スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第64話 それはまるで一夜の夢の様な再会 #4

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「――そしたら『あんたの母親からあんたのことを頼まれてるんだからね!』とか言って……」
「ふふ、サマンサ達には『私が帰るまで、カルアの事をお願い』って頼んでたからね。もちろん私が生きてる事は秘密って事も」
「ああ、それでだったのかぁ。――ってあの奥様サマンサさんって名前なの? 知らなかった……」



「――それでさ、ピノさんの料理のお陰でもの凄く魔力が増えたみたいって分かったんだ」
「そうなんだ。あ、でもそれお父さんの影響もあるかも。お父さんの魔力量ってとんでもない事になってるから」



「――そんな訳でモリスさんに時空間魔法を教わって、それから校長先生からも教わったんだよ」
「ふふっ、あなたの時空間魔法の適性って、きっと私のを受け継いだのね。これから先も楽しみだわ。もしかしたらお伽噺に出てくるみたいな完全な【過去視】や【未来視】も使えるようになるかも」



「――って感じだったんだけど、それがそのまま『チームカルア』ってチームになったんだ」
「成程ね……。で、あそこの人達がそのメンバーと。それにしても随分個性的な人達が集まったものね。みんな結構な有名人じゃない。ああそうだ、後で私からもご挨拶しておかなくちゃ。『うちのカルアがお世話になってます』って」



「――その時にさ、不思議と流行りの服に似てるねって話になって」
「ふふっ、それはそうよ。だって何度も視てるうちに流行りの服とか分かっちゃったもの。それと似た感じに仕立ててもらった服なんだから、予習は完璧でしょ?」
「ああ、だからサイズもぴったりだったのか」



「――それで僕が使ってるのが、そのロベリーさんの付与術なんだよ」
「『付与の聖女』かあ。私も今度二つ名を考えてみようかな。何かカッコイイやつ」
「『聖地の周回者サーキットランナー』――みたいな?」
「あはははは……それは・イ・ヤ」



「――そのペンダントとブレスレットをセットでピノさんにプレゼントしたんだよ」
「そっか、カルアも女の子にプレゼントするような年になったのかー。そうかそうか。で、カルアはそのピノちゃんの事が好きなのね?」
「それは……まだその『好き』ってのがよく分からなくって」
「そうかそうか。まあ悩みなさい息子よ。答えは自然と心のうちに湧き上がってくるから」
「そう、なのかな?」
「そうよ。お母さんを信じなさいって。でも……ナックルダスターでも良かったんじゃない? お母さんもアレ貰った時すごく嬉しかったから」
「ええっ!? あれってやっぱり父さんからのプレゼントだったの!?」



「――で、それがアーシュだったんだ」
「そうかそうか、従兄妹と知らず劇的な出会いって訳ね。これもまたドラマチックねえ。……で? もしかしてアーシュちゃんも好きだったりするの?」
「ええっ、アーシュとはそういうんじゃないよ? 何て言うか……ライバル? 友達? 親友? ……みたいな感じかなあ」
「ほほう、『親友』かあ……ふむふむ、それはそれで……ふぅーん」



うん、これでだいたい話し終えたかな?
もちろんまだまだ伝えたい事は沢山あるけど。
「そっか、うん! カルア、これまでよく頑張ったね。お母さんとっても嬉しいわ」
「母さん……」
「じゃあ、一緒にみんなの所に行こうか。お母さんからもみんなに話したい事があるしね」


そして母さんとふたり並んでみんなの所へと戻ってきた。
「すみません。何だか僕達だけで話しちゃって」
「いいっていいって、全然気にする事なんてないよ。カルア君の事情は校長から全部教えて貰ったしね。それよりむしろもっと話しとかなくっていいのかい? 滅多に会えないみたいだし、僕達に遠慮する必要なんて無いんだよ?」

そう暖かい言葉を掛けてくれたモリスさんに、母さんが微笑み掛けた。
「あなたがモリスさんね。カルアのいいお兄さんになってくれてありがとう。そしてこれからもよろしくお願いします。それに他の皆さんも、これまでカルアの事を可愛がってくれて本当にありがとうございます。母からお聞きになったと思いますが、私はまだ暫くカルアと一緒に暮らす事は出来ないんです。でもこんなにもカルアに良くしてくれる皆さんにでしたら、私も心から安心してカルアをお預けする事が出来ます。これからもカルアの事、よろしくお願いいたします」

そんなよそ行きモードの母さんに一瞬たじろいだモリスさんだったけど、すぐにいつものペースを取り戻していつものモリスさんに。
「あはははは、そうあらたまって言われちゃうと照れちゃうなあ。けどまあ僕達に任せてよ。カルア君の無自覚暴走はちゃんと食い止めてみせるからさ」
「モリスさん……ヒドイ」
「ふふっ、ホントにカルアが言ってた通りの方ね」

そう母さんは軽く笑い、そして――
「皆さんに伝えなければならない大切なお話があります」
と、真剣な表情を見せた。

「……それは、私が【未来視】した『カルアの死因』についてです。このルートではどうなるのか分かりませんが、カルアが死ぬ全てのルートで、この次に起きるカルアの死因は常に同じものでした」

僕の……死因……

「恐らく今から数ヶ月以内に、カルアはよく分からない『何か』に襲われます。そしてそれを撃退する事さえ出来れば、直近の危険は回避出来るはずなんです。ですが、それ以降の死因にはルートによってバラバラで、どうなるのかは私にも全く予想出来ません」
「では、その直近の『何か』に関して何かヒントになるようなものは?」

そのギルマスの質問に、母さんは少し困ったような表情を浮かべる。
「私も断片的なシーンでしか視る事が出来ていないので断定は出来ませんが……何と言うかあれは『ドロドロとした何か』としか言いようのないものでした。これくらいしかお伝えできず、申し訳ありません」
「ドロドロと……? 魔物という事であれば、スライム……だろうか?」
「うーーん、今のところそれが一番可能性が高いかなあ……でも視野が狭まるから断定はしないでおこうか。無理に答えを探そうとしないで『ドロドロとした何か』とだけ頭に入れておくのが良いんじゃないかな」
「確かにそうですね」

今から数か月以内に、僕はドロドロした何かに襲われる……か。
今はそれが分かっただけでも良かったって思わなきゃね。

「ありがとう皆さん、カルアの事よろしくお願いします。……ところで、さっきからずっとあそこで泣いているあの方は一体……?」
その母さんの視線の先には、両手を組んでとめどなく涙を流し続けるミレアさんの姿が。――ってホントに何があったの?

「ああ、ミレアかい? あの娘の事だったら気にしないどくれ。『なんて素敵にドラマチック』とか言って感極まってるだけのあたしの弟子さ」
「そう……さすがお母様のお弟子さんだけあって個性的な方なんですね」
「どういう意味だい……というかカルアもあたしの弟子なんだが?」
「お母様、お願いですからカルアをおかしな子にしないで下さいね?」
「もう遅いよリアベル。あの子、あたしんとこに来る前から相当だったからねえ」
「カルアって……」

それから母さんはみんなと色々話をして――
もちろん僕も母さんと色々話をして――
そして……とうとうその時がやって来てしまった。
「それでは、そろそろ私はまた身を隠します。皆さん、カルアの事を本当によろしくお願いします」

母さんは笑顔を作ろうとしたけど上手くいかず、でもそんな瞳で真っ直ぐ僕を見つめて――
「じゃあカルア、来年のあなたの誕生日にまた会いましょう。あっそうだ、誕生日おめでとう私のカルア……どうか元気で……」
――そして何処とも知れぬ場所へと【転移】していった。



「……ありがとう母さん。僕、頑張るよ」



▽▽▽▽▽▽
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