竜人嫌いの一匹狼魔族が拾った竜人を育てたらすごく愛された。

そら。

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竜人の子、旅立つ

26.お土産ドーナツ

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入学試験に向けて勉強に励むシロのため、ユーロンとスノウは筆記試験対策や魔法の実技試験対策を教えに来てくれるようになった。

今日はスノウがシロの勉強を見ている。

「すごいよ、シロ君。模擬テストはほとんど満点。もしかしたら特待生になれるかもね」

スノウはシロの答案用紙の採点をしながら、感嘆の声を漏らした。

「特待生はメリットがあるんですか?」

シロが尋ねるとスノウは「メリットだらけだよ!」と指を折りながら教えてくれた。

「まず、授業料が全額免除になるし、選択科目は優先的に決められる。あとシロ君は医学部希望だったよね。実習費用も免除されるし、治療魔法の選抜実習生にも選ばれやすくなる」

「選抜実習生?」

「うん。ほら、アスディアに騎士団が管理する病院があったでしょ?ルーフさんが治療を受けた病院。選抜実習生になれば、あの病院で研修医として治療に関われるんだ」

「それって聖剣の治療にも関われるって事ですか?だったら俺、選抜実習生になりたいです!」

シロは目を輝かせた。

「うん、頑張ろうね。あと、これはかなり厳しいかもしれないけど、飛び級もできるよ」

「飛び級ですか?」

「うん。騎士学校は5年制でしょ。まあ、5年で卒業できるのも難しいって言われてるけど。飛び級すれば最短3年で卒業できる」

「あー、そうなんですね」

聖剣の治療さえ習得できれば卒業しなくともいいと思うシロが生返事をすると、スノウは採点の手を止めた。

「シロ君?まさかだとは思うけど…、君、聖剣の治療を習得したら学校を辞めようなんて思ってないよね?」

「はい、そのつもりですよ」

シロが答えると、スノウは困ったように笑った。

「あははっ、やっぱりねぇー。相変わらずシロ君の世界はルーフさん中心に回ってるんだなぁ。でも残念ながら、選抜実習生になりたいなら卒業は必須条件だよ」

「そうなんですか?でも俺、早くルーフの元に戻りたいんです。治療魔法さえ習得したら辞めたいです」

「だったら飛び級するしかないね。それだけの実力は君にあると思うよ。それに治療魔法だけ習得したって意味がない。騎士学校で学ぶ知識や経験を踏まえて、多方向から治療の判断ができる。それが出来るようになって、やっと聖剣治療のスタート地点に立てるんだ。せっかく勉強するなら視野を広く持たないとね」

スノウはそう言って採点を続けた。

卒業するには5年。飛び級できたとしても3年はかかるのか…。
それまでルーフは、シロの帰りを待っていてくれるだろうか。

シロは小さなため息をついた。

その時、ピンポーンとドアのチャイムが鳴り、シロが出ると紙袋を持ったシャオルが立っていた。

「シャオルさん!急にどうしたんですか?」

シロは驚いた。

騎士学校の現役学生で、多忙なシャオルが顔を出すことはかなり珍しい。それでもミール王国に遠征などあるときは、時間を作ってシロの試験対策に付き合ってくれる。
しかし来るときは必ず連絡をくれるのに、今日は珍しく突然やって来た。

それにいつもは扉を開ければ、すぐに部屋に入ってくるのに、今日は玄関前に立ったままで落ち着かない様子だ。

「その…、今日は騎士団との合同練習が近くであったんだ。本当に、たまたま。父上にも会って、今日はスノウさんがお前の勉強を見てるって聞いたから。その、顔だけ見たくて…」

「え、俺の顔ですか?」

シロは意味が分からず自分の顔を指して尋ねると、シャオルは嫌そうな顔をした。

「…何でだよ。お前じゃなくて、スノウさんだ。あ、これ、お土産」

シャオルは持っていた紙袋をシロに渡した。

「ああ、スノウさんか。ありがとうございます。スノウさん来てますよ。どうぞ上がってください」

シャオルが部屋に入ると、スノウもびっくりした様子で「シャオル君、久しぶりだね」とぎこちなく声を掛けた。
シャオルも「はい。夏祭りの爆発事故以来、ですよね」と答えただけで2人の間には妙な沈黙が流れる。

そんな2人の空気感に気付かないシロは、シャオルから貰った紙袋を開けた。

中には甘くて美味しそうなドーナツが沢山入っている。
シロとルーフの分にしては量が多いし、そもそもルーフは甘い物はそんなに好まない。
せっかくならみんなで食べようと、シロはコーヒーとドーナツを用意してテーブルに並べた。

するとスノウが「うわぁっ、ロールボンのドーナツだっ!僕、ここのドーナツ大好きなんだよね」と嬉しそうに笑った。
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