38 / 38
3.夜の出会い
9.悪役令嬢と性悪ヒロインはゾッとする
しおりを挟む
私はレインに異性転換薬の改良をお願いし、新校舎へ戻るため中庭を歩いていた。
「あ、キーナ様ぁー!」
う…、この声は…。
後ろから声を掛けられたが嫌な予感しかしない。でも無視する訳にもいかないわ。
私は作り笑顔で振り向いた。
「ごきげんよう、メアリー。大きな声で後ろから声をかけるなんて失礼よ。前も注意したでしょ」
「あ、ごめんなさいっ。私ったら」
メアリーはテへっと笑って小さな舌を出した。私はその仕草に絶句した。
「…わー、可愛らしい仕草ですねぇ」
ジルは死んだ目と棒読みセリフで微笑んだ。
確かに可愛らしい仕草だけどマナーとしては最悪だわ。ツッコミどころが多すぎて頭が痛くなる。
「ジル君ったら、可愛いだなんてやめてください!私はキーナ様みたいな大人でかっこいい令嬢を目指しているんだから!」
ジル君!?
ジル、あなた、いつの間に君付けで呼ばれる仲になったのよ。
私がジルに目で訴えると、ジルも「知りませんよ。キーナ様の指導が足りないんじゃないですか?」と目で訴えてきた。
「メアリー、ここは普通の学園じゃないのよ?上級貴族が通う歴史ある学園よ。あなたの天真爛漫な性格は可愛らしいとは思うけど、いい加減最低限のマナーを身に付けなさい。注意を受けたら令嬢らしく謝るべきだし、人の従者に対して気安く名前で呼ぶべきじゃないわ」
私は淡々とメアリーの言動について指摘した。
メアリーは私の話を聞いているのか聞いていないのか、下を向いて唇を尖らせて呟いた。
「…貴族とか従者とかどうでもいいじゃない。バカみたい」
「え?」
「貴族とか従者とかこだわるなんてバカみたいって言ったんです」
メアリーは顔を上げて私を真っ直ぐ見つめた。
「階級なんて、たまたま生まれた家の話で、本人が偉いわけじゃない。それなのにここの生徒はマナーだ礼儀だって言って市民出身の私を下に見てくる。ジル君だってそう思わない?同じ人間なのに生まれた家のせいで年下のいいなりにならなきゃいけないなんておかしいでしょ?私たちは同じ人間なんだからもっと平等で自由に自分の意見を主張するべきよ。我慢ばっかりの人生なんてつまらないわ!」
めちゃくちゃな事を言い出すメアリーの言葉が、私の心臓に刺さり何も言えなくなった。
そうだ、私はたまたま公爵家に生まれただけの人間。それなのに公爵令嬢だとか、第一王子の婚約者の肩書きにこだわり上辺を繕っている。たかが17歳の娘が年上のジルに命令して、メアリーに令嬢マナーを偉そうに指導?確かにバカみたいね。
何も言い返さない私にメアリーも気まずくなったのか黙って下を向く。
「俺は…思いませんね」
沈黙を破ったのはジルだった。
「え…?」
私とメアリーは同時にジルを見た。
「確かに生まれた場所で人の価値を決めるなんておかしな話ですよ。でもこの国の階級制度を俺が変えられるわけない。だったらこの国でどう生きるか自分で工夫していけばいいだけの話です。
俺にとってハンドリー家の皆さんやキーナ様に仕えるのは中々楽しい人生なんです。
メアリー様も他の生徒の言動に腹が立つなら令嬢としてのマナーを極めてみればいかがでしょうか。それに加えてあなたは数少ない光魔法の使い手でしょう。きっと数年後には多くの上級貴族たちに敬われ、プライドの高い貴族を顎で使う事が出来ますよ。きっと気分良いと思いますよー」
ジルは優しく微笑んだつもりだろうが、私とメアリーはその笑顔にゾッとした。
「あ、キーナ様ぁー!」
う…、この声は…。
後ろから声を掛けられたが嫌な予感しかしない。でも無視する訳にもいかないわ。
私は作り笑顔で振り向いた。
「ごきげんよう、メアリー。大きな声で後ろから声をかけるなんて失礼よ。前も注意したでしょ」
「あ、ごめんなさいっ。私ったら」
メアリーはテへっと笑って小さな舌を出した。私はその仕草に絶句した。
「…わー、可愛らしい仕草ですねぇ」
ジルは死んだ目と棒読みセリフで微笑んだ。
確かに可愛らしい仕草だけどマナーとしては最悪だわ。ツッコミどころが多すぎて頭が痛くなる。
「ジル君ったら、可愛いだなんてやめてください!私はキーナ様みたいな大人でかっこいい令嬢を目指しているんだから!」
ジル君!?
ジル、あなた、いつの間に君付けで呼ばれる仲になったのよ。
私がジルに目で訴えると、ジルも「知りませんよ。キーナ様の指導が足りないんじゃないですか?」と目で訴えてきた。
「メアリー、ここは普通の学園じゃないのよ?上級貴族が通う歴史ある学園よ。あなたの天真爛漫な性格は可愛らしいとは思うけど、いい加減最低限のマナーを身に付けなさい。注意を受けたら令嬢らしく謝るべきだし、人の従者に対して気安く名前で呼ぶべきじゃないわ」
私は淡々とメアリーの言動について指摘した。
メアリーは私の話を聞いているのか聞いていないのか、下を向いて唇を尖らせて呟いた。
「…貴族とか従者とかどうでもいいじゃない。バカみたい」
「え?」
「貴族とか従者とかこだわるなんてバカみたいって言ったんです」
メアリーは顔を上げて私を真っ直ぐ見つめた。
「階級なんて、たまたま生まれた家の話で、本人が偉いわけじゃない。それなのにここの生徒はマナーだ礼儀だって言って市民出身の私を下に見てくる。ジル君だってそう思わない?同じ人間なのに生まれた家のせいで年下のいいなりにならなきゃいけないなんておかしいでしょ?私たちは同じ人間なんだからもっと平等で自由に自分の意見を主張するべきよ。我慢ばっかりの人生なんてつまらないわ!」
めちゃくちゃな事を言い出すメアリーの言葉が、私の心臓に刺さり何も言えなくなった。
そうだ、私はたまたま公爵家に生まれただけの人間。それなのに公爵令嬢だとか、第一王子の婚約者の肩書きにこだわり上辺を繕っている。たかが17歳の娘が年上のジルに命令して、メアリーに令嬢マナーを偉そうに指導?確かにバカみたいね。
何も言い返さない私にメアリーも気まずくなったのか黙って下を向く。
「俺は…思いませんね」
沈黙を破ったのはジルだった。
「え…?」
私とメアリーは同時にジルを見た。
「確かに生まれた場所で人の価値を決めるなんておかしな話ですよ。でもこの国の階級制度を俺が変えられるわけない。だったらこの国でどう生きるか自分で工夫していけばいいだけの話です。
俺にとってハンドリー家の皆さんやキーナ様に仕えるのは中々楽しい人生なんです。
メアリー様も他の生徒の言動に腹が立つなら令嬢としてのマナーを極めてみればいかがでしょうか。それに加えてあなたは数少ない光魔法の使い手でしょう。きっと数年後には多くの上級貴族たちに敬われ、プライドの高い貴族を顎で使う事が出来ますよ。きっと気分良いと思いますよー」
ジルは優しく微笑んだつもりだろうが、私とメアリーはその笑顔にゾッとした。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。
私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!
杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。
彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。
さあ、私どうしよう?
とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。
小説家になろう、カクヨムにも投稿中。
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる