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33.死闘(ルイ視点)

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ガキンッー!!



魔王に向け、振り上げた剣は闇魔法のオーラに弾かれ空高く飛んでいった。

「ックソ!!」

ルイはバランスを崩し、その場で膝を付く。
だが、すぐ後ろから闇魔法の触手がルイの心臓を目掛けて伸びてきた。

ルイは咄嗟に竜の姿になり空へ舞い、間一髪で避ける。しかしすぐに軌道を変えた触手はルイを追う。

ルイは後を付いてきた触手に向け、思い切り口から光魔法を纏った炎を吹いた。

炎に包まれた触手は灰になって崩れていった。

しかし、またすぐに再生し攻撃してくるのは分かっている。

さっきから何度も同じパターンが続いているのだ。

もう、どのくらいの時間攻撃を続けているのだろうか。
ルイの息は上がり、魔力もかなり消費した。

魔王は相変わらず手を広げ、ルイの刃が心臓を貫くのをただ待っている。

手を伸ばせば届く距離。
それなのに全く届かない果てしない距離。

攻撃は闇魔法で全て弾かれ、隙なく反撃をしてくる。
まるで自然災害と戦っているようだ。
自分の剣も魔法も、壮大な自然を前にしたら全てちっぽけなものだ。
魔王の闇魔法は、ルイにそんな絶望を与えた。

「だいぶ疲れているようだけど、大丈夫?」

魔王は広げていた手を腰に当て、伸びをしている。

魔王ヤツは本当に戦う気が無いのだろう。
むしろ「死にたい」と言うのは本心だ。

魔王自身は隙だらけで戦意もまったく感じられない。
ただ闇魔法が魔王を守っているのだ。

「でもやっぱり師団長は強いね。ここまで粘り続けた子は君が初めてだ。」

魔王はルイに敬意を払って手を叩く。

「はぁっ…はぁっ…当たり前だろ…お前を倒せば戦争が終わる。ここで諦められるわけがない。」

「うん、じゃあ早く終わらせてよ殺してよ。」

魔王が凄んだ瞬間、触手がルイの心臓を目掛けて伸びてきた。

ルイは再び炎を吹き触手を焼き払う。
触手に攻撃したところで意味がない事は分かっている。
そのまま鱗を硬化させ魔王に向かって突っ込んだ。

炎を吐き続けて触手を焼き、鋭利な鉤爪で闇魔法のオーラを切り裂き、魔王目掛けて光魔法を放った。

やはりオーラが再び魔王を守る。
しかし、闇魔法の動きが若干遅くなった。


これが最後のチャンスかー…。


すぐに後ろから触手がルイの体を貫こうと飛んできたが、硬化させた鱗が触手の攻撃をなんとか防ぐ。
触手がぶつかった衝撃で骨が折れた音がした。
おそらく今避ければ傷も浅い。

しかし、ルイは瞬時に竜人の姿に戻り、そのまま剣を出してオーラごと魔王を切り付けた。
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