマが取れたので、これで料理つくってくれませんか？余った材料は食材の足しにしてください」

「旦那また大物持って来たな、肉はタダ同然で手に入るからありがたいが、本当にいつも良いのか？」

「一人で溜め込んでも使い道ないからね。有効利用できる人が持っていた方がいいでしょう？」

「よし、最高の料理作ってやるから酒でも飲んで待っててくれ」

ビアーズは食材を受け取り、厨房に向かう。

その後、ブラックキャットと飲み会が始まる。

通しできたサラダと漬物をつまみながら会話が弾む。

しばらくすると、昨日と同じ状況になる。

この国の女王様の登場である。なんてフットワークが軽いのだろう。

今回はしっかりと護衛をつけているので、良しとしよう。

「一郎さん手紙を読みました。
宿場町を護衛と護送の拠点にする素晴らしい考えを採用したいと思います。
優秀な人達まで紹介して頂けるとのことで、また来ちゃいました」

また来ちゃいましたって…

「ヤマトさん道中で話に出て来た女王様です」

ため息をついた後紹介すると、ブラックキャットの面々は信じられないようで笑い出す。

「一郎さん面白い冗談を国のトップがこんな気軽に来るわけないじゃないですか！」

ですよね…普通一国の王は、城の中からよっぽどなことがに限り出てこない。
ましてや、一介の傭兵に逢いに庶民派の酒場には来るはずないのである。

この国はどこか常識から外れているのかも知れない。

「はじめまして私はアルカディアの女王“ジャンヌ”と申します。
まだまだ名ばかりの王で皆様に支えられながら国を運営しております。
もしよろしければ、ブラックキャット傭兵団にも協力していただきたいのです」

ヤマトがこっちを観ると一郎は黙って頷く。

ブラックキャットの面々は食事をやめ、顔を青くしていた。

「まぁアルカディアの女王はなぜか庶民派なので気にしなくて大丈夫ですよ。ネイガー学長の女性版みたいな感じの接し方で問題ないです」

「国のトップを前にしてものすごいといってますね…一郎さんの人脈は底が知れない」

唖然としているヤマトをよそに女王話を始める。

内容は宿場町の詳しい計画である。

酒場するような話ではないのだが、昨日も同じようなことをしたので問題ないと思う。

「では区画は宿屋と馬宿に護衛者達宿舎それにウマの飼育場と馬車の工房ですね」
「そうですね。野営設営をする時間が短縮できるのでこれで1日1往復することも可能になる予定です。

護衛も移動中のみに専念できればリスクも減るでしょう。

アルカディア軍主導で有料の護衛便を作れば、こちらの利益にもなります」

「そうですね。安全な移動手段が定期的に運行すればこれまで以上に物や人が動きますから、国の発展に拍車がかかりますね。
ではブラックキャットさん達がよろしければ護衛兵の訓練や指揮を任せたいのですが…」

「条件次第になりますが、前向きに検討させていただきたいです」

話し合いの最中、ニンニクと香草の香ばしいに匂いと共にレッドベアーの分厚いステーキがやってきた。

「ほら話し合いも良いがお待ちかねの肉料理だ。冷めないうち食べてくれよ」

鉄板の上に温野菜と共に乗せられたメインディッシュ。

話し合いを中断し、ご馳走に舌鼓する一同であった。

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