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2章
40話
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ベッドから這い出た一郎は重たい瞼を水で洗い護衛任務の際に余った食料とハーブティーで朝飯を早々に済ませる。
やはりベッドで寝ると疲れの取れ方が違う。
やはり馬車に揺られながら寝るのとは睡眠の質が段違いである。
「今度フィートの親方に野宿用の簡易ベッド作成の相談でもしようかな。
長距離移動の馬車には需要があるかもしれない」
そんなことを考えながら早速ネイガー宅に向かって歩き出す。
途中に横切る広場では森で取れる果実や木の実に加え、リバーウッド内で畑を作って栽培されたイモが売られていた。
もともと自然に自生していたイモを肥料を与えて育てたところ自然のイモよりも一回り大きく、
また熱を加えるとほのかな甘みとホクホクとした食感で住民に人気がある。
リザードマン達の寝床の横に併設されていた小さな畑は一郎がセントロイス王国の軍と戦闘していた時に、
住民達が規模を拡大して色々な食料を栽培した時に生まれた産物である。
森の恵みが豊富なリバーウッド周辺だが、採取するには知識とモンスター遭遇時のリスクが生まれる。
安全に収穫ができる畑は食料の安定供給と雇用が生まれ、リバーウッドを潤す一因になっていた。
何よりこのイモは日持ちがする為、緊急時の食料としてリバーウッドの食料庫に保存されている。
一歩一歩か確実に安全で豊かになっていくリバーウッドの街並みを見ながら進むとネイガー宅の前に着いた。
中に入るとそこではいつもの光景であるネイガー率いる戦闘ガチ勢が早朝訓練をしている。
リバーウッドに着いたばかりのドワーフ達も数名参加しているようだ。
そしてその中にはあのバンナム村長もいた。
今はネイガー村長と模擬戦を行なっているがその光景はとても老人の動きではなかった。
素手のネイガーに対し、バンナム村長は木製でできた練習用の片手斧と円形の盾である。
ネイガーがフェイントを交えて変則的な攻撃するが、バンナムは軽快なステップと盾さばきで攻撃をいなし、片手斧でカウンターを繰り出している。
一郎には二人の動きが早すぎて目で追うのがやっとであった。
こちらの世界の村長は何故もこう肉体派が多いのだろうか?
一郎は朝練が終わった後ネイガーに護衛依頼で見てきた様子を報告する。
「ふむ…バンナムからも聞いたが、山周辺の集落や村の避難は今後も増えるだろう」
「そうですね。更に今ままで噴火した山周辺に生息していたモンスター含め、環境が変化する可能性がありますね」
「避難してきた村民の一時保護の場所が必要だな…一郎何か良い案はあるかな?」
「リバーウッドの外壁を広げる方法といっその事街道沿いに仮設村や集落の土台を作るのもいいかもしれませんね。
先日貴族から解放した街とリバーウッドの街道沿いには今まで国境付近の為、
村がありませんでしたからこれを機に開拓しても良いかもしれません」
「うむ、では早速今夜各々の代表者を集めて今後のことをみんなで決めるぞ。
当然一郎にも参加してもらうからな」
ネイガーの一言で今夜の会議が決まった。
夜の会議までの間一郎は傭兵ギルドに向かい報酬を受け取り、のんびりと過ごす。
リバーウッドは一郎が当初来た時と比べおおきく変わった。
広場では子供達の笑い声が聞こえ、市場は活気に溢れている。
そしてリバーウッド周辺の地域は質の上がった傭兵達によってモンスターを間引くことによりモンスター被害は減っている。
この発展に自分も貢献できた事を一郎は誇りに思っていた。
異世界に来る前の世間の評価は只のゲームオタク。
自分の知識はゲーム内のランクが上がるだけで何の生産性もなかった。
そう考えると巻き込まれて召喚された事は喜ばしい事だったのかもしれない。
そんな事を考えながらひと時の休息を満喫する一郎であった。
やはりベッドで寝ると疲れの取れ方が違う。
やはり馬車に揺られながら寝るのとは睡眠の質が段違いである。
「今度フィートの親方に野宿用の簡易ベッド作成の相談でもしようかな。
長距離移動の馬車には需要があるかもしれない」
そんなことを考えながら早速ネイガー宅に向かって歩き出す。
途中に横切る広場では森で取れる果実や木の実に加え、リバーウッド内で畑を作って栽培されたイモが売られていた。
もともと自然に自生していたイモを肥料を与えて育てたところ自然のイモよりも一回り大きく、
また熱を加えるとほのかな甘みとホクホクとした食感で住民に人気がある。
リザードマン達の寝床の横に併設されていた小さな畑は一郎がセントロイス王国の軍と戦闘していた時に、
住民達が規模を拡大して色々な食料を栽培した時に生まれた産物である。
森の恵みが豊富なリバーウッド周辺だが、採取するには知識とモンスター遭遇時のリスクが生まれる。
安全に収穫ができる畑は食料の安定供給と雇用が生まれ、リバーウッドを潤す一因になっていた。
何よりこのイモは日持ちがする為、緊急時の食料としてリバーウッドの食料庫に保存されている。
一歩一歩か確実に安全で豊かになっていくリバーウッドの街並みを見ながら進むとネイガー宅の前に着いた。
中に入るとそこではいつもの光景であるネイガー率いる戦闘ガチ勢が早朝訓練をしている。
リバーウッドに着いたばかりのドワーフ達も数名参加しているようだ。
そしてその中にはあのバンナム村長もいた。
今はネイガー村長と模擬戦を行なっているがその光景はとても老人の動きではなかった。
素手のネイガーに対し、バンナム村長は木製でできた練習用の片手斧と円形の盾である。
ネイガーがフェイントを交えて変則的な攻撃するが、バンナムは軽快なステップと盾さばきで攻撃をいなし、片手斧でカウンターを繰り出している。
一郎には二人の動きが早すぎて目で追うのがやっとであった。
こちらの世界の村長は何故もこう肉体派が多いのだろうか?
一郎は朝練が終わった後ネイガーに護衛依頼で見てきた様子を報告する。
「ふむ…バンナムからも聞いたが、山周辺の集落や村の避難は今後も増えるだろう」
「そうですね。更に今ままで噴火した山周辺に生息していたモンスター含め、環境が変化する可能性がありますね」
「避難してきた村民の一時保護の場所が必要だな…一郎何か良い案はあるかな?」
「リバーウッドの外壁を広げる方法といっその事街道沿いに仮設村や集落の土台を作るのもいいかもしれませんね。
先日貴族から解放した街とリバーウッドの街道沿いには今まで国境付近の為、
村がありませんでしたからこれを機に開拓しても良いかもしれません」
「うむ、では早速今夜各々の代表者を集めて今後のことをみんなで決めるぞ。
当然一郎にも参加してもらうからな」
ネイガーの一言で今夜の会議が決まった。
夜の会議までの間一郎は傭兵ギルドに向かい報酬を受け取り、のんびりと過ごす。
リバーウッドは一郎が当初来た時と比べおおきく変わった。
広場では子供達の笑い声が聞こえ、市場は活気に溢れている。
そしてリバーウッド周辺の地域は質の上がった傭兵達によってモンスターを間引くことによりモンスター被害は減っている。
この発展に自分も貢献できた事を一郎は誇りに思っていた。
異世界に来る前の世間の評価は只のゲームオタク。
自分の知識はゲーム内のランクが上がるだけで何の生産性もなかった。
そう考えると巻き込まれて召喚された事は喜ばしい事だったのかもしれない。
そんな事を考えながらひと時の休息を満喫する一郎であった。
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