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2章
75話
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一郎の自宅は1ヶ月余りで持ち主本人がわからないほど改装されていた。
外壁は白を基調とした清潔感の色に塗り直されており、入り口以前の3倍ほど広くなっている。
内装は所々に植物か飾られ、淡く光るランプが天井に等間隔で吊るされており温か味のある店内である。
店内ではカウンター越しの女性店員が注文を受け付け、料理を包んで提供している様だ。
特徴的なのは手前から調理場の奥まで続く長いカウンターとその後ろの壁にある黒板である。
黒板には様々なメニューの値段が料理の絵が書かれていた。
メニューの内容はパンやスープがメインになっていてサイドメニューにサラダや果物などがある。
そして値段の横に賞味期限が記載されていた。
「一郎さんがいない間に色々あって携帯に便利な料理や旅先で必要な消耗品を扱う店を開くことになりました。
いかがでしょうか?」
「まぁいいんじゃないかな。そうそう後で話があるんだけどいいかな?」
「もう少しで店閉まるから2階で待って下さいね」
一郎は新しくできた勝手口から2階の自室に向かう。
予想はしていたが2階に行くと間取りもだいぶ変わっていた。
2階の調合部屋と一郎の寝室アルビーの部屋は残っていたが、その他の壁が取り払われ広いリビングになっていた。
そして膨よかな女性が子供達の世話をしている。
状況が飲み込めず固まっていた一郎に女性が気がつき声をかけてくる。
「こんばんわ~もしかして一郎さんですか?」
周りの子供達も一郎の存在に気がつき遠巻きに一郎を見ていた。
「私はミーシャと言います~
ここで子供のお世話役として働かせていただいております。
今後ともよろしくお願いしますね~」
おっとりと話すミーシャはどうやらアルビーに雇われている保母さんの様だ。
話を聞くとリビングにいる子は下の店で働いている従業員の子供らしい。
しばらく子供の相手を一緒にしていると従業員の女性が子供を連れて帰って行く。
最後にアルビーが料理を持って2階に上がってきた。
メニューはイノシシの肉とひと口大の野菜が入ったスープと豆のサラダに数種類のパンである。
その後アルビーとお互いの一ヶ月間を夕食を交えて話す。
一郎のえげつない戦術をアルビーは笑顔で聞いてくれた。
「そういえば家の変化に驚いたでしょ?」
「あぁはじめ自分の家とは解らなかったさ」
アルビー曰く従業員の雇用時間とニーズを考えこの様な形に行き着いたのだという。
この店の主な客は独り身のギルド関係者である。
独り身だとわざわざ料理をすることは少ない。
町の外で働く人やギルドの業務を行なっている人は食事の時間が不規則になりがちである。
そして駆け出しの傭兵達はマジックバッグなどの高級品は持つことができないそうだ。
栄養のある食料を栄養バランスを考えて自分で揃えるとなると大変な作業である。
そこで各ギルドから近い立地条件から携帯食料屋を始めたそうだ。
混む時間帯は早朝から昼過ぎでだそうだ。
ギルドの依頼を受けた傭兵達はその行動の日数にあった食料をここで購入して旅立つそうだ。
この店では主にシングルマザーの女性を雇い、朝方に2階で子供を預かりつつ携帯食料の調理をして販売する。
勤務日には賄いも出て子供も安心して預けられるこの店は従業員には好評とのこと。
長期保存可能な食料はどうしても痛んでしまう為、日持ちのする料理を案内する。
そして日帰りの任務であれば新鮮で移動中でも食べやすく味の豊かな行動食は好まれる。
今では独身男性の固定客が多く、あのシウバも回転当初から大量に注文してくれているらしい。
何を目当てにしているのかは聞かない様にしておく。
そしてここでもアルビーの愛の戦略は健在であった。
開店から1ヶ月でこの店で新しいカップルが生まれているそうだ。
アルビー曰く毎朝笑顔で送ってくれる女性になびかない男性はいないだそうだ。
こういうところは一郎はかなわないなぁと思い夕食にソルトロックで購入した装飾品を渡す。
赤サンゴを加工して作られた首飾りである。
「ソルトロックでは女性に人気だそうだ。白い綺麗な肌のアルビーに似合うと思ってね」
「これを妾にくれるのですか?」
「あぁこれからもよろしく…」
アルビー目に涙を浮かべていたが悲しみの涙ではないだろう。
二人の間には暖かい雰囲気に包まれた。
=====================================
いつも読んで頂きありがとうございます。
これにて2章終了です。
3章からは更新のペースを落として文章を読み直してから投稿していきたいと思います。
誤字脱字が非常に多く読みづらくて申し訳ございません。
今まで書いた文章も修正していきたいと思います。
3章は因縁の国と対峙して行く予定です。
今後ともよろしくお願いします。
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外壁は白を基調とした清潔感の色に塗り直されており、入り口以前の3倍ほど広くなっている。
内装は所々に植物か飾られ、淡く光るランプが天井に等間隔で吊るされており温か味のある店内である。
店内ではカウンター越しの女性店員が注文を受け付け、料理を包んで提供している様だ。
特徴的なのは手前から調理場の奥まで続く長いカウンターとその後ろの壁にある黒板である。
黒板には様々なメニューの値段が料理の絵が書かれていた。
メニューの内容はパンやスープがメインになっていてサイドメニューにサラダや果物などがある。
そして値段の横に賞味期限が記載されていた。
「一郎さんがいない間に色々あって携帯に便利な料理や旅先で必要な消耗品を扱う店を開くことになりました。
いかがでしょうか?」
「まぁいいんじゃないかな。そうそう後で話があるんだけどいいかな?」
「もう少しで店閉まるから2階で待って下さいね」
一郎は新しくできた勝手口から2階の自室に向かう。
予想はしていたが2階に行くと間取りもだいぶ変わっていた。
2階の調合部屋と一郎の寝室アルビーの部屋は残っていたが、その他の壁が取り払われ広いリビングになっていた。
そして膨よかな女性が子供達の世話をしている。
状況が飲み込めず固まっていた一郎に女性が気がつき声をかけてくる。
「こんばんわ~もしかして一郎さんですか?」
周りの子供達も一郎の存在に気がつき遠巻きに一郎を見ていた。
「私はミーシャと言います~
ここで子供のお世話役として働かせていただいております。
今後ともよろしくお願いしますね~」
おっとりと話すミーシャはどうやらアルビーに雇われている保母さんの様だ。
話を聞くとリビングにいる子は下の店で働いている従業員の子供らしい。
しばらく子供の相手を一緒にしていると従業員の女性が子供を連れて帰って行く。
最後にアルビーが料理を持って2階に上がってきた。
メニューはイノシシの肉とひと口大の野菜が入ったスープと豆のサラダに数種類のパンである。
その後アルビーとお互いの一ヶ月間を夕食を交えて話す。
一郎のえげつない戦術をアルビーは笑顔で聞いてくれた。
「そういえば家の変化に驚いたでしょ?」
「あぁはじめ自分の家とは解らなかったさ」
アルビー曰く従業員の雇用時間とニーズを考えこの様な形に行き着いたのだという。
この店の主な客は独り身のギルド関係者である。
独り身だとわざわざ料理をすることは少ない。
町の外で働く人やギルドの業務を行なっている人は食事の時間が不規則になりがちである。
そして駆け出しの傭兵達はマジックバッグなどの高級品は持つことができないそうだ。
栄養のある食料を栄養バランスを考えて自分で揃えるとなると大変な作業である。
そこで各ギルドから近い立地条件から携帯食料屋を始めたそうだ。
混む時間帯は早朝から昼過ぎでだそうだ。
ギルドの依頼を受けた傭兵達はその行動の日数にあった食料をここで購入して旅立つそうだ。
この店では主にシングルマザーの女性を雇い、朝方に2階で子供を預かりつつ携帯食料の調理をして販売する。
勤務日には賄いも出て子供も安心して預けられるこの店は従業員には好評とのこと。
長期保存可能な食料はどうしても痛んでしまう為、日持ちのする料理を案内する。
そして日帰りの任務であれば新鮮で移動中でも食べやすく味の豊かな行動食は好まれる。
今では独身男性の固定客が多く、あのシウバも回転当初から大量に注文してくれているらしい。
何を目当てにしているのかは聞かない様にしておく。
そしてここでもアルビーの愛の戦略は健在であった。
開店から1ヶ月でこの店で新しいカップルが生まれているそうだ。
アルビー曰く毎朝笑顔で送ってくれる女性になびかない男性はいないだそうだ。
こういうところは一郎はかなわないなぁと思い夕食にソルトロックで購入した装飾品を渡す。
赤サンゴを加工して作られた首飾りである。
「ソルトロックでは女性に人気だそうだ。白い綺麗な肌のアルビーに似合うと思ってね」
「これを妾にくれるのですか?」
「あぁこれからもよろしく…」
アルビー目に涙を浮かべていたが悲しみの涙ではないだろう。
二人の間には暖かい雰囲気に包まれた。
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いつも読んで頂きありがとうございます。
これにて2章終了です。
3章からは更新のペースを落として文章を読み直してから投稿していきたいと思います。
誤字脱字が非常に多く読みづらくて申し訳ございません。
今まで書いた文章も修正していきたいと思います。
3章は因縁の国と対峙して行く予定です。
今後ともよろしくお願いします。
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