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59.採掘場
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グレイの左足には鎖の先に重い鉄球が付いた足枷が付けられた。この足枷には特殊な性質があり魔力を使うと鉄球に吸い取られる。つまり飛んで逃げることも魔法で外すことも出来ないものだった。
グレイが連れてこられた採掘場は時計台の建物の裏にある古びた竪穴の洞窟だった。
「へぇー、こんな近くに採掘場があったんだ!」
グレイが観光地に来たかのように驚いてると、トトは「余裕あるのも今だけだぞ。」と嘲笑った。
「なぁ、魔獣の世話や庭園の管理は誰がやるんだ?誰もやらなければ死んじゃうぞ。」
グレイは1番気掛かりだった事を聞いた。
「あー?そんな仕事お前がやらなきゃ違う誰かがやるさ。まさか自分にしか出来ない仕事とでも思っているのか?お前の替えなんか山ほどいるんだぜ。」
「ふーん、ならいいけど。」
ワシ姿のトトに肩を掴まれ、洞窟の底まで連れていかれ乱暴に落とされた。
「いたっ!!」
鉄球の重みもありグレイは地面に勢いよく体をぶつけた。
「はっ、鈍臭ぇヤツだな。
近くに魔石を入れるトロッコがある。それが満杯になるぐらい魔石を採取しろ。
俺は3日後にまた来る。飯はその時に持ってくるから魔石と交換だ。魔石が少ないようなら飯はやらねぇし、ボコボコにするからな。サボるなよ、じゃあな。」
そう言ってトトは飛んでいってしまった。
洞窟の中は真っ暗で冷えている。
グレイは暗闇は得意だが寒さに弱い。
「はぁー、体動かせばなんとかなるかなぁ。」
重い足を引きずりトロッコにスコップを乗せ洞窟の奥へと向かった。
ルイとグレイがいなくなって1週間が過ぎた頃、魔王の体調も良くなり「もう僕のそばに居なくて大丈夫だ」と言うのでルーフは久しぶりに地下牢へ来た。誰もいなくなった地下牢は静まり返っている。
「あいつら本当にどこ行きやがったんだ。」
ルイとの戦いのせいで魔王が体調を崩したので、ルーフはルイを一発殴ってやりたかった。
いや、元々の原因は魔王の魔力で好き勝手暴れるジルドのせいか…。
ルイがいた牢を適当に掃除し外へ出た。
「よう、犬っころ。魔王様の具合はどうだ。」
ルーフの毛を逆なでする声が後ろから聞こえた。
ルーフは舌打ちし、腰に手を当て振り返る。
「ジルドか。俺は今機嫌が悪いんだ。さっさと失せろ。」
「お前の機嫌なんか知るかよ。それより竜人が逃げたのはバカコウモリに看守を任せたお前のせいだ。責任取れよ。」
「はっ、お前が時計台でやり合って逃げられたんだろ。俺のせいにすんな。それとも決闘でもするか?俺も丁度お前にイラついてたんだ。殴らせろよ。」
「ふん、やれるもんならやってみな。」
ジルドがニヤッと笑った瞬間、ルーフは土魔法を発動させジルドの足元を狙った。
ジルドは素早く避け、火炎砲を放つ。ルーフは水の防御魔法で体を覆いそのまま火炎砲に突っ込んだ。
火炎砲を抜けたルーフはジルドを思いきり殴りつけた。
ジルドが一瞬怯んだ隙を狙い、強化魔法を使った足で蹴り上げた。
「グフッー!!」
ジルドは少し戸惑った。城の仕事をしている魔族は弱いと聞いていたが、ルーフは格段に強い。
自分と同じか、それ以上かー…。
ルーフは地面に叩きつけられたジルドの首を踏み付け力を入れる。
「あんまり勝手な事をするなよ、ジルド。お前の馬鹿な行動が魔王様に迷惑がかかるんだ。」
「わ、分かった。降参だ、降参。」
これ以上戦っても分が悪いと判断したジルドは両手を上げた。
ルーフは何も言わず、その場をさっさと立ち去った。
ジルドはその後ろ姿を睨みつけ呟いた。
「クソ犬っころが。いつかぶっ殺してやる。」
グレイが連れてこられた採掘場は時計台の建物の裏にある古びた竪穴の洞窟だった。
「へぇー、こんな近くに採掘場があったんだ!」
グレイが観光地に来たかのように驚いてると、トトは「余裕あるのも今だけだぞ。」と嘲笑った。
「なぁ、魔獣の世話や庭園の管理は誰がやるんだ?誰もやらなければ死んじゃうぞ。」
グレイは1番気掛かりだった事を聞いた。
「あー?そんな仕事お前がやらなきゃ違う誰かがやるさ。まさか自分にしか出来ない仕事とでも思っているのか?お前の替えなんか山ほどいるんだぜ。」
「ふーん、ならいいけど。」
ワシ姿のトトに肩を掴まれ、洞窟の底まで連れていかれ乱暴に落とされた。
「いたっ!!」
鉄球の重みもありグレイは地面に勢いよく体をぶつけた。
「はっ、鈍臭ぇヤツだな。
近くに魔石を入れるトロッコがある。それが満杯になるぐらい魔石を採取しろ。
俺は3日後にまた来る。飯はその時に持ってくるから魔石と交換だ。魔石が少ないようなら飯はやらねぇし、ボコボコにするからな。サボるなよ、じゃあな。」
そう言ってトトは飛んでいってしまった。
洞窟の中は真っ暗で冷えている。
グレイは暗闇は得意だが寒さに弱い。
「はぁー、体動かせばなんとかなるかなぁ。」
重い足を引きずりトロッコにスコップを乗せ洞窟の奥へと向かった。
ルイとグレイがいなくなって1週間が過ぎた頃、魔王の体調も良くなり「もう僕のそばに居なくて大丈夫だ」と言うのでルーフは久しぶりに地下牢へ来た。誰もいなくなった地下牢は静まり返っている。
「あいつら本当にどこ行きやがったんだ。」
ルイとの戦いのせいで魔王が体調を崩したので、ルーフはルイを一発殴ってやりたかった。
いや、元々の原因は魔王の魔力で好き勝手暴れるジルドのせいか…。
ルイがいた牢を適当に掃除し外へ出た。
「よう、犬っころ。魔王様の具合はどうだ。」
ルーフの毛を逆なでする声が後ろから聞こえた。
ルーフは舌打ちし、腰に手を当て振り返る。
「ジルドか。俺は今機嫌が悪いんだ。さっさと失せろ。」
「お前の機嫌なんか知るかよ。それより竜人が逃げたのはバカコウモリに看守を任せたお前のせいだ。責任取れよ。」
「はっ、お前が時計台でやり合って逃げられたんだろ。俺のせいにすんな。それとも決闘でもするか?俺も丁度お前にイラついてたんだ。殴らせろよ。」
「ふん、やれるもんならやってみな。」
ジルドがニヤッと笑った瞬間、ルーフは土魔法を発動させジルドの足元を狙った。
ジルドは素早く避け、火炎砲を放つ。ルーフは水の防御魔法で体を覆いそのまま火炎砲に突っ込んだ。
火炎砲を抜けたルーフはジルドを思いきり殴りつけた。
ジルドが一瞬怯んだ隙を狙い、強化魔法を使った足で蹴り上げた。
「グフッー!!」
ジルドは少し戸惑った。城の仕事をしている魔族は弱いと聞いていたが、ルーフは格段に強い。
自分と同じか、それ以上かー…。
ルーフは地面に叩きつけられたジルドの首を踏み付け力を入れる。
「あんまり勝手な事をするなよ、ジルド。お前の馬鹿な行動が魔王様に迷惑がかかるんだ。」
「わ、分かった。降参だ、降参。」
これ以上戦っても分が悪いと判断したジルドは両手を上げた。
ルーフは何も言わず、その場をさっさと立ち去った。
ジルドはその後ろ姿を睨みつけ呟いた。
「クソ犬っころが。いつかぶっ殺してやる。」
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