骸の王～異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

４章

119話

一夜明け、一郎は、尋問前の輩が多くいる鉄条網の柵に向かう。

禿げ上がった中年の男はボコボコにされて顔も腫れ上がっていた。

昨日の尋問で必要な情報は手に入った為、次の作戦に向けての行動を開始する。

一郎は再びゾンビを召喚、そしてクレイモアを内側に縫い付けたベストをスケルトンに持たせ説明を始める。

「皆さん大変申し訳ないのですが、昨日情報を整理した結果。もう尋問する必要がなくなりました」

鉄条網の中にいる輩は騒ぎ始め命乞いする者も現れた。

一郎はそんな姿を満面の笑みで話し始める。

「ここで貴方達に最後のチャンスを与えます。
私の命令通りに動いてくれたら、命だけは助けましょう」

真剣な表情で話を聞く輩達。

その後一郎は10着程、クレイモアを縫い付けたベストを放り投げる。

「あなた方の中から10人選んでそこのベストを着てください。
そして、ベストを着た人が私のいう通りに行動できたら、全員命は助けましょう。
ちなみに途中で逃亡した場合、全員爆破しますので後悔のない様に昼迄に選んでくださいね」

今回の作戦はワイルドランス国内の住民の被害を減らす一環である。

助けられる人は多いに越したことはない。

一郎は輩達が決めるまで紅茶片手に気長に待っていると、アルビーから連絡が入る。「妾は昼頃には指定された着きそうですが、一郎さんの状況はどうですか？」

「あぁ順調に進んでいます。に酔っ払った輩がいるから、罪人としてセントフリーに送ってもらえるとありがたい。その後の処罰はヴィンセントさんに任せましょう」

しばらくすると尋問前の輩の一人が一郎を呼んだ。

どうやら人選が決まったようで、意を決した様にクレイモアが縫い付けてあるベストを着ていた。

その中には禿げ上がった中年の男と上半身裸の男は入っていなかった。

まぁ入っていても結果が伴えば問題ないの一郎は話を進める。

「それではベストを着た人にはワイルドランスの一番栄えている館に重要人物を集めてもらいたいのです。
そうですね～上物奴隷を手に入れたからオークションにかけたいとでも言ってください。その後のことは追ってこちらから伝えます」

その後アルビーの商隊と合流する。

それを見た一郎は唖然とする。後方の列が見えないほど馬車の数そしてその周囲を守る護衛の傭兵の数異様な風景であった。

「ものすごい規模だな…これから戦争でも行うのか？」

「難民の数に応じての妥当な規模です。こちらの傭兵はリバーウッドのガーディアンズを中心に雇って着ましたわ」

そういえばリバーウッドでの顔見知りの面々を見かける。

彼らに任せておけばモンスターから守る分には問題ないだろう。

一郎は早速酔っ払った輩を渡し、破損の少ない輩の馬車と馬を直して、ベストを着た輩をワイルドランスに向かわせるのであった。