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101.幸せか?
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「…お前らヤっただろ。」
昼頃に訪ねてきたルーフはニヤニヤと笑いながら言い当てた。
「へっ!?」
「ああ、すごく幸せなひとときだった。」
なぜバレたのか分からず挙動不審になるグレイとは対照的に、昼食に戻ってきたルイは幸せを噛み締めるように胸に手を当てながら正直に答えた。
「へへっ、やっぱりな。」
「…なんで分かるんだよ?」
浮かれたルイはともかく、グレイはいつもと変わらない態度でいたつもりだった。
ルーフの勘が鋭いのか?
「まあ、その浮かれたアホと魔力が完全回復したグレイを見りゃ誰だって分かるだろ。」
「…え、俺の魔力って完全回復したの?でもそれってルイの血を貰ったからじゃないのか?」
言われてみれば、確かにグレイの魔力は完全に戻っている。ただ、昨日の夜はそんな事に気付く余裕なんてなかったのだ。
ルーフは見ただけで相手の魔力を測れるらしい。
「ああ、血も吸ったのか。だから人の姿になれたんだろ。でもそれとは別に、吸血系魔族は他人の精液を接種する事で魔力が完全回復するんだぜ?つか、お前コウモリのくせにそんな事も知らないのか?」
「「え!?」」
グレイとルイは目を見合わせた。
「あー、そういえば昔聞いた事あったかも。今まで魔力が無くなるほど使ったことなかったから忘れてた。あははー。」
「グレイ…。そういう大事な事は覚えておいてくれ。
でもルーフもそれを知っていたなら、なぜグレイを見つけてた時に教えてくれなかったんだ。」
ルイは少し不満そうに言った。
もしそれを知っていれば、見つけた日に抱き潰していたのに…。
「あのなー、本人が頼んでもないのに魔力回復の為だけに抱かれて喜ぶヤツがいるかよ。グレイだって同情で抱かれたくないだろ。」
「まあ…、そりゃ、もちろんそうだけど。」
グレイは少しだけ気まずくなりルイをチラッとみると、やはり落ち込んだ表情をしていた。
「そっか…、そうだよな。私の考えが浅はかだった。グレイ、申し訳ない。だが、今はグレイを愛している。血でも精液でも欲しければいくらでも捧げるからな。なんなら毎日でも…」
「わー!!もう、いいよ!ルイ、もう分かったからそれ以上言うな!!」
さすがにルーフの目の前で、これ以上激甘なセリフを言われる事が恥ずかしい。
グレイはルイの口を抑えようとしたが、ルイは楽しそうに「ごめん、ごめん」と笑っている。
そんな2人のやり取りをルーフは満足そうに眺めていた。
しばらくしてルイは使用人に呼ばれて席を外した。
「おい、良かったじゃねぇか。」
ルーフは茶化すようにひじでグレイを突いた。
「もー、面白がるなよ。」
グレイはルーフの腕を払いジロッと睨んだ。
「ははっ、嬉しいくせに。つか、面白がってない。…なぁ、グレイ。お前、今幸せか?」
急にルーフは真剣な顔で聞いてきた。
「…うん。幸せ。すごく幸せ。
今まで俺は一方的な好きでもいいと思っていたけど、まさかルイも俺の事好きになってくれるなんて思わなかった。こんな満たされた気持ち、知らなかったよ。」
ルーフが真剣に聞いてきたせいか、思わず本音を言ってしまったグレイは照れ隠しに「なんてねーっ!」と笑って誤魔化した。
しかしルーフは、今まで見たことのない穏やかな表情で笑った。
「ルーフ?」
「ん?ああ、色ボケ小僧にはこれ以上付き合ってられないな。お前の魔力も完全に戻ったことだし、俺はもう行くよ。まあ、元気でやれよ。」
ルーフは立ち上がり伸びをした。
「え?ルーフ、明日も来るだろ?」
「いや、もう来ない。他国で仕事が入ったんだ。当分モンド王国には戻らない。」
「…そうなんだ。残念だ。でもまた会えるよね?」
ルーフは元々各地を転々として暮らしていた。自由で縛られない生き方が好きだと言っていたルーフを止める権利はグレイにない。
「んー、どうだろうな。まあ、機会があればな。」
そう言ってニヤッと笑ったルーフはいつも通りの笑顔に戻っていた。
昼頃に訪ねてきたルーフはニヤニヤと笑いながら言い当てた。
「へっ!?」
「ああ、すごく幸せなひとときだった。」
なぜバレたのか分からず挙動不審になるグレイとは対照的に、昼食に戻ってきたルイは幸せを噛み締めるように胸に手を当てながら正直に答えた。
「へへっ、やっぱりな。」
「…なんで分かるんだよ?」
浮かれたルイはともかく、グレイはいつもと変わらない態度でいたつもりだった。
ルーフの勘が鋭いのか?
「まあ、その浮かれたアホと魔力が完全回復したグレイを見りゃ誰だって分かるだろ。」
「…え、俺の魔力って完全回復したの?でもそれってルイの血を貰ったからじゃないのか?」
言われてみれば、確かにグレイの魔力は完全に戻っている。ただ、昨日の夜はそんな事に気付く余裕なんてなかったのだ。
ルーフは見ただけで相手の魔力を測れるらしい。
「ああ、血も吸ったのか。だから人の姿になれたんだろ。でもそれとは別に、吸血系魔族は他人の精液を接種する事で魔力が完全回復するんだぜ?つか、お前コウモリのくせにそんな事も知らないのか?」
「「え!?」」
グレイとルイは目を見合わせた。
「あー、そういえば昔聞いた事あったかも。今まで魔力が無くなるほど使ったことなかったから忘れてた。あははー。」
「グレイ…。そういう大事な事は覚えておいてくれ。
でもルーフもそれを知っていたなら、なぜグレイを見つけてた時に教えてくれなかったんだ。」
ルイは少し不満そうに言った。
もしそれを知っていれば、見つけた日に抱き潰していたのに…。
「あのなー、本人が頼んでもないのに魔力回復の為だけに抱かれて喜ぶヤツがいるかよ。グレイだって同情で抱かれたくないだろ。」
「まあ…、そりゃ、もちろんそうだけど。」
グレイは少しだけ気まずくなりルイをチラッとみると、やはり落ち込んだ表情をしていた。
「そっか…、そうだよな。私の考えが浅はかだった。グレイ、申し訳ない。だが、今はグレイを愛している。血でも精液でも欲しければいくらでも捧げるからな。なんなら毎日でも…」
「わー!!もう、いいよ!ルイ、もう分かったからそれ以上言うな!!」
さすがにルーフの目の前で、これ以上激甘なセリフを言われる事が恥ずかしい。
グレイはルイの口を抑えようとしたが、ルイは楽しそうに「ごめん、ごめん」と笑っている。
そんな2人のやり取りをルーフは満足そうに眺めていた。
しばらくしてルイは使用人に呼ばれて席を外した。
「おい、良かったじゃねぇか。」
ルーフは茶化すようにひじでグレイを突いた。
「もー、面白がるなよ。」
グレイはルーフの腕を払いジロッと睨んだ。
「ははっ、嬉しいくせに。つか、面白がってない。…なぁ、グレイ。お前、今幸せか?」
急にルーフは真剣な顔で聞いてきた。
「…うん。幸せ。すごく幸せ。
今まで俺は一方的な好きでもいいと思っていたけど、まさかルイも俺の事好きになってくれるなんて思わなかった。こんな満たされた気持ち、知らなかったよ。」
ルーフが真剣に聞いてきたせいか、思わず本音を言ってしまったグレイは照れ隠しに「なんてねーっ!」と笑って誤魔化した。
しかしルーフは、今まで見たことのない穏やかな表情で笑った。
「ルーフ?」
「ん?ああ、色ボケ小僧にはこれ以上付き合ってられないな。お前の魔力も完全に戻ったことだし、俺はもう行くよ。まあ、元気でやれよ。」
ルーフは立ち上がり伸びをした。
「え?ルーフ、明日も来るだろ?」
「いや、もう来ない。他国で仕事が入ったんだ。当分モンド王国には戻らない。」
「…そうなんだ。残念だ。でもまた会えるよね?」
ルーフは元々各地を転々として暮らしていた。自由で縛られない生き方が好きだと言っていたルーフを止める権利はグレイにない。
「んー、どうだろうな。まあ、機会があればな。」
そう言ってニヤッと笑ったルーフはいつも通りの笑顔に戻っていた。
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