骸の王～異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

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３章

95話

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翌日カイン達の宣戦布告の情報を聞き一郎はカインが作った国行くことにした。

いつもの様にリバーウッドから骨のドラゴンで盆地に人と物資を運んだ後

念のため廃村の離れた森に骨のドラゴンで降りる。

そして取りによる上空からの偵察。

周囲にはモンスターの反応はなく村の中には人の反応が多数ある。

総勢で600程最後に訪れた時よりも人が大分増えている。

もしかしらたらリバーウッドの支援無しに自分たちの力で立て直したのかもしれない。

まだセントロイスの軍がきたら一溜まりもないと思うが、ここまで発展しているのは予想外であった。

次に望遠鏡で外観を見ると廃村の外に即席のテントが思い思いに建てられいる。

正直こんな状況でモンスターに襲われたら収集が取れないだろうと思いながら廃村に向かっていく。

顔が割れている為、マジックバッグから頭の隠れる灰色のマントで身を包み顔も幻影の杖でカモフラージュする。

側から見たら傭兵崩れか流れ者に見えるだろう。

カインの立ち上げた国に近づくにつれて悪臭が漂う。

下水の取り決めがされておらず、所々で排泄物やゴミが放置されている。

そして所々でみすぼらしい格好をした人々が座り込んでいた。

その人々は皆一様に腐った魚の眼をしていた。

スラム街の風景といったところだろうか。

一郎はバッグから厚手の布を口を覆い廃村の入り口に向けて足早に進む。

入り口にあったギルドの受付の看板は壊され見るも無残な瓦礫の山になっていた。

そしてその隣には「ワイルドラン」とデカデカと書かれていた。

そして入り口にはガラの悪い男二人が世間話をしている。

鑑定で見たが見た目だけで大したスキルを持っていなかったが油断はできない。

一郎は念の為マントの下に数匹のの骨のネズミを召喚しミニボムを持たせ自身も護身用の煙玉を持つ。

門をそのまま通ろうとしたところ、ガラの悪い男達が声をかけてきた。

「オイオイそこの兄ちゃんここは初めてかい？」

「えぇセントフリーから新しい国ができたとのことで物見がてらにきました」

「そうか一人で来たんならまぁまぁ腕が立つんだろうな。
ここに入る為には銀貨5枚が必要だ。後、実力を示せるものは何かあるか？」

一郎は傭兵のシルバークラスの証である銀のタグをちらりとみせ、銀貨を渡す。

「実力者がきたな！歓迎するぜ！お前さんならここの頭も高く買ってくれるだろう」

「そうですかそれは楽しみです」

彼らは荷物の確認もせずそのまま門を通してくれた。

ワイルドランスの中は怪しい雰囲気が一層濃くなった。

中にいる住民は柄の悪い傭兵崩れや半裸の娼婦こちらを見定めしているのかいくつもの視線を感じる。

しかし鑑定の結果門番よりも戦闘能力は低くただの見せかけのチンピラレベルであった。

村の中を一通り見たが、立派なのは門の看板と中央の建物だけそれ以外は間に合わせの廃材で作られたあばら屋であり、ワイルドランスそのものがスラム街の様であった。

肝心の中央の建物は町並みと異なり立派な建物が立っていた。

青空酒場の店主に質問したところ、

「お前さん質問する前に頼むものがあるだろう」としかめっ面で手を出された。

郷に入れば郷に従えである。

一郎は銀貨を一枚出し「エールとさっきの質問に答えてくださいますか？」

鼻をふんっと鳴らし、エールの入った木製のジョッキを出し答えた。

「ありゃワイルドランスの頭の城だよ。
俺は解放軍の口車に載せられてこの場所で商売を始めたんだが場所代が高すぎて全く儲からない。
食材の供給も不安定でろくな料理も出せやしない。
店を閉めようとした同業者は身ぐるみ剥がされて追い出されるし踏んだり蹴ったりだ」

店主は地面に唾を吐き答えた。

不憫である。

一郎は水の様に薄いエールを舐めながら店主のグチを聞いた。

そして以前手に入れたクロコダイルタートルの肉の塊と新鮮な野菜に香辛料を取り出し、

「これで一人前のステーキを作ってくれませんか？残りの食材は手間賃としてあなたに差し上げます」

店主はマントの中から出てきた食材に驚いたが、食材と話を聞いて笑顔で答えた。

「あんた今まで悪かった。俺はビアーズだ最高の一品を作ってやるから待っててくれ」

店主のビアーズはよく手入れのされた調理器具を取り出し流れる様に料理し始めた。

そしてこの国には似つかわしくない豪華な料理とまともなエールが出てきた。

「お前さんのおかげで久しぶりにまともな料理を作ることができたありがとな」

料理を作り終わったビアーズは笑顔で答えた。

一郎がナイフを入れると肉汁が溢れ出し口に入れるとちょうど良い焼き加減で肉の旨みが広がっていく。

クロコダイルタートルの肉はそのままやくと噛み切るのが大変なのだが、下処理でここまで食べやすくなるのかと驚いた。

調理のしているビアーズを鑑定したところ料理（上級）を持っていたのでもしやと思ったが予想以上の腕前であった。
新天地に是非とも欲しい人材である。

一郎はステーキを食べ終わった後、思わず口にした。

「ビアーズさんの腕はこんなところで腐って良いものではないです。私と一緒にワイルドランスから出ませんか？」

思いがけない提案に驚くビアーズであった。

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