スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第66話 モリスさんのお陰で完成しました #2

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――と、そこまで話したところで、それまで静かに話を聞いていたロベリーさんがボソッと。
「ふーん。こんな感じで『じゃあ今度それ試してみよっと』とか言って、実現させちゃうのかぁ。つまり私は今、やらかし事故の発生現場を目撃してるって訳ね。『おまわりさん、こっちです!』みたいな……」

ロベリーさん言い方……

「あはははは、まったくその通りだよロベリー君。――という事で、ここで話を終えちゃうと君はきっと僕のいないところでやっちゃって、僕は鳴り響くセンサーを聞く事になるんだろうねえ。だからさカルア君、今ここでやっちゃおうか? 君のその『世紀の大実験』ってやつをさ」

そんな流れで、今ここで行った事が無い場所への転移を試してみる事になった。
その実験の方法は――
ロベリーさんが隣の応接室に移動して、僕は行った事のないその部屋目掛けて【転移】、その部屋に移動出来れば成功だ。

「いいかいカルア君、君が初めての【遠見】で音とか匂いを感知した時みたいに、ごく自然な気持ちで他の情報も拾ってみるんだ」
「自然な気持ちで……?」
「そうさ。あの時、君はそれが出来ない事だなんて思ってもみなかったんだろう?」

うん、確かにそうだった。音も匂いも普通に感知出来るって思ってた。だから今回も――
「やってみます」

隣の部屋……ロベリーさんがいる部屋……うん、見えた。そこの情報……景色や音以外の色んな情報……こんな感じかな?……よし……

「【転移】」

――ああ、これが『発動しない』って事か。
ホントに何も起きないや。

「今のは失敗だったって事かな? いいよいいよ、もっと色々試してみよう。何度失敗してもいいから、どんどんやってみて」

それから何度も繰り返しやってみて……何度も繰り返し失敗し続けた。
うーーん、やっぱり無理なのかなあ……

「いやあ、中々苦労してるねえ。横で見てても手に汗握るっていうか、緊張感が伝わってくるよ。『何としても情報を得るんだ!』みたいな?」

そうそう、そんな感じで頑張ってるんだけど……あれ? 初めての【遠見】の時、音とか匂いとかって……そんな緊張っていうか頑張らなかったよね。もっと自然に、『自分がその場にいる』みたいな……ええと確か……そうそうこの感覚。……あ、じゃあもしかして今なら……

「【転移】」

そして今、僕の目の前にいるのは、一瞬ビックリしてから満面の笑みを浮かべたロベリーさん。
「――いらっしゃいカルアくん。そして成功おめでとう」
……【転移】、出来ちゃった。

ドダダダダッ
バンッ!

激しい足音とともに勢いよく扉が開き、モリスさんが部屋に飛び込んできた。
「カルア君カルア君カルア君! ちょっと何でいきなり成功しちゃったのさ! その前の失敗と何が違ったの? じっくりきっちり教えてくれるかい? いやだってホントこれ、ビックリなんてもんじゃないよ! 驚天動地だよ! 臥薪嘗胆だよ! 謹賀新年だよ! 諸行無常だよ!」

ちょっと途中から何言ってるのかよく分からないです……

「ええっと、最初『その場の情報を取得』しようって頑張ってたんですけど、全然上手くいかなくって」
それで音を感知した時の事を思い出して――

「初めての時ってもっと自然な感じだったなあって思い出してみたら、『情報を取ろう』っていうより『自分がその場にいる』みたいな感じだったから」
その時と同じようにって――

「【遠見】した空間の中に自分を『溶け込ませる』っていうか『重ね合わせる』っていうか……上手く言い表せないんですけど、『そこにいるのが当たり前』みたいな感じで」
そんな意識に変えて――

「それで力を抜いたんですけど、そうしたら本当にその場にいるみたいに色んな事が感じ取れて……その状態で【転移】したんです」

何だか自分で言っててよく分からなくなってきた。
自分の感覚を言葉にするのって、凄く難しくて……もどかしい!

「うーん、感覚的なもの……感覚……自然な感じ……溶け込む……重なり合う……力を抜く……そのあたりがキーワードかなぁ。後は……【遠見】がPULLで【転移】はPUSH、通信として考えればそれぞれ逆方向、動作としてはPULLからのPUSH、とすると、転移先の空間にまず【遠見】からの干渉で『ポートを開かせる』? トロイ的な? その次のフェーズっていうのが、じゃあ空間の『重ね合わせ』としたら、そこから……」

うわぁ! もの凄い真剣な表情!
とても口を挟めない――ていうか音を立てるのも憚られる……

「カルアくん、カルアくん」
ソファでロベリーさんがそっと手招き。
「暫く帰って来ないと思うから、座って待ってましょ」
うん、それがいいかな……
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