139 / 278
第64話 それはまるで一夜の夢の様な再会 #3
しおりを挟む
そしてベルベルさんが色々説明してくれて……それでだんだん状況が飲み込めてきた。
母さんが生きてた事、僕のために身を隠さなきゃならなかった事、そして父さんも生きているって事……
あの母さんを押しとどめてゆっくり説明してくれたベルベルさんのお陰で、やっと僕は今のこの状況を冷静に受け止める事が出来るようになって――
そして大変な事に気が付いた。
「――まあそんな訳だからカルア、以前あんたに話した『下の娘』っていうのがつまり、あんたの母親だったっていう訳さ」
下の娘……ベルベルさんの下の娘……じゃあ……それじゃあ母さんはっ!?
「母さん! それじゃあ僕と分かれている間ずっと『聖地巡礼』してたって事!?」
「ぶふっ!? だっ第一声がそれかいっ!? 他にもっと何かあるだろ!?」
いやだって……
冷静になったらそこが一番気になっちゃったんだから……
仕方ないよ、ねえ?
「……ったくあんた達は……どうしようもないくらい、間違いなく母子だよ!」
そんなベルベルさんのボヤキ――の向こうで僕の叫びに瞳を輝かせた母さんは、もの凄い勢いでこっちに近づいてきた。
「さすが私の息子。まず最初にそこに食い付くなんて、なんて将来有望なんでしょう。そんなあなたには、お母さんが訪ね歩いた聖地の数々をじーっくりとお話ししてあげる。あっそうだ、まずはこれを見せなきゃ話が始まらないわね。これはね、『華把挑帳』って言って……」
こうして4年振りに再会した母さんの、長く楽しい旅の話が始まったんだ……
そんなちょっと想像外の展開を見せた母子の再会に、マリアベルは小さく溜め息。
「はあぁ、そういえばあの娘はああいう娘だったよ……。さてと、じゃああたしはみんなに説明してこようかねえ」
そうひとり呟くと、離れた場所に控えていた面々に歩み寄って行った。
「あんた達、待たせたね。取り敢えず状況は把握できたよ。それでカルア達だが……まあ見ての通りだからさ、暫く二人きりにしといてやってくれ。あんた達にはその間、一体どういう事なのかってのを説明しておくよ」
マリアベルは先程リアベルから聞いた話をそのまま包み隠す事なく全て彼らに伝えた。
そしてその話の中の『とある部分』に激しく反応した少女が二人――
「つまり……あたしとカルアは従兄妹同士だったって事っ!?」
「つまり……今日はカルア君の誕生日っ!?」
そして二人はそっとカルアに視線を送り――
「今日はそっとしておいてあげた方が良さそうね」
「うん。……それにしても従兄妹、従兄妹かあ……姉弟よりも従兄妹かぁ」
「なっ!? 何故そうなるのかな……?」
そして何かに気付いたアーシュの瞳がパッと輝く。
「もしかしてカルア、うちに引っ越してきたりとか? うん、それが当たり前だし、それに凄く自然よ。だってここがカルアのお母さんの実家なんだし。それにうちには部屋が沢山余ってるし。そっ、それに……あ、あたしの隣の部屋も……空いてるし……」
一方、そのアーシュの大きな独り言を耳にしたピノは驚愕の表情を浮かべる。
「えええっ……そっそれは……」
そしてアーシュは――
「そうよ! こうしちゃいられないわ。急いでお祖母様とお母様に相談しなくっちゃ! お祖母様ぁ! お母様ぁ! あとついでにお父様ぁ!」
と、すぐ向こうのマリアベル達に突撃していった。
その後ろ姿を呆然と眺めるピノ。
「これってもしかして私最大のピンチ!? どうしよう、私どうしようっ!?」
……その問いに答えられる者は誰もいなかった。
「――それでね、その人っていうのが何とあの『ここがオダーラの街です』を繰り返し言ってたあの村人のモデルだったのよ」
「ええっ!? ビックリだよ! だってまさかそんな事が……」
聖地巡礼、楽し過ぎる……
「でしょ? ふふふっ。……でもこの話はここまでにしましょうか。まだまだ話は全然尽きないんだけど――それに話し足りない気持ちも一杯なんだけど。でも……。カルア、私あなたの話も聞きたいの。だから次はあなたの話を聞かせて?」
うん、勿論僕だって話したい事が沢山あるんだよ、母さん。
だから僕は話し始めた。父さんと母さんが谷に落ちて死んだって聞かされた、あの日から今日までの僕の大冒険を――
母さんが生きてた事、僕のために身を隠さなきゃならなかった事、そして父さんも生きているって事……
あの母さんを押しとどめてゆっくり説明してくれたベルベルさんのお陰で、やっと僕は今のこの状況を冷静に受け止める事が出来るようになって――
そして大変な事に気が付いた。
「――まあそんな訳だからカルア、以前あんたに話した『下の娘』っていうのがつまり、あんたの母親だったっていう訳さ」
下の娘……ベルベルさんの下の娘……じゃあ……それじゃあ母さんはっ!?
「母さん! それじゃあ僕と分かれている間ずっと『聖地巡礼』してたって事!?」
「ぶふっ!? だっ第一声がそれかいっ!? 他にもっと何かあるだろ!?」
いやだって……
冷静になったらそこが一番気になっちゃったんだから……
仕方ないよ、ねえ?
「……ったくあんた達は……どうしようもないくらい、間違いなく母子だよ!」
そんなベルベルさんのボヤキ――の向こうで僕の叫びに瞳を輝かせた母さんは、もの凄い勢いでこっちに近づいてきた。
「さすが私の息子。まず最初にそこに食い付くなんて、なんて将来有望なんでしょう。そんなあなたには、お母さんが訪ね歩いた聖地の数々をじーっくりとお話ししてあげる。あっそうだ、まずはこれを見せなきゃ話が始まらないわね。これはね、『華把挑帳』って言って……」
こうして4年振りに再会した母さんの、長く楽しい旅の話が始まったんだ……
そんなちょっと想像外の展開を見せた母子の再会に、マリアベルは小さく溜め息。
「はあぁ、そういえばあの娘はああいう娘だったよ……。さてと、じゃああたしはみんなに説明してこようかねえ」
そうひとり呟くと、離れた場所に控えていた面々に歩み寄って行った。
「あんた達、待たせたね。取り敢えず状況は把握できたよ。それでカルア達だが……まあ見ての通りだからさ、暫く二人きりにしといてやってくれ。あんた達にはその間、一体どういう事なのかってのを説明しておくよ」
マリアベルは先程リアベルから聞いた話をそのまま包み隠す事なく全て彼らに伝えた。
そしてその話の中の『とある部分』に激しく反応した少女が二人――
「つまり……あたしとカルアは従兄妹同士だったって事っ!?」
「つまり……今日はカルア君の誕生日っ!?」
そして二人はそっとカルアに視線を送り――
「今日はそっとしておいてあげた方が良さそうね」
「うん。……それにしても従兄妹、従兄妹かあ……姉弟よりも従兄妹かぁ」
「なっ!? 何故そうなるのかな……?」
そして何かに気付いたアーシュの瞳がパッと輝く。
「もしかしてカルア、うちに引っ越してきたりとか? うん、それが当たり前だし、それに凄く自然よ。だってここがカルアのお母さんの実家なんだし。それにうちには部屋が沢山余ってるし。そっ、それに……あ、あたしの隣の部屋も……空いてるし……」
一方、そのアーシュの大きな独り言を耳にしたピノは驚愕の表情を浮かべる。
「えええっ……そっそれは……」
そしてアーシュは――
「そうよ! こうしちゃいられないわ。急いでお祖母様とお母様に相談しなくっちゃ! お祖母様ぁ! お母様ぁ! あとついでにお父様ぁ!」
と、すぐ向こうのマリアベル達に突撃していった。
その後ろ姿を呆然と眺めるピノ。
「これってもしかして私最大のピンチ!? どうしよう、私どうしようっ!?」
……その問いに答えられる者は誰もいなかった。
「――それでね、その人っていうのが何とあの『ここがオダーラの街です』を繰り返し言ってたあの村人のモデルだったのよ」
「ええっ!? ビックリだよ! だってまさかそんな事が……」
聖地巡礼、楽し過ぎる……
「でしょ? ふふふっ。……でもこの話はここまでにしましょうか。まだまだ話は全然尽きないんだけど――それに話し足りない気持ちも一杯なんだけど。でも……。カルア、私あなたの話も聞きたいの。だから次はあなたの話を聞かせて?」
うん、勿論僕だって話したい事が沢山あるんだよ、母さん。
だから僕は話し始めた。父さんと母さんが谷に落ちて死んだって聞かされた、あの日から今日までの僕の大冒険を――
44
あなたにおすすめの小説
一流冒険者トウマの道草旅譚
黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。
しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。
そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――
銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」
世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。
魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。
彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。
一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。
構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。
彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。
「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」
暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。
管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。
これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。
※アルファポリスで先行で公開されます。
異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない
葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー)
ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。
神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。
そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。
ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。
早く穏やかに暮らしたい。
俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。
【毎日18:00更新】
※表紙画像はAIを使用しています
中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた
Mr.Six
ファンタジー
仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。
訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。
「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」
そう開き直り、この世界を探求することに――
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
不死王はスローライフを希望します
小狐丸
ファンタジー
気がついたら、暗い森の中に居た男。
深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。
そこで俺は気がつく。
「俺って透けてないか?」
そう、男はゴーストになっていた。
最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。
その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。
設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる