45 / 135
44.グレイ、怒る
しおりを挟む
「ルイは魔族の血を勝手に輸血したから嫌だったんでしょ。嫌いだもんね、魔族のこと。どうせ嫌いな魔族の血で輸血された事が許せないんだろ?勝手な事して悪かったな!!」
グレイは捲し立てるように喋り出した。
「グレイ、どうしたんだよ。そんなこと言ってないだろ。」
ルイはびっくりしてグレイに手を伸ばしたが、ルイの手を払って一歩下がった。
「言わなくてもそう思ってんだろ。ルイが俺を利用してる事は分かったからもう優しくしなくていい。本心を言えよ。魔族の血で生かされるなんて最悪だってさ!!」
「グレイ、私はそんなふうに思ってない。どうしたんだよ、急に。」
ルイは戸惑っているが、それ以上にグレイは自分自身の言動に戸惑っていた。
なんでこんなにルイを責める言い方をしてしまうんだろう。
なぜ差し出された手を払ってしまったんだろう。
これ以上言ったら嫌われてしまう。
ああ、でももう嫌われてるんだ。
だったら別に何を言ってもいいじゃないか。
「あーあ、俺はなんで竜人なんか助けちゃったんだろ。本当馬鹿みてぇ。竜人なんか助けたって感謝されるどころか、いいように使われてゴミみたいに扱われるだけなのにな!
…なあ、ルイ、俺にだって感情はあるんだよ。
言葉や暴力で痛みを感じるんだよ。傷付くんだよ!」
「…グレイ。」
ルイの顔を見るとひどく悲しそうな顔をしていた。
グレイは感情的になってしまった事を後悔した。
ルイからしてみれば魔族のせいで死にそうになって、嫌いな魔族の輸血で生かされて、勝手に好きになられて急に責められて、散々だろう。
グレイは自分の頬を思い切り叩いた。
「…ごめん。感情的になった。最近寝不足だったからイライラしてたかも。頭冷やしてくる。」
グレイは踵を返しルイから離れようとしたが、ルイはグレイを呼び止めた。
「グレイ、ごめん。私はお前に本当に酷いことをしたし言ってきた。もう利用しようなんて思ってない。ちゃんとグレイと向き合いたい。たくさん傷付けて申し訳なかった。許してくれなんて都合のいい事は言わないから私と話してほしい。行かないでくれ!」
もうやめてくれ。優しくしないでくれ。
どうせまた利用するつもりなんだろ。それとも同情か。
グレイはもうルイの言葉を聞きたくなかった。
「敵同士の竜人と魔族が何を話すんだよ。話す事なんて何もないだろ?どうせ分かり合えない。
…今日聖騎士のユーロンとエドワードに会った。3日後お前を迎えに来てくれるよ。
嫌いな魔族の話し相手になってくれたお礼にお前を逃す手伝いくらいはしてやるよ。3日後の夜また来るから逃げる準備しとけよ。」
グレイはそれだけ伝えて走り出した。
これ以上ルイと一緒にいても傷付ける言葉しかでてこない。
「グレイ!」
背中からルイが名前を呼ぶ声が何度も聞こえた。
グレイは地下牢の階段を駆け登り、自分の使用人部屋へ走って帰ろうとしたが、ルーフにルイの看守係を頼まれていた事を思い出し、立ち止まった。
だが、牢の中へ戻るのは嫌だ。もうルイに合わせる顔がない。
グレイは地下牢の入口までとぼとぼと歩いて戻り、膝を抱えてしゃがみ込んだ。
下を向き、誰にも聞こえないように声を殺して静かに泣いた。
グレイは捲し立てるように喋り出した。
「グレイ、どうしたんだよ。そんなこと言ってないだろ。」
ルイはびっくりしてグレイに手を伸ばしたが、ルイの手を払って一歩下がった。
「言わなくてもそう思ってんだろ。ルイが俺を利用してる事は分かったからもう優しくしなくていい。本心を言えよ。魔族の血で生かされるなんて最悪だってさ!!」
「グレイ、私はそんなふうに思ってない。どうしたんだよ、急に。」
ルイは戸惑っているが、それ以上にグレイは自分自身の言動に戸惑っていた。
なんでこんなにルイを責める言い方をしてしまうんだろう。
なぜ差し出された手を払ってしまったんだろう。
これ以上言ったら嫌われてしまう。
ああ、でももう嫌われてるんだ。
だったら別に何を言ってもいいじゃないか。
「あーあ、俺はなんで竜人なんか助けちゃったんだろ。本当馬鹿みてぇ。竜人なんか助けたって感謝されるどころか、いいように使われてゴミみたいに扱われるだけなのにな!
…なあ、ルイ、俺にだって感情はあるんだよ。
言葉や暴力で痛みを感じるんだよ。傷付くんだよ!」
「…グレイ。」
ルイの顔を見るとひどく悲しそうな顔をしていた。
グレイは感情的になってしまった事を後悔した。
ルイからしてみれば魔族のせいで死にそうになって、嫌いな魔族の輸血で生かされて、勝手に好きになられて急に責められて、散々だろう。
グレイは自分の頬を思い切り叩いた。
「…ごめん。感情的になった。最近寝不足だったからイライラしてたかも。頭冷やしてくる。」
グレイは踵を返しルイから離れようとしたが、ルイはグレイを呼び止めた。
「グレイ、ごめん。私はお前に本当に酷いことをしたし言ってきた。もう利用しようなんて思ってない。ちゃんとグレイと向き合いたい。たくさん傷付けて申し訳なかった。許してくれなんて都合のいい事は言わないから私と話してほしい。行かないでくれ!」
もうやめてくれ。優しくしないでくれ。
どうせまた利用するつもりなんだろ。それとも同情か。
グレイはもうルイの言葉を聞きたくなかった。
「敵同士の竜人と魔族が何を話すんだよ。話す事なんて何もないだろ?どうせ分かり合えない。
…今日聖騎士のユーロンとエドワードに会った。3日後お前を迎えに来てくれるよ。
嫌いな魔族の話し相手になってくれたお礼にお前を逃す手伝いくらいはしてやるよ。3日後の夜また来るから逃げる準備しとけよ。」
グレイはそれだけ伝えて走り出した。
これ以上ルイと一緒にいても傷付ける言葉しかでてこない。
「グレイ!」
背中からルイが名前を呼ぶ声が何度も聞こえた。
グレイは地下牢の階段を駆け登り、自分の使用人部屋へ走って帰ろうとしたが、ルーフにルイの看守係を頼まれていた事を思い出し、立ち止まった。
だが、牢の中へ戻るのは嫌だ。もうルイに合わせる顔がない。
グレイは地下牢の入口までとぼとぼと歩いて戻り、膝を抱えてしゃがみ込んだ。
下を向き、誰にも聞こえないように声を殺して静かに泣いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
575
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる