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第14話 やらかしちゃったって事ですか?
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「【スティール】スキル、拝見いたしました」
「そう……ですか、ご覧になりましたか」
「ええ。ブラック殿が秘密保持契約を提案した理由が良く分かりました。あれが何の準備も無く世間に知られるのは絶対に避けなければ。今回の調査、たまたま上級冒険者の同行を得る事が出来ませんでしたが、それも今となっては逆に幸運だったと言えるでしょう」
ギルマスとオートカさん、二人とももの凄く深刻そうに話してる。
この間は『人類の希望だ』なんて言ってくれたのに……
実は僕の【スティール】に何か問題が見つかったとか?
もしそうだったら嫌だなあ。
「【スティール】がどれ程の魔物に通用するかは検証が必要ですが、発動するだけで魔物を倒せるのであればその能力を欲しがる者は多いでしょう。その相手によっては下手をすればカルア殿は一生飼い殺される可能性すらあり得ます」
「ええ、それについては私も全く同意見です。強欲な人間にとっては喉から手が出るほど欲しいスキルでしょうから。直接的な命の危険は無いかもしれないが、自由は確実に奪われる」
「ええ。王族、貴族、冒険者、商人……この辺りは特に危険でしょうね」
問題どころじゃない! ヤバい話だった……
「まずは【スティール】の秘密を守りカルア君を保護する体制を整えつつ、魔石の【スティール】を習得可能なスキルとする方法を探ってゆく。ユニークでさえなければ危険度は大きく下がるでしょうから」
「その通りです。ですのでその一助となるであろう情報を今からお伝えしましょう。私にも是非協力させて下さい」
「おお、それは願ってもない」
オートカさんはギルマスに頷くと振り返った。
「ではウサダン、準備を」
オートカさんの指示でウサダンさんがテーブルに魔力の計測器を設置し、みんなその画面の表示を覗き込む。
「今表示しているのは、魔物部屋に転送されてから計測した魔力の推移です」
「ほう」
オートカさんは細い棒を取り出し、画面の一点を指し示した。
「こちらをご覧ください。この波形の小さな山は魔物部屋が魔物を生み出す際の魔力です。ここから波が連続してるのは、この時から一斉に魔物があふれ出した事を示しています。さて、ここから時間を少しだけ先に進めてと……はい、見ていただきたいのはここからです」
そう言ってオートカさんが指したそこは、魔力の波が変な感じに乱れてる?
「これは……波形の乱れ? いやそれともノイズだろうか?」
「最初は我々もそう思いました。しかしこれを拡大してみると驚くべき事が判明したのです。これを見て下さい」
そう言いながらオートカさんがその部分をタップすると表示が切り替わる。
「この波形をスペクトル表示したものがこちらの右ウインドウです。この特徴的な分布はこれが時空間魔法であることを示しています。したがってこの部分で一瞬発生しているこの波形、これは時空間魔法の魔力だという事になります」
「やはりそうか。ではこの時に……」
「ええ。ブラック殿は既にお気付きだったようですね。そう、このノイズに見える部分、これはカルア殿が発動した【スティール】による魔力の波形です」
えっ、それって【スティール】スキルが魔力を使ってるって事!?
「『スキルとは魔法の一種である』この学説は、魔力を計測出来るようになってからほぼ確定的となりました。何故ならスキルを発動すれば必ずそこに魔力が計測されるのですから」
そんな丸見え状態なら確かに反対意見なんて出る訳が無いよね。
「ここで計測されたのが時空間魔法だったのは当然と言えるでしょうね。何故なら【スティール】スキルの本質とは物体の転移なのですから。しかし真に注目すべきはそこではない。ここで注目しなければならないのは、この波の大きさと継続時間なのです」
ここでオートカさんは自分を落ち着けようとしているかのように軽く呼吸を整え、逆にみんなは次の言葉を待ち切れないかのように呼吸が荒くなる。
「一度の魔法によって消費される魔力量というのは、この波の大きさと時間の掛け算によって算出出来ます。そして【スティール】スキルの魔力使用時間ですが、これがとてつもなく短い。それこそ我々の知る魔法とは全く比較にならない程です。これは概算ですが、このグラフより算出した【スティール】の魔力消費量は、100回連続で使用した場合で火属性の最小魔法である【灯火】1回分よりも少ない」
え、そんなに少ないの?
【灯火】にどれだけ魔力が必要なのかは知らないけど、最小って事は超初心者でも使える魔法なんだよね……?
ああそうだ、言われてみれば【スティール】で魔力を消費したなんて今まで一度も感じた事が無かった。
「これだけ消費量が少ないと、カルア殿の魔力の自然回復速度によっては回復量が消費量を上回る可能性もあります」
それって実質魔力消費ゼロってこと!?
いや待てよ、そういえばフィラストダンジョンで死に掛けた時って、ほとんど空っぽの魔力で【スティール】し続けたんだった。
スキルは魔力を消費しないからだって思ってたけど……
そうか、そういう事だったのか。
「以上が今回判明したカルア殿のスティールスキルの特性となります。ダンジョンの調査中にたまたま判明した内容のため今はここまでですが、出来る事ならダンジョンの調査が終わってから再度じっくり調べてみたいものです」
「ふむ、それについはむしろこちらからお願いするかもしれん。それから『スキルの進化』という現象についてもだ。どちらも魔石の【スティール】を習得できる技術にまで落とし込む為に必要となるだろうからな」
「そういう事なら是非我々にお声掛け下さい。そうと決まれば事前に関係ありそうな情報を集めておきましょう」
「承知した。よろしくお願いする」
「あの、僕からもお願いします。僕に出来る事があれば何でも言って下さい」
そんな僕の言葉にギルマスが応えてくれた。
「ひとつ君にしか出来ない事がある。いいか、これは非常に大事な事だ」
「はい、僕何だってやります!」
僕の言葉にギルマスは一呼吸置き、続けて真剣な表情で言った。
「強くなるんだ、自分自身を守る為に!」
強く……強くかぁ。
冒険者になってから僕はずっと強くなろうと藻掻いてきた。
教わって、調べて、訓練して、そして実践して。
でもギルマスが言ってるのは多分それとは違う事だ。
僕はきっと、今すぐ強くならなければならないんだ。
『おいおい、手っ取り早く強くなりたいだと? 随分と難しい事を訊いてくれるじゃないか。だがまあ虫のいい話だなんてふうには思わねえよ。お前さんが頑張ってきたのは俺もずっと見てきたからな。まあそうだなあ、今までやって来た事が行き詰まったってんなら、今までやって来なかった事をやってみるってのはどうだ? 『横道に宝箱』なんて事が世の中には結構あったりするんだぜ?』
主人公……
それなら!
「可能性としては時空間魔法と土魔法、でしょうか?」
「そうだろうな。私もそれらを軸して考えるのが一番の近道だと思う」
よかった、やっぱりギルマスも同じ考えみたいだ。
「おや、もしかしてカルア殿は土魔法も使えるのですか?」
「ええ。適性があったので錬成を教わりました」
「成程なるほど。であれば、もしかしたら風も使えるようになるかもしれませんね。それに一部の水魔法も」
「えっ、それ本当ですか?」
何と!
「ほほう、それは興味深い。是非その根拠を教えていただきたい」
「勿論です。これもまた最近の学説なのですが、魔法を大きく二つに分類しようという動きが出てきているんです。その二種類とは、『その場にある物質に干渉する』ものと『その場に無い物質やエネルギーを生み出す』ものです」
「ほう、そのような切り口を」
「はい。まず『その場にある物質への干渉』としては、『土』と『風』属性がそこに分類されます。それからその場にある水を利用するタイプの『水』属性魔法もこの分類に含まれます。そしてこの分類においては、物質への干渉の最上位こそが時空間魔法であると考えられています。『時間と空間にへの干渉』の下位にあたるのが『物質への干渉』である、と言い換えた方が分かり易いかもしれません」
「成程、確かにそれならば筋が通っているように思える」
「一方その対極にあるのが『火』『水』『光』です。この火は一体何が燃えているんでしょうか? この水は転移してきた訳でもないのに一体どこから出てきたのでしょうか? 光にしてもそうです。何が光ってるんでしょうか? どうです、意味が分からないですよね? これが『無から生み出す』分類の魔法です。ちなみに私が得意とする【障壁】も『光』属性なのでここに含まれます」
「つまりこういう事か? 『物質に干渉する魔法は時空間に強い適性がある者なら使う事が出来る』、であるならばカルア君が使える可能性も当然高い、と」
「ええ、その通りです。しかも錬成が使えるともなれば……」
「成程、確かに錬成は物質への干渉の極致と言えるかもしれん」
ちょっと話についていけてない自覚あり。
要するに錬成する時みたいに風と水を動かせるんじゃないかって事?
それってつまり錬成のイメージは土以外にも応用出来るって事なのかな?
今のところ僕がやった一番大掛かりな錬成はグラス作りだったと思う。
でもあのグラスって結構上手に出来たよね、部屋の明かりが反射してキラキラと……ん? キラキラ?
今ふと何かが頭の隅に引っ掛かった気がしたんだけど……何だったんだろう?
引っ掛かったところを思い返して…………あ、そうかあれだ。キラキラ!
どうしよう、凄く気になる! 今すぐにやってみたい!
でも今はダメだ! みんなで僕の安全について真面目に考えてくれてるのに、肝心の僕が違う事を始めるなんて!
だからもうちょっとだけ待とう。我慢我慢!!
「そうすると『風の適性の調査』そして『水の適性の再調査』、このふたつを最初にやるべきか」
「『水』については再調査、ですか?」
「ああ。カルア君がコップの水を使った適性調査をやったそうだ。その際に何故かコップの水が少なくなったと聞いている」
「少なく……?」
オートカさんは顎に手を当てて考え込む。
そして間もなく――
「それはもしかしたら『風』より前に『時空間』が影響したのかもしれませんよ?」
「ほう?」
「これはあくまで推測ですが、その現象が『コップの時間を進めた』『戻した』『水差しの中に水を移動した』のいずれかだと仮定すると、時空間魔法による干渉であったとは考えられませんか?」
「成程、確かに理屈としてはその通り……。すると『火』属性の確認でろうそくの火が消えたというのも……?」
「ああ、それも同じかもしれませんね」
凄い! ずっと謎だった現象がここにきて判明しちゃったかも。
今はまだ『あくまで推測』って事みたいだけど。
「何か見えた気がするな。それでは話を戻すがまずカルア君と我々がすべき事は『適性がある魔法を使って身を守る術を身につける』『魔力を増やすトレーニングを継続する』『時空間魔法の専門家から指導を受ける』といったあたりだろうか?」
「そうですね。妥当かと思います」
「出来ればカルア君には学校で同世代の子供達と一緒に学んで欲しいと思っていたのだが、スキルを衆目に晒す訳にいかない以上、それは難しいか」
「ええ、そうなるとスキルの話題はどうしても避けられませんからね。いっそ別のスキルに偽装でも出来ればいいんですけど」
「偽装か……ふむ、少し考えてみるか」
学校……
行った事無いけど、学校ってどんな所なんだろう。
年齢の近い人って周りにいないし『集まって一緒に』ってちょっと想像出来ない。
周りで一番年齢が近い人って言うと……ピノさんかな。僕よりも少しだけ年上だって聞いた気がする。
ところでさっきからずっと気になってたんだけど……
話の腰を折らないようにずっと言わないできたけど、話も終わったみたいだし今だったら言っても大丈夫かな?
「あの、ギルマス?」
「ん、どうしたカルア君。何か希望があるのなら遠慮なく言ってくれ」
「すみません、そういうのじゃなくってですね……あの、言おうかどうしようかずっと迷ってたんですけど、ギルマス少し前からいつもの口調に戻ってますよ?」
「あ……」
「……」
「……」
「それは全く気付かなかった……」
「ははは、私だったら全然構いませんよ? むしろ普段通りに接して下さい。私としてもその方が接し易いので」
「すまない、そう言ってもらうと助かる。やはりどうも丁寧な口調というのは慣れんからな」
「何だか話の腰を折ってしまってすみません」
「いや、おかげで話し易くなったさ。さてと、これで今日話すべき事はほぼ話し終えたのではないか?」
「ええ。我々はこれから今日の結果のまとめに取り掛かろうかと思います」
「承知した。じゃあ本日は以上としよう」
どうやら終わったみたい。
よし、それなら!
「あのピノさん、すみません。ちょっとさっきの鞄を貸してもらえますか?」
「はいどうぞ。どうしました?」
「ええ、ちょっと魔石を」
鞄から取り出した一掴みくらいの魔石をテーブルの上に置いて……
ええと、これくらいあれば足りるかな?
「ありがとうございます」
ピノさんに鞄を返したら……
「【融解】」
魔石の山に手を翳し、魔力を注ぐと……
やっぱり! 魔石がガラスみたいにドロドロになった!!
という事で次は形を整えよう。
イメージするのは簡単、だって昨日ふたつ作ったばかりだから。
そして――
「【凝固】」
やった、出来た!
キラキラと輝くグラスが!
思った通りガラスよりこの魔石で作った方がずっと綺麗だ。
出来立てのグラスを手で持って尖った部分が無いか隅々までチェックして……大丈夫、ちゃんと出来てる。
「カルア君……君は今何をした? いや分かっている、分かってはいるんだ。何が起きたのかは私自身の眼で見たはずなのだから。つまり、君は今、魔石を錬成したという事で……間違い無いな?」
「? ええ、そうですけど?」
それが何か?
「オートカさん……この件についても私の知識は古いのだろうか? 今、我々の眼の前で魔石が錬成されたのだが?」
「いいえ、私も同じく混乱していますよ。ブラック殿の言う通り、現在の常識としては『魔石を原料とした錬成は不可能』で正しい――いや正確には『さっきまでは正しかった』でしょうか」
ええっと……?
「カルア君、ひとつ訊きたいのだが……君は何故ここで今これをやろうと思った?」
「さっき話を聞いていた時にふと思ったんです。このキラキラした魔石でグラスを作ったら、ガラスで作るよりずっと綺麗に出来るじゃないかって」
「君は今まで誰も魔石の錬成に成功していないという事を……そうだな、知っているはず無いよな」
「えっそうなんですか? でも普通に出来ましたよ?」
「そう、出来てしまったからこそ問題なのだよ」
「ブラック殿どうしましょう、秘密が増えてしまいましたが」
「うむ……そしてカルア君、君の危険もまた……増してしまったのだが」
「ええ……グラスを作っただけなのに……」
「カルア君、これからは何か思いついてもすぐには実践しないでくれ。まず相談してからにしてもらえると助かる」
ギルマスの疲れたような顔……何か僕やらかしちゃった、のかな?
でもグラスを作っただけだし、そんなに大変な事じゃないと思うんだけど……
ってこれ何? 横から冷気――いや殺気!?
恐る恐るそちらに目をやると、隣でピノさんが……凄く怒ってる!?
「カルア君……この魔石、明日みんなで数える事になってるって、カルア君も聞いてましたよね。なのにどうして使っちゃうんですか! 数合わなくなっちゃったじゃないですか!」
ああっ!!
「すみませんピノさん! うっかり忘れてました!!」
どうしよう、やらかしちゃったよ!!
▽▽▽▽▽▽
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「そう……ですか、ご覧になりましたか」
「ええ。ブラック殿が秘密保持契約を提案した理由が良く分かりました。あれが何の準備も無く世間に知られるのは絶対に避けなければ。今回の調査、たまたま上級冒険者の同行を得る事が出来ませんでしたが、それも今となっては逆に幸運だったと言えるでしょう」
ギルマスとオートカさん、二人とももの凄く深刻そうに話してる。
この間は『人類の希望だ』なんて言ってくれたのに……
実は僕の【スティール】に何か問題が見つかったとか?
もしそうだったら嫌だなあ。
「【スティール】がどれ程の魔物に通用するかは検証が必要ですが、発動するだけで魔物を倒せるのであればその能力を欲しがる者は多いでしょう。その相手によっては下手をすればカルア殿は一生飼い殺される可能性すらあり得ます」
「ええ、それについては私も全く同意見です。強欲な人間にとっては喉から手が出るほど欲しいスキルでしょうから。直接的な命の危険は無いかもしれないが、自由は確実に奪われる」
「ええ。王族、貴族、冒険者、商人……この辺りは特に危険でしょうね」
問題どころじゃない! ヤバい話だった……
「まずは【スティール】の秘密を守りカルア君を保護する体制を整えつつ、魔石の【スティール】を習得可能なスキルとする方法を探ってゆく。ユニークでさえなければ危険度は大きく下がるでしょうから」
「その通りです。ですのでその一助となるであろう情報を今からお伝えしましょう。私にも是非協力させて下さい」
「おお、それは願ってもない」
オートカさんはギルマスに頷くと振り返った。
「ではウサダン、準備を」
オートカさんの指示でウサダンさんがテーブルに魔力の計測器を設置し、みんなその画面の表示を覗き込む。
「今表示しているのは、魔物部屋に転送されてから計測した魔力の推移です」
「ほう」
オートカさんは細い棒を取り出し、画面の一点を指し示した。
「こちらをご覧ください。この波形の小さな山は魔物部屋が魔物を生み出す際の魔力です。ここから波が連続してるのは、この時から一斉に魔物があふれ出した事を示しています。さて、ここから時間を少しだけ先に進めてと……はい、見ていただきたいのはここからです」
そう言ってオートカさんが指したそこは、魔力の波が変な感じに乱れてる?
「これは……波形の乱れ? いやそれともノイズだろうか?」
「最初は我々もそう思いました。しかしこれを拡大してみると驚くべき事が判明したのです。これを見て下さい」
そう言いながらオートカさんがその部分をタップすると表示が切り替わる。
「この波形をスペクトル表示したものがこちらの右ウインドウです。この特徴的な分布はこれが時空間魔法であることを示しています。したがってこの部分で一瞬発生しているこの波形、これは時空間魔法の魔力だという事になります」
「やはりそうか。ではこの時に……」
「ええ。ブラック殿は既にお気付きだったようですね。そう、このノイズに見える部分、これはカルア殿が発動した【スティール】による魔力の波形です」
えっ、それって【スティール】スキルが魔力を使ってるって事!?
「『スキルとは魔法の一種である』この学説は、魔力を計測出来るようになってからほぼ確定的となりました。何故ならスキルを発動すれば必ずそこに魔力が計測されるのですから」
そんな丸見え状態なら確かに反対意見なんて出る訳が無いよね。
「ここで計測されたのが時空間魔法だったのは当然と言えるでしょうね。何故なら【スティール】スキルの本質とは物体の転移なのですから。しかし真に注目すべきはそこではない。ここで注目しなければならないのは、この波の大きさと継続時間なのです」
ここでオートカさんは自分を落ち着けようとしているかのように軽く呼吸を整え、逆にみんなは次の言葉を待ち切れないかのように呼吸が荒くなる。
「一度の魔法によって消費される魔力量というのは、この波の大きさと時間の掛け算によって算出出来ます。そして【スティール】スキルの魔力使用時間ですが、これがとてつもなく短い。それこそ我々の知る魔法とは全く比較にならない程です。これは概算ですが、このグラフより算出した【スティール】の魔力消費量は、100回連続で使用した場合で火属性の最小魔法である【灯火】1回分よりも少ない」
え、そんなに少ないの?
【灯火】にどれだけ魔力が必要なのかは知らないけど、最小って事は超初心者でも使える魔法なんだよね……?
ああそうだ、言われてみれば【スティール】で魔力を消費したなんて今まで一度も感じた事が無かった。
「これだけ消費量が少ないと、カルア殿の魔力の自然回復速度によっては回復量が消費量を上回る可能性もあります」
それって実質魔力消費ゼロってこと!?
いや待てよ、そういえばフィラストダンジョンで死に掛けた時って、ほとんど空っぽの魔力で【スティール】し続けたんだった。
スキルは魔力を消費しないからだって思ってたけど……
そうか、そういう事だったのか。
「以上が今回判明したカルア殿のスティールスキルの特性となります。ダンジョンの調査中にたまたま判明した内容のため今はここまでですが、出来る事ならダンジョンの調査が終わってから再度じっくり調べてみたいものです」
「ふむ、それについはむしろこちらからお願いするかもしれん。それから『スキルの進化』という現象についてもだ。どちらも魔石の【スティール】を習得できる技術にまで落とし込む為に必要となるだろうからな」
「そういう事なら是非我々にお声掛け下さい。そうと決まれば事前に関係ありそうな情報を集めておきましょう」
「承知した。よろしくお願いする」
「あの、僕からもお願いします。僕に出来る事があれば何でも言って下さい」
そんな僕の言葉にギルマスが応えてくれた。
「ひとつ君にしか出来ない事がある。いいか、これは非常に大事な事だ」
「はい、僕何だってやります!」
僕の言葉にギルマスは一呼吸置き、続けて真剣な表情で言った。
「強くなるんだ、自分自身を守る為に!」
強く……強くかぁ。
冒険者になってから僕はずっと強くなろうと藻掻いてきた。
教わって、調べて、訓練して、そして実践して。
でもギルマスが言ってるのは多分それとは違う事だ。
僕はきっと、今すぐ強くならなければならないんだ。
『おいおい、手っ取り早く強くなりたいだと? 随分と難しい事を訊いてくれるじゃないか。だがまあ虫のいい話だなんてふうには思わねえよ。お前さんが頑張ってきたのは俺もずっと見てきたからな。まあそうだなあ、今までやって来た事が行き詰まったってんなら、今までやって来なかった事をやってみるってのはどうだ? 『横道に宝箱』なんて事が世の中には結構あったりするんだぜ?』
主人公……
それなら!
「可能性としては時空間魔法と土魔法、でしょうか?」
「そうだろうな。私もそれらを軸して考えるのが一番の近道だと思う」
よかった、やっぱりギルマスも同じ考えみたいだ。
「おや、もしかしてカルア殿は土魔法も使えるのですか?」
「ええ。適性があったので錬成を教わりました」
「成程なるほど。であれば、もしかしたら風も使えるようになるかもしれませんね。それに一部の水魔法も」
「えっ、それ本当ですか?」
何と!
「ほほう、それは興味深い。是非その根拠を教えていただきたい」
「勿論です。これもまた最近の学説なのですが、魔法を大きく二つに分類しようという動きが出てきているんです。その二種類とは、『その場にある物質に干渉する』ものと『その場に無い物質やエネルギーを生み出す』ものです」
「ほう、そのような切り口を」
「はい。まず『その場にある物質への干渉』としては、『土』と『風』属性がそこに分類されます。それからその場にある水を利用するタイプの『水』属性魔法もこの分類に含まれます。そしてこの分類においては、物質への干渉の最上位こそが時空間魔法であると考えられています。『時間と空間にへの干渉』の下位にあたるのが『物質への干渉』である、と言い換えた方が分かり易いかもしれません」
「成程、確かにそれならば筋が通っているように思える」
「一方その対極にあるのが『火』『水』『光』です。この火は一体何が燃えているんでしょうか? この水は転移してきた訳でもないのに一体どこから出てきたのでしょうか? 光にしてもそうです。何が光ってるんでしょうか? どうです、意味が分からないですよね? これが『無から生み出す』分類の魔法です。ちなみに私が得意とする【障壁】も『光』属性なのでここに含まれます」
「つまりこういう事か? 『物質に干渉する魔法は時空間に強い適性がある者なら使う事が出来る』、であるならばカルア君が使える可能性も当然高い、と」
「ええ、その通りです。しかも錬成が使えるともなれば……」
「成程、確かに錬成は物質への干渉の極致と言えるかもしれん」
ちょっと話についていけてない自覚あり。
要するに錬成する時みたいに風と水を動かせるんじゃないかって事?
それってつまり錬成のイメージは土以外にも応用出来るって事なのかな?
今のところ僕がやった一番大掛かりな錬成はグラス作りだったと思う。
でもあのグラスって結構上手に出来たよね、部屋の明かりが反射してキラキラと……ん? キラキラ?
今ふと何かが頭の隅に引っ掛かった気がしたんだけど……何だったんだろう?
引っ掛かったところを思い返して…………あ、そうかあれだ。キラキラ!
どうしよう、凄く気になる! 今すぐにやってみたい!
でも今はダメだ! みんなで僕の安全について真面目に考えてくれてるのに、肝心の僕が違う事を始めるなんて!
だからもうちょっとだけ待とう。我慢我慢!!
「そうすると『風の適性の調査』そして『水の適性の再調査』、このふたつを最初にやるべきか」
「『水』については再調査、ですか?」
「ああ。カルア君がコップの水を使った適性調査をやったそうだ。その際に何故かコップの水が少なくなったと聞いている」
「少なく……?」
オートカさんは顎に手を当てて考え込む。
そして間もなく――
「それはもしかしたら『風』より前に『時空間』が影響したのかもしれませんよ?」
「ほう?」
「これはあくまで推測ですが、その現象が『コップの時間を進めた』『戻した』『水差しの中に水を移動した』のいずれかだと仮定すると、時空間魔法による干渉であったとは考えられませんか?」
「成程、確かに理屈としてはその通り……。すると『火』属性の確認でろうそくの火が消えたというのも……?」
「ああ、それも同じかもしれませんね」
凄い! ずっと謎だった現象がここにきて判明しちゃったかも。
今はまだ『あくまで推測』って事みたいだけど。
「何か見えた気がするな。それでは話を戻すがまずカルア君と我々がすべき事は『適性がある魔法を使って身を守る術を身につける』『魔力を増やすトレーニングを継続する』『時空間魔法の専門家から指導を受ける』といったあたりだろうか?」
「そうですね。妥当かと思います」
「出来ればカルア君には学校で同世代の子供達と一緒に学んで欲しいと思っていたのだが、スキルを衆目に晒す訳にいかない以上、それは難しいか」
「ええ、そうなるとスキルの話題はどうしても避けられませんからね。いっそ別のスキルに偽装でも出来ればいいんですけど」
「偽装か……ふむ、少し考えてみるか」
学校……
行った事無いけど、学校ってどんな所なんだろう。
年齢の近い人って周りにいないし『集まって一緒に』ってちょっと想像出来ない。
周りで一番年齢が近い人って言うと……ピノさんかな。僕よりも少しだけ年上だって聞いた気がする。
ところでさっきからずっと気になってたんだけど……
話の腰を折らないようにずっと言わないできたけど、話も終わったみたいだし今だったら言っても大丈夫かな?
「あの、ギルマス?」
「ん、どうしたカルア君。何か希望があるのなら遠慮なく言ってくれ」
「すみません、そういうのじゃなくってですね……あの、言おうかどうしようかずっと迷ってたんですけど、ギルマス少し前からいつもの口調に戻ってますよ?」
「あ……」
「……」
「……」
「それは全く気付かなかった……」
「ははは、私だったら全然構いませんよ? むしろ普段通りに接して下さい。私としてもその方が接し易いので」
「すまない、そう言ってもらうと助かる。やはりどうも丁寧な口調というのは慣れんからな」
「何だか話の腰を折ってしまってすみません」
「いや、おかげで話し易くなったさ。さてと、これで今日話すべき事はほぼ話し終えたのではないか?」
「ええ。我々はこれから今日の結果のまとめに取り掛かろうかと思います」
「承知した。じゃあ本日は以上としよう」
どうやら終わったみたい。
よし、それなら!
「あのピノさん、すみません。ちょっとさっきの鞄を貸してもらえますか?」
「はいどうぞ。どうしました?」
「ええ、ちょっと魔石を」
鞄から取り出した一掴みくらいの魔石をテーブルの上に置いて……
ええと、これくらいあれば足りるかな?
「ありがとうございます」
ピノさんに鞄を返したら……
「【融解】」
魔石の山に手を翳し、魔力を注ぐと……
やっぱり! 魔石がガラスみたいにドロドロになった!!
という事で次は形を整えよう。
イメージするのは簡単、だって昨日ふたつ作ったばかりだから。
そして――
「【凝固】」
やった、出来た!
キラキラと輝くグラスが!
思った通りガラスよりこの魔石で作った方がずっと綺麗だ。
出来立てのグラスを手で持って尖った部分が無いか隅々までチェックして……大丈夫、ちゃんと出来てる。
「カルア君……君は今何をした? いや分かっている、分かってはいるんだ。何が起きたのかは私自身の眼で見たはずなのだから。つまり、君は今、魔石を錬成したという事で……間違い無いな?」
「? ええ、そうですけど?」
それが何か?
「オートカさん……この件についても私の知識は古いのだろうか? 今、我々の眼の前で魔石が錬成されたのだが?」
「いいえ、私も同じく混乱していますよ。ブラック殿の言う通り、現在の常識としては『魔石を原料とした錬成は不可能』で正しい――いや正確には『さっきまでは正しかった』でしょうか」
ええっと……?
「カルア君、ひとつ訊きたいのだが……君は何故ここで今これをやろうと思った?」
「さっき話を聞いていた時にふと思ったんです。このキラキラした魔石でグラスを作ったら、ガラスで作るよりずっと綺麗に出来るじゃないかって」
「君は今まで誰も魔石の錬成に成功していないという事を……そうだな、知っているはず無いよな」
「えっそうなんですか? でも普通に出来ましたよ?」
「そう、出来てしまったからこそ問題なのだよ」
「ブラック殿どうしましょう、秘密が増えてしまいましたが」
「うむ……そしてカルア君、君の危険もまた……増してしまったのだが」
「ええ……グラスを作っただけなのに……」
「カルア君、これからは何か思いついてもすぐには実践しないでくれ。まず相談してからにしてもらえると助かる」
ギルマスの疲れたような顔……何か僕やらかしちゃった、のかな?
でもグラスを作っただけだし、そんなに大変な事じゃないと思うんだけど……
ってこれ何? 横から冷気――いや殺気!?
恐る恐るそちらに目をやると、隣でピノさんが……凄く怒ってる!?
「カルア君……この魔石、明日みんなで数える事になってるって、カルア君も聞いてましたよね。なのにどうして使っちゃうんですか! 数合わなくなっちゃったじゃないですか!」
ああっ!!
「すみませんピノさん! うっかり忘れてました!!」
どうしよう、やらかしちゃったよ!!
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彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。
「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」
暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。
管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。
これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。
※アルファポリスで先行で公開されます。
異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない
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「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー)
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そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。
ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。
早く穏やかに暮らしたい。
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【毎日18:00更新】
※表紙画像はAIを使用しています
中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた
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仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。
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やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
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転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
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内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
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ありきたりな転生ものの予定です。
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気がついたら、暗い森の中に居た男。
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暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。
設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。
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