骸の王～異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

４章

120話

奇襲は一つタイミングを間違えると意味の無い玉砕に終わる。

今回はクレイモア入りベストの輩達のおかげで、依頼のリストに上がっていた輩の位置はある程度、誘導ができている。

一郎は幻影の杖でカモフラージュしたスケルトンドラゴンに乗り、ワイルドランス国の上空を飛ぶ。

飛び立つ前にスケルトンドラゴンの肋骨の間には奇襲部隊のブラッドスケルトンを待機させてある。

今回のブラッドスケルトンの装備は手斧に小型の円形の盾、そしてクレイモア付きのベストを着せる。

機動性重視の装備で襲撃に手間がかかった時はクレイモアによる自爆で敵兵を素早く倒す為の装備である。

そしてスケルトンフォレストウルフにマキビシ入りタル爆弾を括り付け準備完了である。

深夜も深くなってもワイルドランス国の中央の館は賑わっていた。

しかし、館以外のワイルドランス国内は人通りが少ない。

数日間の鳥での偵察の時と同じ状態になっていた。

外壁の警備はザルだが、この館の周りはやけに護衛が厳重である。

一郎は予定通り外壁周りから攻略を開始する。



しばらくすると誰も見ていない外壁の上空から何本も縄が垂れ下がる。

そしてそこからブラッドスケルトンの部隊が降りていった。

最後のブラッドスケルトンはスケルトンフォレストウルフを下ろし第一段階が終了する。

降り立った部隊は外壁の通路沿いに二手に分かれ、酔っ払ったワイルドランスの兵を音も無く始末していく。

一郎は同じ作業を2回程行い、外壁の上は程なくして制圧完了。

第２段階として、一郎は縄を伝って外壁の通路に座り込む。

そしてスケルトンゴブリンをを召喚し、彼らに外壁を登る階段という階段に鉄のイバラをとクレイモアを設置する。

その後、外壁の見張り台の上にはマキビシ入りタル爆弾を抱えたスケルトンフォレストウルフを外壁の正門と裏門にはブラッドスケルトンで奇襲を行う。

酒を飲み睡魔と戦っていた護衛兵はなすすべもなく命を刈り取られた。

「制圧に時間がかかるようならばクレイモアで玉砕するつもりでしたが、少々拍子抜けですね」

ブツブツと呟きながら一郎は次の指示を行う。

スケルトンフォレストウルフのマキビシ入りタル爆弾を一斉に爆発である。

そして爆発のタイミングに合わせてワイルドランス国上空をスケルトンドラゴンで低空飛行を行う。

ワイルドランス国内は大混乱に陥った。

外壁内は逃げ纏う人々が溢れかえる。

正門と裏門には制圧したブラッドスケルトンが待ち構え外壁伝いに逃げようにも鉄の荊が行く手を塞ぐ。

上空を見上げればスケルトンドラゴンが骨をきしませながら飛んでいる。

一郎がが外壁上の通路から様子を見ても街中の混乱の様子を見て取れた。

そこで潜ませていたベスト付きの輩に指示をした。

「混乱に乗じて館の扉と外壁正門の扉を閉じてください」

程なくしてベストを着た輩が二手に分かれ正門と館の扉に移動して行動に移す。

館の扉を閉じた輩から連絡が来た時一郎はスケルトンドラゴン館の扉の前に着陸させ、魔法を解除した。

すると扉の前に骨の山が扉を塞ぎ通ることができなくなった。

一郎はアルカディア産の魔力回復ポーションをがぶ飲みし魔力の回復に取り掛かる。

「ふ～とりあえず混乱に乗じて門を塞ぐこと成功ですね」

無差別に虐殺するだけならばこんなに回りくどいことはしないが、今後のアルカディア発展の為の国民確保の意味も兼ねている為、人的被害は少なくする。

しばらくすると一番外側の鉄条網の門を守っていた兵がら敷物が正門にやって来たが、正門の扉は閉ざされ、外壁の上に並び立つスケルトンの兵を見て尻込みしていた。

今回の奇襲でワイルドランス国の外壁の内側は混乱していたが、外壁の外側と鉄条網の囲いの間にある難民街の被害はほとんどない。

奇襲は成功したと言える。

依頼内容の主目的はセントフリーとワイルドランス国内の指定の輩の排除。

しかし、一郎にとって依頼が完遂しなくても、さほど問題はない。

ワイルドランスを攻め込む為の大義名分のようなものがあれば十分だった。

この機会にワイルドランス国に囚われていた人達を解放し、アルカディアの人口が増えれば、将来的には大きな利益になる。

もし予想以上に自分の立場が悪くなった場合は、モハべ共和国に戻れば良いのである。

魔力が回復して来たところで一郎は外壁の正門に移動し、正門付近に待機していた輩に横断幕と排除リストを持たせ、外壁の外側と内側の人々に指示を行わせた。

そして、クレイモアベストを着た輩どもは松明を片手に町中を歩き始めた。

内容は以下の通りである。

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骸の王より皆さんにお知らせです。
セントフリーの依頼で悪人を捕まえにまいりました。
リストに載っている人物を外壁の正門に連れてくれば報奨金が出ます奮ってご参加ください。
尚スケルトンと外壁に付かずかなければこちらから攻撃することはありません。
ご安心ください。
追伸：翌日にアルカディアへの商団が来ます。希望の方は是非お越しください。
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初めは建物やテントの中で様子を見ていたが、次第に住民が興味を示し始めた。

ある者は松明を持ちある者は刃物を持ってリスト片手に徘徊し始めた。

望遠鏡で様子を見たがとても堅気の者とは思えないいでたちである。

おそらくリストに載っていない輩が目先の金欲しさに動きだしたのだろう。

そして朝になるとボコボコにされたリストの輩とそれを捉えた人々が集まり始めた。